第28話 無月と奏 〜拭いきれない胸騒ぎ〜
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【如月 無月 視点】
オレ、如月 無月 は、あきらかに 妹の 奏 の様子に気がかりを抱いており、ノックをしてから部屋に入ると声をかけた。
無月「………奏、体調は、すぐれないのか?」
オレの顔を見ながら何かを紡ごうとする奏の姿は見たことがないくらいに衰弱していた。必死になりながら、奏はオレになんとか伝えるそぶりを見せていた。
奏「………はぁ、はぁ、はぁ。お兄様………先日、私の中でなんだか嫌な胸騒ぎをまのあたりにした気がします………」
無月「………どういったたぐいのものか、聞いてもいいか?」
奏「………わかりました。私が音として聞き、目で見たのは、はぁ、はぁ、はぁ………突如空間が歪み、何かがはいでてくるんです。それは異形の存在………の化け物で。それに捕まった者は………「乗り移られて」………元々の意識はなくなり、その身体は捕らえた化け物のよりしろにされてしまう………恐ろしい、存在です………」
奏のもたらされた情報は………絶望をいだくのに充分だった。現に、オレや奏もつい最近までは一般人のそれと同じ感じだった。しかし、別時間軸のオレたちとかいこうをしてからオレと奏は人並みに戦う力は得たが、これが親友たちならどうか。
彼らを含めた多くの人たちは戦うすべを知らない。そんな力量差で、もしも一気に襲いかかってきたら………?
この世界含めたあまたの生命が死に至るのは間違いない。オレは話の続きを促す。たどたどしく息を絶え絶えにしながら、奏は紡ぐ。
奏「………そんな存在を、世界の外側に属する組織のひとりの人員が、その世界の他者の死者の身体に憑依して、周りをうまくだましながら………外敵をしりそげていきましたが………、そのコミュニティに属する被害者が意図しない形で介入せざるを得なかったみたいで、共闘しながらも他に戦える仲間はいなくてずっと苦戦をしいられています。おまけにその人は女性。私やお兄様とあまり年齢が違わない女性のようです。そんな人が最悪の形で現れた化け物退治に向かっていますが………犠牲なくして勝利は難しい、そんな選択を迫られた厳しい戦いをしいられています」
それはなんというか………やりきれないな。まず、化け物の脅威から人を守り戦うだけでも、怖がられる。そんなことをすれば、日常は崩壊する。いや、大勢の人の命、身体、人生が狂わされる。
戦う力や技術がいくらすぐれていても、少しの判断ミスで責任がどうしてもつきまとう。人が1人でなしとげるにはいつも犠牲はともなうからな。
それに………話せることができるのなら、そいつはとっくに打ち明けているわけで。
嘘をつき続けなければならない程の秘密。いくら協力者がいるとはいえ、それは辛すぎるよな。
※ 第?? 話 以降に続く




