53:進撃の帝王
アキバ冥途戦争終わっちゃったから初投稿です!!!!!!!
――クロウ・タイタスが目覚めてから一週間。
帝王ジルソニアの顔色は、日に日に悪くなり続けていた。
本日も朝から玉座にもたれかかり、宰相からの成果報告を呆然と聞く。
「……申し訳ありません、陛下。クロウ抹殺の件ですが……」
「今回も、失敗か」
もはや期待はしていなかった。
連日、連日、失敗続き。最初の日以来、クロウに近づくことすら出来ない始末だという。
今や帝王の心に、宰相スペルビオスへの信頼はなくなりきっていた。
「……もうよい。さっさと後任の宰相を用意するんだな、スペルビオス」
「なっ、陛下!?」
「ちなみに息子を挙げることは許さんぞ。貴様の一族は、永久に官職から排除してやる」
「そんなっ、酷すぎますぞ陛下ッ!? 今までずっと仕えてきたのにぃぃぃぃいいー--っ!?」
泣き喚く宰相を無視し、ジルソニアは玉座から立ち上がった。
ああ……嫌悪感に手が震える。
いよいよこの日が来てしまった。
クロウを抹殺できぬまま、ついに今日を迎えてしまった。
クロウ・タイタスという男を……取るに足らない平民風情を、王族である自分が褒め称えなければいけない日が……!
国民の前での『公開受勲式』。
母・エルディアと多くの民衆たちの希望により迎えてしまった悪夢のイベントに、帝王ジルソニアは挑まなければならなくなってしまった。
「へっ、陛下おまちをッ! 全ては『白刃のアイリス』が悪いのですッ!」
そんなジルソニアの足元に、宰相は泣きながら追い縋る。
彼もまた必死な立場だった。これまで横暴な帝王の犬になり続けてきたのは、自身と子孫の栄達のためなのだから。
そのために捧げた数十年の時間と努力を、無にして堪るかと縋り付く。
「あっ、あの女のせいなのです! 王太后の屋敷周りを四六時中嗅いで回りッ、我が手の者をアイツが阻み続けているから!」
「……黙れ」
「アイリス・ゼヒレーテめッ、合法的に屋敷から離そうと召集命令を出そうが、全て無視してくる始末! あぁなんとふてぶてしいことかッ! そう、全てはあの女のせいであの女のせいで……っ!」
「黙れと言ったのがわからんかァァアーーーッ!?」
ついに頂点に達する怒り。
帝王は黄金の杖を振り上げると、ソレを宰相の頭蓋骨に叩き下ろした――!
「ぐげぇえええッ!?」
傷と耳から脳漿を噴き上げる宰相。老いた瘦身が痙攣し、手足の筋が無様に踊る。
明らかに致命傷だった。だがジルソニアの怒りは収まらず、何度も何度も、何度も何度も何度も何度も――黄金の王杖を、宰相の頭に叩きつける。
「死ねッ! 死ねッ! 死ねッ、死ねぇッ! 儂を苦しめる無能はみんな死ねぇッ!」
「あがッ!? ぎゃぴッ!?」
玉座の間に響く怒号と絶叫。
帝王が吼えるたび、美しき王杖が臣下の血潮に染まりゆく。
「ぉッ、やめッ、わッ! 私にはッ、愛しい、年頃の息子が……っ! まだ、死にたく、なッ」
「知るかぁぁあああああー------!」
ひときわ強く叩きつけられる一撃。
それを最後に、ついに宰相は動かなくなった。
「ふぅーッ、ふぅーッ、ふぅぅー--……ッ!」
――帝王ジルソニアが、王としての一線を超えた瞬間である。
これまで幾人も殺してきた彼だが、それはあくまで平民に限る。
貴族の者を、中でも自身に忠実な臣下を殺めたことは一切なかった。
だが。
「思い知ったか、スペルビオスゥ……!」
帝王はついに、殺めてしまった。
怒りのままに、数十年来の忠臣を抹殺してしまった。
老害の王が真の暴君に変わってしまった瞬間である。
「はぁ……くそっ、汚らしい血で王杖を穢しおって……」
もはや宰相の亡骸など一瞥もせず、血に染まった杖だけを気にする帝王。
と、その時だ。黄金の杖が仄かに輝くや、魔力の光が溢れ出した。
「なっ、これは!? 勝手に術を使っておるのか!?」
これまで王家に受け継がれてきた黄金の杖。
それは欠損の一切ない形で現代まで伝わった、『完全魔導兵装』と呼ばれるものだ。
通常の魔導兵装が神話の武具の一部などから精製されるのとは違い、『完全魔導兵装』は神の時代そのままの美を誇っている。
ゆえにいつしか、レムリア帝国の王が受け継ぐモノとして扱われてきたのだが……。
「むぅ、何が起きるというのだ……!?」
王の財宝として扱われてきたがゆえに、その名も能力も一切不明だった。
もちろん解き明かそうとした者はいるだろう。だが王家の宝であるために大それた実験などは出来ず、これまで詳細不明なままであった。
「これは……」
杖から放たれる黄金の光。
それは先ほど撲殺した宰相の身体に向かっていき、やがて変化を巻き起こす。
ブシュッという悍ましい音を立て、肉が溶解し始めたのだ。
宰相の死骸はみるみるうちに液状になっていき、ついには骨や髪も溶け消えてしまった。
「お、おぉぉぉ……!」
帝王の前に残ったのは、元人間の肉液が沁み込んだ宰相のローブだけだった。
その末路に、杖の力に、ジルソニアは上機嫌に笑う。
「ふっ、ふははははッ!? おぉ、素晴らしいぞ王杖よ! まさか人体を融解する能力を持っていたとは……ッ! こ、これならばっ!」
屈辱の未来に、光が差した。
ああ、なんと強力な魔導兵装だったのか。この能力を使えば、憎きクロウ・タイタスを完全に抹殺せしめれるだろう。
しかも死体すら残さずに、だ。
「ふふふふふ……よし、いいだろう。英雄であるクロウくんを、寛ッ大な心で讃えてやろうではないかッ!」
黄金の杖を握り締め、『公開受勲式』に堂々と向かう。
もはや嫌気はなくなった。クロウを抹殺するうえで必要な儀式と思えば、喜んで彼を誉めてやろう。
あぁいいさ。何ならこれまでの暗殺容疑を認め、涙ながらに頭を下げてもかまわない。
そして。
「ヤツが油断したタイミングで呼び出し、杖の力で消し去ってやる……!」
確信する。この計画は必ず上手くいくと。
なにせ、自分たち王族すら杖の能力知らなかったのだ。
ならばクロウが知るはずもなく、帝王に対して『一人では戦う力もない者』と思い込むだろう。
その印象を利用し、殺してやる。
「最後に勝つのは儂だッ、クロウ・タイタスッ! はははははぁぁあー--!」
高らかに笑いながら、玉座の間を去るジルソニア。
こうして彼は決戦の舞台に向かうのだった。
――憎きクロウ・タイタスの指に、母からの指輪が嵌められていることも知らずに……ッ!
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声優の赤羽根健治(@kenji__akabane)様に主人公を❗\プロデューサー!/
逢田梨香子(@Rikako_Aida)様にヒロインを演じていただきました❗\リコチャーン!/
ぜひご予約とご購入をおねがいします~!
・次回、クソ帝王VSクソ主人公!
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