ミッション2:第1のリープ先「とある日の商店街」 / 1
何とかタイムリープに成功した俺と母ちゃんが飛んだ先は、いつかは分からないが、どこかは分かる場所だった。実家の近所の商店街、はるかぜ商店街。近隣住民が社交場代わりに使う為、喫茶店も多い。気付くと、手には荷物。隣りには手ぶらの母ちゃん。どうやら、俺が母ちゃんの荷物持ちをしている場面に飛んだらしい。ここは、過去だよな?
初めてのタイムリープ酔いを引きずりながら、俺は母ちゃんの隣りを歩く。この母ちゃんは俺がさっきまで話してた母ちゃんで間違いないよな?テクテク、俺と母ちゃんは商店街を歩く。お互いに無言。心做しか、母ちゃんの表情は険しい。理由は分からない。
「母ちゃん?」
「……これはまずいわ」
「どれ?」
「これよこれ!タイムリープしたら、自分が死んだ時の記憶が無くなっちゃって!これじゃどうやって生き返ったらいいのか分からないじゃない!あんた、覚えてる!?」
早口で捲し立てた母ちゃんは肩で息をする。覚えてるか、どうか?いや、そもそもなのだが、俺は母ちゃんの詳しい死因を知らないはずだ。元々覚えていた、という感覚が無いのだ。ざっくりとした死因なら知っていたかもしれない。そっちは「そういう感覚」がある。しかし、俺も思い出せない。
その旨を母ちゃんに伝えると、脇腹をどつかれた。完全に八つ当たりだ。これじゃ、何でここにタイムリープしてきたのか分からない、それは確かなのだが。そもそも、タイムリープに法則ってあるのか?先行き不安だが、俺と母ちゃんはとりあえず、商店街を隅から隅まで歩くことにした。