54:進撃の新帝王
クリスマスに書いたから初投稿です!
(´;ω;`)
「おぉ、あれがクロウ・タイタスかッ!」
「なんて凛々しいお顔を……っ!」
「伝説の魔龍を討ったという、現代の英雄ッ!」
――どうしてこうなった、と俺は思う。
というわけで目覚めてから一週間後。
帝都一帯を挙げた俺の『公開受勲式』が執り行われることになった。
大通りの両脇に民衆たちがズラァァァアアアアッと居並び、その真ん中に敷かれたクソ長レッドカーペットを俺がズンズン歩いていく形だ。パレードってやつだな。
「クロウ様ー!」
「こっち見てー!」
「きゃーっキリッとしてるーっ! 絶対難しいこと考えてるー!」
……もう帰ってあんぱんが食いたかった。
さっきから心臓がバクバクだ。
だって俺、田舎に住んでた陰キャだぞ……!? ちょっと前まで数十世帯もない場所で暮らしてたんだぞ!?
それが帝国の中心で、何十万人もの民衆に見られながら歩いてるってどゆことぉ!?
しかも、
――チョイワル魂! チラホラッ! ウマソー!――
……腰には全自動人斬りソードのムラマサくん付きだ。
まぁ今は俺の精神世界に置かれた『ドラゴンの魂弁当』をクチャクチャして飢えを凌いでてくれてるが、それでもビクンビクンッ反応しやがる。
お前、こんなところで刃抜いたら大パニックになるからな!? 絶対やめろよ!?
「おぉ、流石は龍殺しの英雄ッ! 気迫に満ち溢れておる……!」
「うむ……武芸に通じているゆえ判るが、いつでも腰の刀に手を伸ばせるよう意識しておる」
「あの若さでよく練り上げたものよ……」
ふぇぇ、パレードの警備をしてるベテランっぽい騎士様たちがなんか評価してくるよぉー!
違うからッ! いつでも刀を抜けるようにしてるんじゃなくて、ムラマサが暴走したとき取り押さえようと思ってるだけだから!
あーもうっ! 視線が突き刺さってプレッシャー半端ないし、ムラマサが暴れないかずっと不安だしで、クロウくんお腹が痛いよぉ!
「――流石はクロウさん。堂々としてらっしゃいますねぇ」
そんな俺に、左下から小声で話しかけてくる人がいた。
白髪ロリータの王太后、エルディア・フォン・レムリア様だ。
彼女は今、俺の腕をひしッッッと取りながら一緒に行進していた。
……っていやなんでだよッ!
帝王のママなんだから帝王と一緒にいなきゃいけないんじゃないのぉ!?
あとちょっと俺に寄り添いすぎてません!?
「……エルディア、帝王の側にいなくていいのか? こんな姿を見たら困惑するぞ?」
「ふふふ、今さらですよクロウさん。むしろわたくしは、もっと早くにあの子を見放すべきだったんです。それが更生を信じて見守り続け、こんな事態になってしまった。アナタの人生を、奪うことになってしまった……」
と、俺のことを申し訳なさそうに見上げてくるエルディアさん。
人生を奪うことになったって……あぁ、帝王のせいで龍と戦って死にかけたことね。
たしかに内臓がムラマサ製になって、これまで通りの生き方は出来なくなっちゃったなぁ。
でも、エルディアさんが気にすることないと思うんだが。
「クロウさんのこれからの人生は、わたくしが一生面倒を見ますからね……!」
って、人生一生面倒を見る!?
いやいやいやいやッ、エルディアさん責任を感じすぎだろ!?
俺もうピンピンしてるからそこまではいいよ! あくまでも悪いのは帝王で、お母さんに罪はないっすよ!?
「……気にすることはないさ、エルディア。全ては息子の責任だ。アナタはもう気に病むことなく、女性として次の幸せを目指すといい」
エルディアさんめっちゃ美少女だからねー。
まぁちょっと幼すぎる感はあるけど、結婚を望む相手はいるだろ。
そんな誰かさんを見つけて幸せになればいいと思いますよー。
「っ、クロウさんってば優しすぎますよ……。わたくしなんて、もうおばあちゃんですのに……」
「フッ、関係ないさ」
クロウくんは気遣いが出来る男ですからね。
“自分みたいなおばあちゃんに再婚相手が見つかるわけないでしょ”と思ってるらしいエルディアさんに、自信の出る言葉をいっぱい投げちゃいますよ!
「アナタはとても美しい。こんな花嫁を手に出来て、不幸せに思う男がどこにいる?」
「はぅっ!?」
おぉ、エルディアさんが赤くなったぞ! すごく喜んでるみたいだなッ!
恥ずかしがり屋で口下手な俺だが、アイリスさんやエルディアさんみたいな別世界の住民すぎて一切脈のない相手なら、遠慮なく褒めることが出来るからな。キザなセリフだって吐けちゃいますよ!
