ミッション4:しじみ・あさり・はまぐり / 1
俺、母ちゃん、しじみはたくあんコロッケを食べつつ、今後のことを話し合った。しじみが言うには、街中に行けばしじみの顔見知りも協力をしてくれるかもしれない、とのことだ。俺も母ちゃんも、母ちゃんの死因をすっかり忘れてしまっている。そこをどうにかしてくれたら、何とかなりそうな気がするのだが。ていうか、そこはしじみがどうにかしてくれればそれで済む話だ……。
「むぐ。ところで、母ちゃん、1つ聞きたいんだけどさ。今の母ちゃんのその身体って、生身?幽霊?まぁ、コロッケ食えてるんだから生身っぽいけれども」
「んぐ。さぁ、どっちかしら。あたしもタイムリープのことはよく知らないけど、幽体がタイムリープした場合、意識のタイムリープと同じ扱いになるんじゃない?どうでもいいけど。なんか知らないの?しじみ」
しじみはたくあんコロッケを器用にナイフとフォークで食べながら、母ちゃんの問いに答える。しじみは死神、それも長く死神をやっているとのこと。色々なことを知っているらしく、詳しく説明してくれた。
「香織の場合は、その解釈で合ってるにゃよ。幽体は生者の意識と同じようなものなのにゃ。幽体はタイムリープ先の肉体に依存する点も同じにゃ。にゃから、今の香織は生者と変わらない、ということにもなるにゃ。死神用語で、憑依って呼ばれてるやつにゃ。憑依は立派な霊界規定違反にゃけど」
脱走、憑依、普通に生活していたら縁のない単語だ。そして、俺と母ちゃんは、立派な霊界のお尋ね者。よく考えたら、そんな俺たちの幇助をしているしじみも同罪のはずだが、退屈しのぎで犯罪者……いや、犯罪猫になっていいのか?規定違反で済むのか?まぁ、今さらそんなことを言ったところで遅いし、しじみが好きでやっていることだが。たくあんコロッケも綺麗に無くなったところで、俺と母ちゃん、そして、しじみは協力者を求めて、再び街中──はるかぜ商店街へ。




