ミッション1:母ちゃんを生き返らせろ / 4
色々と諦め、俺は母ちゃんに聞いた。さっき、母ちゃんに機関銃で撃たれた時に宿った力のことについて。母ちゃんは「よくぞ聞いてくれた」とばかりにニヤリと笑う。
「あんた、タイムリープ出来るようになったのよ。カッコイイでしょ」
「や、タイムリープは何となく分かるけど、カッコイイとかそういう問題?」
あれだろ?タイムリープって言ったら、意識だけ過去に戻れるとか何とか。理解が「何となく」過ぎる気はするが、たぶん、俺は過去や未来に行けるようになったのだろう。そして、さっき、母ちゃんは言っていた。その力を──タイムリープの力を──使って、あたしを生き返らせなさい、と。つまり、タイムリープの能力を使い、母ちゃんが死ぬという運命を覆す。どうやら、それが、俺に与えられた最初で最後の母ちゃんへの親孝行のチャンスになりそうだ。
……いや、カッコつけて「最初で最後」とか言ったが、母ちゃんが生き返ったらまめに実家に帰ってくるわ。酒と女と仕事の三拍子息子から変わってみせるわ。だが、しかし、また疑問が。母ちゃんはどうやって、タイムリープの能力を与える機関銃なんて手に入れたのだろう。少し考えて、答えが出る。
「母ちゃん、天国の武器庫から色んなもの奪ってきただろ。もはや脱走者というより強盗だぞ、強盗。ご・う・と・う」
俺が「強盗」を強調して言うと、母ちゃんの表情が険しくなる。あんたに脱走の大変さが分かるもんか、と。まぁ、生まれてこの方、脱走の経験なんてあるわけもなく、大変さは分からないが……とりあえず、追手に追い付かれる前に、と、俺と母ちゃんはタイムリープを試みることにした。
幽霊である母ちゃんはタイムリープ・フリーらしく、手間取ったのは俺だけだった。