14:伝説のクロウくんの伝説……!
なろうに初投稿です!
「――それでですねヒュプノさんっ! なんとこの人、すごく愁いを帯びた顔で私のことを心配してくれてて……!
もうっ、本当にどうしようもないくらいのお人よしさんです……♡」
「おやおや、それは羨ましい話だねぇ~! 僕もそんな風に想われたいなぁ、クロウくん?」
……はいどうも。騎士団支部に呼ばれたクロウくんです。
えーただいま銀髪美少女のヴィータちゃんと、白衣系美少女(???)のヒュプノさんに挟まれ、支部の廊下をテクテクと歩いています。
あ、すれ違う職員さんたちが羨ましそうな視線を送ってきますねー。どうもどうもー。
「こっちだよ」
ヒュプノさんに言われて地下への階段を下りていきます。
今この人の研究室に向かってるとこなんですよね。ヒュプノさんってば支部長さんなのに、わざわざ入り口で俺のことを待っててくれました。いい人ですねー。
(――って、いい人もクソもねーよピンチだよ! これじゃあ逃げるに逃げられねえよ!?)
澄ました顔を保ちながら、俺はめちゃくちゃ焦っていた……!
(俺のムラマサは人斬り魔剣。腹が減ったら俺の身体を操って暴れるヤベー代物だ。……それについて話があるって……まさか、その性質がバレちゃったのか!?)
俺の演技は完璧なはずだ。取り憑かれてるようには見えないはず。
だが、もしもムラマサの逸話が文献なんかに残っていたらおしまいだ。
(千年前の大混乱でたくさんの本がなくなっちゃったらしいけど、それでも一部は残ってるからなぁ。
……いやだが、ムラマサは名前的に極東の武器のはず! たしかニホンって国だったか。あそこは島国だから魔物たちから逃げづらく、ほとんどの住民は死んでしまったと聞く。なら書物も伝わってるわけが……!)
俺はどうにか心を落ち着けようとする。
うん、もしもムラマサがヤベー武器だってバレてたら、それの使い手の俺には近づかないはずだもんな。
それなのにヒュプノさんってば俺の手を握って引っ張ってくれてる。うん、こりゃー何も知らないはずだ!
「さぁ、研究室に着いたよ。そこのソファに座ってくれたまえ。あと『ムラマサ』は机の上に置いてね」
「あぁわかった」
言われた通りに刀を置く。
それをまじまじと見つめるヒュプノさん。「はえ~」とか言いながら指でつついたりしているあたり、全然怖がった様子はない。
これはやっぱり何も知らないな! 誤魔化せそうだぜハッハッハ!
「これが人斬り魔剣のムラマサかぁ。カッコいいフォルムをしてるねー」
ハッハッ……ファッ!?!?!?!?!?
い、今この人、人斬り魔剣とおっしゃいましたぁ!? ええええ!?
「ヴィータ嬢もクロウくんのを触ってみるかい? あぁ、せっかくだから鞘から抜いちゃおうか」
「えっ……うわぁ、怖いくらい黒くて鋭い……!」
ってヴィータちゃんにも触らせてんなよっ!
人斬り魔剣ってわかってるなら二人で仲良く指を這わせるなよぉっ!?
「よし堪能した。――さてクロウくん」
ヒュプノさんは姿勢を正すと、こちらを真っすぐに見つめてきた。
俺は静かに思う。――あぁ、終わったと。
ムラマサの性質は普通にバレていた。
研究員兼支部長ともなれば、大昔の貴重な文献を見放題だろうからな。そこにムラマサのことが載っていたんだろう。
ソレに取り憑かれてる俺は処刑確定だ。
「クロウくん……」
(ははっ、ヒュプノさんってばすげー俺のことを見てくるよ。これもしかして、実験生物として扱う気とか?)
それなら親しげなのも納得が行く。
実験に快く取り組んでくれるよう、打算を以って接しているわけだ。
(あぁでも処刑よりはマシか? ……いややっぱり処刑も実験もやだやだやだッ! 助けてアイリスさぁんっ!!!)
かくして、俺がクールな仮面を脱ぎ捨てて泣き叫びそうになった――その時。
ヒュプノさんは俺の手を取り、「素晴らしい!」と褒めてきた。ふぁ!?
「間違いない。キミは騎士団長以来の、『伝承克服者』だ!」
「伝承……克服者……?」
え、何言ってるのこの人!?
