第4話 有人の結論、祢音との出会い
ナレーション「無月 の話を聞いた有人 。彼が出した結論とは?」
有人「わかった。きみは彼女のことが気がかりみたいだし、原本をそのままあげよう」
無月「いいのか? ほんとはちゃんとそいつらに会わないといけないんだろ?」
奏「私たちのために‥‥お人よしにもほどがあるんじゃないんですか?」
有人「さぁ? おそらくこれも『星の巡りの導き』かもしれないから」
奏「‥‥星の導きって?」
有人「さぁ、細かいことは気にしないでくれ」
オレと奏はその原本を無条件で手に入れた。そして、金色の光を放ったその有人という少年の声が段々と聞こえなくなってきた。
無月「‥‥行っちまったな」
奏「そうですね」
無月「‥‥さて、ここからどうするんだろうか。手がかりないみたいだし」
奏「困りましたね‥‥」
???「手がかりならあるよ………?」
突然、頭の中で声が聞こえた気がした。ん?
この原本が光っているっていうのか?
いや違う。
オレたちの目の前に何も存在しないはずの空間に、なにか人の形をとろうとしているのがわかる。
無月「‥‥お前が『祢音』なのか‥‥?」
奏「え‥‥?」
祢音?「うん。お兄ちゃんたちならきっと見つけてくれるって信じてた。『終わらないアリスの物語』を完成させた本を持ってきてくれるって。さ、条件をクリアしたんだからさっさと渡してくれないかな?」
いや、さすがに意味がわからなさすぎる。
無月「………待て、会って早々、説明すらなしにお前いばかり要求通すなよ! 説明くらいしろよ!!」
祢音「え~~~~~~~~、だって、私説明するのめんどくさいも~~~ん!!」
無月 (いやいやいやいやいや……ちょっと待てって! いやさすがにそれはないだろ? そんなことは許されないって。だってこの状況、急展開すぎるだろ!!)
奏「‥‥お兄様、どうやらこの人は私の苦手なタイプに入るみたいです‥‥」
祢音「‥‥うぅ、どうしても説明しないとダメなの?」
無月「‥‥当たり前だ!!」
奏「さすがにそれは………ないかと」
◆◇◆
渋々という表情を浮かべながら、祢音は語る。祢音の拙い説明によるといずれ2人の子供として生まれてくるらしい。
ウソなのか本当のことなのかはわからないが、この原本とは別にもうひとつ『文字盤』なるものの力を借りれば、祢音が存在するという世界になれるのだという。
無月「‥‥なんとなくわかったような? けれど、そんな力を使ったってみんなお前のことを思ってくれる、ちやほやされるなんて世界でいたらつまらないだろ?」
祢音「お兄ちゃん‥‥」
無月「あのな、お前はオレの妹じゃないんだから、そう呼ぶなよ。オレの妹はここにいる奏なんだから! 話を戻すがオレも奏もそんな世界は望んでなんかいない。いつかお前が生まれる。そんな日が来ることをいつか夢見てオレ達は待ち続ける。
待って、待って、待ち続ける。それでも………お前が生まれなければオレたちの子供に託す。約束だ」
オレはそう言い切った。横で奏もこくりと頷いた。祢音は笑いながらオレたちの前から姿を消した。いずれ会えるようにと願いながら。
無月「‥‥さて、帰るか」
奏「そうですね‥‥帰りましょう」