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39/64

39:不屈

初投稿です



(ぅ――うぇぇぇええええぇんっ、全身痛いよぉぉぉぉぉおおおおおおおおぉぉおおおおおおおー---!)


 ――結論から言うと、俺は生きていた。

 ドラゴンと繋がったまま滅茶苦茶に振り回された後のこと。気付けば俺は、どこかの民家に落下していた。

 天井を突き破ってのダイナミック侵入だ。お留守っぽい家主さん、ごめんねー。

 

(うぐぅ……俺は、たしか……)


 途切れ途切れの記憶を振り返る。

 ドラゴンが急降下を始めた途中で、なぜかアイツから離脱する事が出来た。

 それで落下する途中、地面に向かって『黒轟死銃アーラシュ』のビームをぶっ放して落下の勢いを殺したんだったか。

 まぁそれでも勢いよく落ちることになったが、ダインスレイブで強化状態になってたことが幸いしたようだ。アレがなかったら、ドラゴンに振り回されている時点で死んでたかもだな……。


(と、とりあえず起きますかぁ……!)


 いつまでもへばっている場合じゃない。幸いドラゴンから離れることが出来たみたいだし、今の内に治療を……って、あれ?

 起き上がろうとしたその時、なぜか身体が右に倒れた。ふらついたわけじゃなく、重心自体がおかしいんだ。

 ……それに全身が痛いのに、なぜか左腕だけは痛みを発さない。


(ま、まさ、か……?)


 そこで俺は、初めて自分の身体を見下ろした。そして気付く。


(ひ――左腕、千切れてるやんけえええええええええええー----------!?)


 瞬間、左肩近くの断面から激痛が噴き出す!

 グチャグチャになった全身よりもなお酷い『神経の千切れた痛み』が、電流となって脳を焦がす――!


「ぐぅううううッ!?」


 痛い痛い痛い痛い!

 焼き焦がされるように断面が熱い。噛み締めた奥歯に罅が入る。意識をさっさと失いたいほど痛いのに、四肢欠損の激痛は失神すらも許してくれない。

 

 ――……器……!――


 胸から響くムラマサの声。だが、それはどこか遠いものだった。


 そういえば思い出したよ……。

 左腕が千切れる直前、右手の刃を黒龍に突き刺し、左手に握っていた黒業死銃を空いた片手に投げたんだったな。そのおかげで落下の勢いを殺すのに使う事が出来た。

 ナイス判断だ俺……って、そんな咄嗟の動きが俺に出来るわけないか。痛みで記憶もあやふやだが、ムラマサがやってくれたんだな。ありがとよ……。


(くそ、死ぬ……このままじゃ、マジで死ぬ……!)


 頼むから早く誰か来てくれと、俺は勝手にも助けを願った。

 幸いにもここはどこかの集落みたいだ。突然落ちてきた身で図々しいが、さっさと誰か駆け付けてくれよ……!

 ――そう希望した瞬間のことだった。外からざわざわと、人々の声が響いてきた。


(た、助かった!)


 みんな驚いているのだろう。「空から何かがッ」と、落ちてきた俺のことについて騒いでいる。

 彼らには後でたくさん謝ろう。この家の持ち主さんにもごめんなさいだ。

 だから早く助けてくれよと、俺が大声を上げようとした――その時。


「空から――空からドラゴンが迫ってくるぞぉおおおおおおおおー---------!」


 ――そして、豪風が吹き荒れる。

 人々の絶叫と共に壁が吹き飛び、俺の身体は転がされた。

 もはや全身が痛すぎて転がった痛みくらいなんともない。そんなことよりも、俺は剝き出しになった外の景色に釘付けとなった。


『ガァァァァァァァア……!』


 翼を広げた黒龍が、俺のほうを睨んでいたのだ……!

 ヤツは、俺を逃がす気など一切なかった。己が手で直接ぶっ殺すためにここまで追ってきたのだ。


(はは……でかいくせに、みみっちすぎるだろ……)


 ただでさえ死にそうな状態なのに、アレを倒さなきゃ生き残れないだと?

 

(……無理だ)


 俺の心は、絶望に染まった。




 ◆ ◇ ◆



「終わったなァ」


 玉座の間にて、黒魔導組織が首領・ヴォーティガンは呟いた。


 今、彼の視界は城内ではなく一人の男を映していた。

 ぼろ雑巾のように全身が裂け、左腕を失った黒髪の男・クロウ。彼が死にゆく哀れな姿を、ヴォーティガンは龍の感覚器官を借りて観察していた。


「ハッ……流石は『天滅のニーズホッグ』。例の小僧も、()()()()()()()()あの龍には敵わんか」


 クツクツと嗤うヴォーティガン。無造作に伸びた顎髭を撫でながら、「わりぃな小僧」と呟いた。

 ああ、もはやあの状況を覆す手などない。クロウ・タイタスの心は完全に折れ切っているはずだ。

 民衆たちの悲鳴を聞きながら、ヴォーティガンは消化試合をゆったりと見守る。


「さぁ、これで計画の邪魔は一つ減った。次こそは『白刃のアイリス』の無力化を……」


 彼が思案に耽ろうとした――その時。


「……は?」


 クロウ・タイタスが、ゆっくりと立ち上がり始めた。

 ふらつきながらも着実に……弱々しくも雄々しく。身も心も既に終わっているはずの男が、再起を果たす……!


「は……は……?」


 かくして、一歩。また一歩。ヴォーティガンが呆ける間に、男は歩む。

 逃げ惑う民衆たちとは逆方向に……そんな彼らを庇うようにして、クロウ・タイタスは黒龍の前に歩み出た。

 そして、


『民衆たちは傷付けさせん。俺が、相手だ……!』


「ッッッッ――!?」


 堂々と響く守護の宣誓。血濡れた姿でなお頼もしき、クロウの鮮烈なる姿。

 それらを前に、


「ぁ、あ……!」


 ヴォーティガンの胸に、撃ち抜かれたような衝撃が奔った――。




『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回も面白かったです。 ムラマサの相棒感あったりクロウ君の格好良さ、ハリボテとわかってても魅せられて良いですね
[良い点] 続きがきになるんだよおおおお 俺らの胸はとっくにうちぬかれてんだよおおお [気になる点] 魅力的すぎる [一言] 毎日何回更新ボタン押させるんですか?
[一言] 敵と味方の上層部が繋がってるのは良くあること
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