第26話 2度目の再会 / 過去 (回想) 別視点 ①
派生作 「終わりなき遊戯曲」 の 第24話 「心の牢獄」、および、第4話「奏の夢、奏の想い」、第28話 等 を 参照にした、並行世界の時間軸の書き直し? 回です。
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晴原 想河 や 午堂 夕妃 さんたちと別れた直後、オレと奏あてに1つの着信が入った。
この時間軸ではまだ2回目に話すことになるであろう、オーディンからのものだった。
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【オーディン 視点】
オーディン「………久しぶりじゃな。おぬしたち2人が兄妹であるという時間軸であるこの世界線でこうして話すのは………」
わしのその呟きに、目の前の少年ーー無月は首を縦に振ってみせた。
無月「………オーディン 様 も相変わらずお元気そうでなによりです。オレと 奏 も、あなたとこうやってまた話をしたかったですから」
さて、今度はどんな話が出てくるものやら。
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【如月 無月 視点】
ここに来るまでの間に、オレと奏は前もって話をすりあわせていた。
袮音 という少女との出会いと別れがもたらされたことによる不思議な世界の数々のこと。
オレたちがみずからの身をもって追 体験 することになったあまたの異世界を巡ったこと。
人物名等は伏せた上でこの世界で起きた異変の数々。
ーーそれを聞いたオーディン様が、オレたちに優しそうな目を向けて話し出す。
オーディン「………なるほどのぅ。もしその話が本当であるのならば、あの機械がもたらそうとしたものがなんなのかも、想像がつくというものじゃ」
無月「………あの機械というのは、いったい何のことですか?」
オーディン「………その機械の名は、DREAMといってな、人の欲望を叶えるものなのじゃよ。
どんなに不可能なことも可能にすることができるものじゃから、使い方を誤ればその者は危険になりかわるしろものじゃ。
だから怖いのじゃよ、あれはの。何でも叶えられる夢という形でもそれは叶ってしまう。たとえ起こりうる可能性がかなり低いものであったとしても、のぅ。
人の深層意識というものは覗けぬものじゃ。躰という鎖から解き放たれたら、余計に影響を受けるのは道理というものじゃ」
それを聞いたオレと奏は顔をしかめてしまう。もし、この機械が人の感情の機微を汲み取ることができてしまえば………。
世界が、人を排除しようとするために、世界に黒曜雨を降らせ、大地が死に絶えていく。
それを食い止めるために、白露病を患い、人間の姿に戻ることができないかわりに命を捧げた女性たちの犠牲の元に、他者を黒い死の雨から守る存在。
これは言わずもがな、晴原 想河 たちのいた世界のこと。
また、オリジナルの人間から、愛や勇気などを奪い生まれた瓜二つの存在、レプリカーー。
これは奏が体験した世界のことだ。
世界は人の数だけ、多ければ多いほどある。その中にある限り、誰も幸せにはなれない。
誰かの幸せがあるなら同じくらい誰かの不幸だってある。例えばオレと奏は兄妹だが、違う時間軸ではオレたちがそういった関係がない時間軸もあるということだ。
そんな理想郷を、この DREAM はやろうと思えば叶えられてしまう………。偽りの夢に酔いしれたら、人という種はなかなか目覚めることはできない。
奏「………その機械は壊したほうがいいと?」
オーディン「………使い方は人それぞれじゃが、確かにあれは人を選ぶものじゃ。今のおぬしは記憶にないが、違う時間軸のおぬしはかつてそれに心を囚われておったこともあってのぅ。その時は違う時間軸の無月の呼びかけによりなんとか戻ってくることができた。じゃが、形が違えばどうなるかはわしにもわからぬ。危険だと思ったなら破壊しか手はあるまい」
と、そこに待ったをかけたのが、奏だった。
奏「………本当に破壊するしかないのですか? できることなら………私は対話か説得といったコミュニケーションで相手と納得がいくまで話してみたい………です」
オーディン「………対話とな………まぁ、あまり変な設定にしなければ平気じゃろうが、お主たちが対峙する相手次第といったところじゃろうなぁ………それでも向かうのかのぅ?」
オーディン様の問いにオレと奏は想いのたけをぶつける。するとオーディン様はひげを時折触りながら、オレと奏をDREAMの夢の中へと送還するのだった。
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〜 DREAM / ??? 〜
「………ここがそうなのか?」
オレは隣でぴったりとくっつく奏に向かってそうひとりごちた。奏の手が小刻みに震えているのがわかるくらい違和感を感じたからだ。
それに………目の前には扉があり、ここに何かがあるのは間違いないのだろう。意を決してオレは目配せをしながらその先へと突き進む。するとーー。
「奏、その力、オレのために尽くしてくれ」
「奏、お前は強い。だから人一倍働いてもらわなければならない」
「よくやってくれたな、奏 偉 いぞ」
中に入ると………別時間軸の親父の声が再生された。そして………。
◆◇◆
『今日、私はお姉様 と 無月 の3人でお父様 と お母様 のお墓参りに行きました。夏以来のお墓参りでしたが、私はお父様とお母様に会えて嬉しかったです。
ーーー私は時々家族の在り方について考えてしまいます。今、家には私たちだけでお父様とお母様はそこにはいません。3人だけでもこんなに楽しいのですから、さらに2人増えてくれさえすればもっと楽しいと思います。
たったの1日だけでもいい………。誰一人欠けることなく、私は5人で過ごしてみたいです。ーー私もお姉様もお父様もお母様も、もちろん無月も。でも………、
そうはいきませんよね? だから私は………お父様に与えられた命を精一杯生きていきます』
『私が来て欲しいと思ったらすぐに来てくれます。
お父様も、桔梗 様 も、お姉様も、優しい無月だっています!』
次に流れてきたのはーー別時間軸の奏そのものの想いだった。
奏「………これは、私の心なのですか?」
無月「………どうやら、そうみたいだな」
さらにまた流れてくる奏の想いが再生される。
『………もっとお父様には生きて欲しかった。私を見て欲しかった。愛して欲しかった。触れて欲しかった。笑って欲しかった。抱きしめて欲しかった。喜んで欲しかった。知って欲しかった。遊んで欲しかった。話して欲しかった。暮らして欲しかった。楽しんで欲しかった。私の手を握って欲しかった。幸せにして欲しかった。見させて欲しかった。愛させて欲しかった。笑わせて欲しかった。触れさせて欲しかった。笑わせて欲しかった。抱きしめさせて欲しかった。喜ばせて欲しかった。知らせて欲しかった。遊ばせて欲しかった。話させて欲しかった。暮らさせて欲しかった。楽しませて欲しかった。握らせて欲しかった。幸せにさせて欲しかった! なのに……なのにどうして!?
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして !!!??』
ーー聞くに耐えない紛れもない別時間軸の奏の想い。そんな自分をふかんして聞くことしかできないオレの隣にいる奏。
そしてーー。
ーー床に置かれていた、携帯ゲームのような大きさの機械。
もしかして………原因はこれか?
どうやらこの装置は催眠効果のあるものらしく、感受性が強くても、一度振れると振れ幅が大きく激しく振れるものらしい。つまり催眠効果はかなりあったということだ。
さて、どうしたものか。と、そんな時。オレがあれこれ考えていると、側にいた奏がオレを見つめ呟く。
奏「………お兄様、ここは私に任せて下さい」