「麗しい姫君、我が剣にかけてアナタに誓おう。(※騎士として)アナタを生涯守り抜くと……!」
「はひぃっ!?」
「だからどうか微笑んでくれ。アナタの側には、このクロウが(※騎士として)いるのだから――ッ!」
「はほぉ!?」
――民衆たちが見守る中、あえて彼らにも聞こえるような声で囁く。
すると周囲の者たちは「わぁ……っ!」と沸き立った。
ふふふふ……これぞエルディアさんを元気にさせつつ、民衆たちからの好感度を上げる戦法よ。
たくさんの人たちが俺に好意的な目を向けてくれているが、それは今だけだろう。
俺みたいな田舎っぺが帝王に文句言い始めたら、みんな『なんだアイツ……』って思うに決まってる。
だからこそ、今のうちにみんなにちょっとでも好かれておこうってわけだ。
よくわからん田舎っぺから『レディに気遣いが出来る紳士的田舎っぺ』に印象をアップすることで、イメージダウンを軽減しようってわけだな。ふふふのふ。
「あぁ、クロウ様ってばなんて甘い言葉をささやくのかしら……!
ただでさえ乙女心に響くのに、もし私が愛のない結婚の果てに子育てに失敗して一人孤独に悩み続けてきた立場だったらクリーンヒットよ! 今日が排卵日になってしまうわ!」
「おいおい、あの口説かれてる美少女ってエルディア王太后だろ? あんなナリだが、帝王の母親だっていう……!
医学的に女性の脳は更年期を迎えるまで加齢するごとに性欲が増す仕組みになってるが、その法則に当てはめるなら閉経することなく歳を取り続けた王太后の性欲は人類最大のモノになってるはずだぞ? そこで若い男からアプローチされてみろ、脳みそが子宮になっちまうぞ……!」
「匂わせってレベルじゃねえよ……! あのクロウってお人、大観衆を前にして言葉でピストンしてやがる……ッ! こんなの伝説デキちまうだろッ!」
――「少子化対策してるよアイツら……」「エルディア様の顔見ろよ、国会招致の顔だよアレ……」「国際交流決定だよ……」とよくわからんことを言う民衆たち。
むむっ。なんか俺のことを勘違いしてる連中がいるな。
あくまで俺は帝国騎士として王族のエルディア様に優しいこと言ってるだけで、恋愛的な意味とか全然ないからな?
はぁ~まったく。何でもかんでも色恋ネタに繋げてくる陽キャ連中は困りますよホント。クロウくんの奥手遺伝子を髄液にちょっと混ぜたくなりますよ。
「まったく……外野が少々うるさいな。俺とエルディアの関係を、軽々しいモノと思われるのは不快だ」
「そっ、しょうでふよ、ね……♡ わたくしとアナタ様は、もう軽い関係じゃ、ないですよね……っ♡」
おっと、エルディア様がさらにこっちに体重を預けてきたぞ!?
ってか身体あっつ! もう顔色が赤を通り越してピンクになってるし、ドレスのスカートから汗がボタボタ落ちてるぞ!?
あっ……もしかしてエルディアさん、熱があったのか!?
そんな状態だけど、初めての式典に臨む俺が心細くならないよう、ついてきてくれたってことなのか……!?
う、うぉおおおッ! 流石は大天使アイリスさんのお師匠様ッ! 清き心に満ち溢れてるぜ!
クロウくんポイント100点を上げよう! 500点貯めたら俺のパンツと交換できます!(いらんだろうけど)
「なるほどな……ならば」
俺のことを思いやってくれた体調の悪そうな女性が隣にいるんだぞ?
ならばやる事は一つだろう。民衆たちからの好感度を稼ぐためにも、俺はその場で立ち止まると――。
「よっと」
エルディアの足と背中に手を伸ばし、胸の前まで抱き上げた――!
よしっ、これで体調不良のエルディア様を歩かせなくて済むな!
「ひゃっ、ひゃぁああぁああッ!? こっ、これっ、お姫様だっこ!? そ、そんなクロウさんっ! 皆さまが見てる前で、こんなっ!?」
オヒメサマだっこ? なんだそれ、田舎者だから知らないんだが。
まぁともかく、このまま進んでいくってばよ!
「クロウさまぁっ、みなさん見てるんですけどぉ!?」
「フッ、恥ずかしがることはない。エルディアが病める時や苦しい時、それを支えるのが(※騎士である)俺の役目だからな」
「はぅぅぅぅぅぅぅう……ッ!?♡」
謎の鳴き声をあげるエルディアさんと、キャァァァッと謎の歓声をあげる民衆たち。
体調の悪い女の子を気遣うのは当然のことだからそこまで騒ぐことないと思うんだが?
まぁとりあえず、これで俺の好感度はそこそこのモノになっただろう!
よーし帝王のところにレッツラゴーだ! がははのは!
