ミッション2:第1のリープ先「とある日の商店街」 / 2
はるかぜ商店街には名物が多い。空きっ腹で歩くと散財必死だ。そんなことを考えている俺は空腹だ。どうやら腹の空き具合はタイムリープ先の肉体に依存するらしい。元の時間の肉体は寿司で腹がいっぱいのはずだ。何をそんなに買ったのか、母ちゃんの荷物は結構重たい。空腹のままじゃキツい。
何か食わせてもらえはしないか、と母ちゃんの方をチラチラ見る。俺の視線に気付いたのか、母ちゃんがジロリと俺を睨む。あ、奢らせようとしてるのバレました?
「……母ちゃん、腹減った」
「母ちゃんに奢らせるつもりなの?」
「……この時間の俺、金ないよ、たぶん」
俺が最後に母ちゃんの荷物持ちをしたのは、恐らく、バイト禁止の高校時代とかである。収入はお小遣いのみ。この時間の俺が会社員の俺のように買い食いが出来るほど、潤った財布を持っているとは考え難い。──そうか、今は少なくとも、高校時代なのか。
高校時代、ね。本来は反抗期バッキバキのはずだが、俺はそうでもなかったな。反抗期は悠介の方が酷かった。だからこそ、人格が成熟して、あんな好青年に育ったのかもしれない。俺の人格なんて、この通りである。
自分で言っておきながら、少し悲しい。