「ぬいぐるみたちの”恋”のお話……?」
❅「冬の童話祭2023」参加作品です。
此処はある女の子・ちゃこちゃんのお家。
そんなちゃこちゃんのお家で今、とても真剣な話し合いが行われていました。
それは深夜の事です。
ん、ちゃこちゃん自身はもう寝ている時間のはずです。
一体話し合いをしているのは誰なんでしょう。
「……だからさー。ちゃこちゃん最近変なんだよー」
「確かにたしかに」
「本当に変ね。鏡見てばっかりなんだもの。溜め息までたくさん!」
声の主たちが居るのはチェストの上辺り。
一見、ただぬいぐるみたちが並んでいるだけです。
ですが声はぬいぐるみたちの所からします。
「ちゃこちゃん、最近小学校って所に行ってるよね?」
「うんうん」
「けれど、それがどうしたのかしら」
「何かあったんだよ!」
「もしかして」
一匹のぬいぐるみが声を震わせて言います。
「いじめられてるんじゃあ」
「まさか!」
ぬいぐるみたちが声を揃えます。
そこで話し合いは止まってしまいます。
みんな、ちゃこちゃんが大好きだからとっても心配なんです。
ぶるぶると、震えていたぬいぐるみの一匹が決めた様に声を上げました。
「明日ぼくがこっそりとランドセルに入って小学校に行ってみる!」
「ええ!」
「無理だよ~」
「じゃあどうすればいいんだい!」
ジタバタとそのぬいぐるみは地団駄を踏みます。
「閃いた!」
「なになに?」
「そのランドセルに聞いてみようよ」
「賛成!」
ぬいぐるみたちが次々と手を上げました。
「そのお~ランドセルさん。ちゃこちゃんはどうしてしまったんですか?」
どきどきしてぬいぐるみの一匹が代表して聞きました。
『……恋なのよ』
「はい?」
『ちゃこちゃんは六年生の男の子に〝恋″しちゃったのよ。それで最近変なのよ』
「…………こい?」
不思議そうにぬいぐるみたちが首を傾げます。
「おい、こいってなんだよ」
「僕も知らないよ」
「わたしも」
「おさかなの?」
「何でちゃこちゃんがおさかなのこいなの?」
「わからない~」
ぬいぐるみたちの会話に、ランドセルさんは思わず黙ってしまいました。
多分、大人なランドセルさんは呆れてしまったのでしょう。
「こい……」
「こい?」
「こい」
「わっからない~!」
ぬいぐるみたちは唸ってしまいました。
ランドセルさんは言いました。
『あのね、恋って胸がとってもどきどきしてしまうものなの。その人がとっても気になってしまうのよ。それが恋という物なの』
「……わかる?」
「僕、何となく」
「え、わかるの⁉ いぬさん!」
犬のぬいぐるみの言葉に他のぬいぐるみたちが驚きます。
「僕ね、お隣の猫のいーちゃんがとっても気になる。何か、ドキドキするの。この辺りが」
そう言って、犬のぬいぐるみは胸の辺りを押さえました。
そこでみんなが納得しました。
誰だって、胸がどきどきすることに覚えがありました。
「わたしはちゃこちゃんが好きよ。この気持ちもきっと恋ね」
「ぼくだって!」
「ご主人様が大好きな恋ね」
「じゃあ、ちゃこちゃんに恋してるのはみんなで!」
こうして、ぬいぐるみたちの話し合いは無事に終わりましたとさ。
ランドセルさんは思いました。
(話の問題が変わっている気がするけれど、まあいいかしら)
〖おしまい〗
お読みくださり、本当にありがとうございました。
「恋」って説明が難しいですね。