「さぁ、行こうか。共に、(※エルディアさんの)息子を叱りにな」
「はひぃ……!♡」
◆ ◇ ◆
『――おい、前の列のやつが言ってたぜ? クロウさんってば、みんなの前でさぁ――』
『――は!? マジかよ!? すげぇよあの人……――』
天幕の薄布の向こうより響く、民衆共の声がわずらわしい。
「まったく、騒がしい連中だ……」
これだから市井になど赴きたくなかったのだと、帝王ジルソニアは溜め息を吐いた。
――パレード形式の公開受勲式は、クロウ・タイタスが帝王の下に向かう形となっている。
長く続くレッドカーペットの向こう。パレードの終了地点は帝都中央の大広場となっており、そこに設けられた天幕の中にジルソニアは鎮座していた。
「クククッ……さっさと来るがよい、英雄クロウよ。今日は存分におぬしを讃えてくれるわ」
邪悪な笑みを浮かべながら、帝王は黄金の杖を弄ぶ。
そう。本日限りはあの平民風情にあらゆる美辞麗句を吐いてやるつもりでいた。
寛大な心で接してやろう。笑顔だって向けてやろう。死ぬほど嫌だが無礼も許し、全力で友好的に接してやろう。
そして後日――クロウ・タイタスが油断したタイミングで。
「使えない宰相のように、我が杖の力で溶解してやるわ……ッ!」
邪魔者が消え去る瞬間を夢想し、帝王は笑う。
かくして――会敵の時は訪れた。
天幕の薄布の向こうより、一人の男の影が近づいてくるのが映った。
それと同時に上がる歓声。広場に集った民衆共が、猿のように盛り上がる。
『やッ、やべーよ! 伝説のクロウさん来たよ!』
『龍殺しの英雄がどんなヤツかと思ったら、マジでやべーよ……!』
『税金使った式典ですげえモン見せてくれるよ……! 納税してきてよかったぁ……!』
……意味不明なほどに盛り上がる声が耳障りだ。
クロウ・タイタスは大層な男前と聞いているが、だからとてアレほど狂乱するとは。
「フン、帝都の民度も落ちたものだな」
これが終わったら、選民政策でも打ち立ててやろうか。
自分を苛つかせた平民は全て溶かし殺してやろうと帝王は目論む。
そして……一番目に殺すのは、無論あの男だ。
「さぁ、顔見せと行こうか、ゴミ虫めッ!」
座椅子より立ち上がるジルソニア。
本来ならば平民ごときを立って迎えるなど不快の極みだが、今日だけは特別だ。
帝王は仮初の笑顔を浮かべ、表舞台に姿を現す――!
「よくぞ来たッ、英雄クロウよ! 儂はおぬしを歓迎するぞォ!」
そして。
いざ勝負の時と、帝王ジルソニアがクロウを直に見た瞬間。
……勝負は一瞬にして決着が付いた。
「――あぁアナタ様ぁ……♡ エルディアはもう足腰が立ちませんわぁぁ……♡」
「そうか、ならばこのまま帝王と話すか(そんなに体調悪いのかなぁ?)」
驚愕の光景が目に映る……!
天幕から出た先にあったのは、クロウ・タイタスと……彼に抱かれて“雌の顔”を晒した、帝王の母・エルディアの姿だった――!!!
「ほッ、ほぎゃああああああああああああああああああー---------ッッッ!?」
……奇声を上げて膝をつく帝王。
脳が壊れるような衝撃を受け、意識が一気に混濁していく。
ああ、もうこの時点で勝負はついていた。
今まで多くの平民の命を奪ってきた男が、平民に母親を寝取られるという最悪の意趣返しを喰らった瞬間だった……!
だが――運命はまだ、彼に倒れることを許さない。
「危ない……ッ!」
意識を失くした帝王が倒れようとした刹那、誰かの腕が背中を支えてくれた。
その温かさと力強さに、父の姿を思い返すジルソニア。
あぁお父様……と、数十年ぶりに父を呼びながら、瞳を開くと……。
「大丈夫ですか、帝王よ? ――いや、今はジルソニアと呼ぶべきかな」
そこには憎きクロウ・タイタスと、彼に抱き締められた母が、超至近距離でこちらを見下ろしていた……!
そして、気付いてしまう。
クロウの左手の薬指……そこに嵌められた、王家の指輪に――!
「ではジルソニアよ。これよりこのクロウが、父に代わってお前を叱るぞ」
――衝撃の発言にどよめく民衆。天幕の近くに居並んだ臣下たちも、クロウの指輪と放たれた言葉に愕然とする。
それは、つまり、もう疑う余地など一切なく……。
答え合わせをするように、エルディアは呆然とする帝王に笑顔で言い放つ。
「ほらジルッ、新しいお父さんに怒ってもらいなさいっ!♡」
――こうして帝王は、王家がクロウに乗っ取られた事実を知るのだった。
「ほんぎゃぁあああああああァアアアアアアアアアアアアアアアアー-----------ッ!?」
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