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第5話 無月の呟きみたいなもの
祢音という少女と別れてからしばらく時間がいくらか流れた。オレは奏と学園生活兼任務をこなし続けていた。奏は麻上涼子のすすめにより、女というものを磨くようになっていった。オレも全く気付かないというわけでもないが、たしかに「数多くのプロジェクトから作られた人工機械生命体」という枠組みを越えて、感情表現というものをいろいろと学んだようだ。オレは兄として変われたのだろうか。微弱なこの力は誰かの笑顔を護るためにあるようなものだ。オレがオレであり続ける限り、オレはこれからもこの力を誰かの笑顔のために護っていかなくてはいけない。
そう‥‥たとえば、奏やオレの家族‥‥友達‥‥この世界そのものを‥。でも、あいつ‥‥奏はどう思っているのだろうか。そんなことをこの休みに考えているオレだった。