ミッション1:母ちゃんを生き返らせろ / 3
1つ1つの詳細は覚えていないそうなのだが、母ちゃんの話を要約するとこうだ。
某年4月1日、母ちゃんは死んで「死神」と呼ばれる者たちに「霊界」へと連れて行かれたのだという。そこで霊界の時間で3日ほど「大死神」の審査を受け、今度は「天国」へ連れて行かれたらしい。が、しかし。
「天国」で「死んだ状況に不明瞭な点がある」と、再審査に掛けられたのだそうだ。その際に、母ちゃんは天国を「脱走」した。理由は簡潔、生き返る為に。母ちゃんは天国のスタッフである「天使」たちの武器庫を荒らし、銃火器を奪いつつ、迷いながらも何とかこの「現世」に戻ってきたらしい。
本当なら詳細を聞きたい話だ。嘘のようだが本当である、母ちゃんの大冒険。だが、俺は1つ疑問に思った。俺が母ちゃんから与えられた力で母ちゃんを生き返らせるのは、まぁいい。確かに親孝行のうちに入るだろう。しかし、しかしなのだ。その行為を、霊界や天国の死神や天使が許すのかどうか。
「なぁ、母ちゃん。死神とか天使って追ってはこなかったのか?」
「追ってきたわよ。この爪楊枝ガトリングとか唐辛子噴射器で撃退したわ」
「……なるほど」
母ちゃんが銃火器を奪ったのは、追われるのを見越してのことか。我が母ながら勘がいいというか、用意周到というか。まぁ、1つ分かった。俺と母ちゃんは、恐らく、現在進行形で追われている。俺に関して言えば、母ちゃんの計画に巻き込まれ、追われることになった。……あぁ、月が綺麗だなぁ、そう言って現実逃避したい。親孝行って辛い。