戸惑う俺に、彼(?)は「あぁすまない」と興奮気味に手を放した。
「説明するよ。実はどの魔導兵装もね、人の意思を歪めてしまう効果があるんだ。たとえそれが、聖剣と呼ばれる類のモノでもね」
ヒュプノさんは語る。――魔導兵装は本来、とてもおぞましいものなのだと。
「世界に溢れた魔力の影響で、武器の伝説はホンモノになった。炎が出ると伝えられていた剣からは、本当に炎が出るようになった。ここまではいいよね?」
「ああ……」
「けど、こっからが問題だよ。
――物語において、武器とその『使い手』はセットで登場するものだ。
それゆえ神話や伝承に詳しかった当時の人々は、“エクスカリバーといえばアーサー王”、“バルムンクといえばジークフリート”って具合に覚えていた」
ふむふむ――ってまさか!?
「察したようだねぇ?
魔導兵装は人々のイメージが現実化するモノ。つまり兵装を握った者は、その本来の持ち主と人格が似通ってしまうんだ……!」
え、えぇ、なにそれ怖すぎなんだが!?
自分が自分じゃなくなっていくってことか!?
――ってそれ俺じゃん!? 中身はともかく、身体は人斬りになってんじゃん!?
「だから基本、魔導騎士は複数の兵装を持たないようにしているんだ。それだけ心が捻じ曲げられちゃうからね。
あと悪人が聖剣を持ったりしてもヤバいよー? 本来の人格と離れすぎた人物の影響を受けると、頭がおかしくなって死ぬから」
「死ぬ……!?」
えぇこっわ……!
俺、お世辞にも人格者とは違うからな。聖剣は持たないようにしとこ……。
それと根暗だから陽キャの武装もNGだな。まぁ伝承や神話で陽キャって誰だよって感じだが。
「さぁて、ここからが本題だ。
――伝承において、『呪いの魔剣』と呼ばれている類。コレの汚染度は本当にやばい。
明確な使い手のいない武器でも、心が強くなきゃ殺人鬼まっしぐらになるはずだ」
ヒュプノは言う。「だからクロウくんの兵装がムラマサと知った時、飛び上がりそうになった」と。
「日本の希少な文献によると、人斬り魔剣の中でもトップの知名度を誇るとされている。
そんな武器なんだ。握ったら最後、正気を失った大悪人になるはず――なんだけど、ね」
ヒュプノは俺へと微笑を向けた。隣に座ったヴィータも一緒だ。
「クロウくん。キミは、心からの言葉でボクたちを救ってくれた。大悪人が『正義に生きろ』なんて言葉を吐けるかよ」
「えぇ。本当に人斬りになっていたら、昨日の時点で私やられてましたしね。間違いなくクロウさんは正気です」
信頼の眼差しで見てくる少女たち。
彼女たちは二人でムラマサを持ち、俺へと差し出してきた。
「フフッ。それに、魔剣から感じるこの穏やかな波動……。まるで安心して眠る赤子みたいだ。
クロウくんが持ってきてくれた魔剣『ダインスレイブ』も、まるで躾けられた犬のように静かだったしね」
「知ってますかクロウさん? 一部の兵装には人格のようなものがあり、触れてみると魔力の波動で感情がわかるんです。
危険な兵装はどれもおぞましい殺気を放ってきますが、クロウさんのモノはどちらも穏やか。まるで、本当の使い手に出会ったかのように」
俺がムラマサを受け取ると、最後にヒュプノは告げてきた。
「真に兵装を我が物とし、呪いさえも超越した者。騎士団ではそれを、『伝承克服者』と呼んでいる。
クロウくん。キミがその一人なんだよ――!」
祝福の笑みを浮かべるヒュプノさん。
ヴィータちゃんのほうも「騎士団長以外に現れるとは! 魔剣だって持ち放題ですよ!」と褒めてくる。
うん――でもねぇ二人とも、それ全然違うからね!?
(ムラマサは今お腹いっぱいで寝てるだけだし、ダインスレイブはムラマサでボコったら大人しくなっただけで……俺、普通に呪われてますからぁあああー------っ!?)
――そんなことを言えるわけもなく、「そうだったのか……俺が、伝承克服者……!」と驚いた顔をしておく。
かくしてこの日、俺は周囲の勘違いから伝説の存在に祭り上げられてしまったのだった……!
・伝説のクズ、爆誕――!
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