第5話 昇級
ギルドに到着した空達
ギルドの中に入ると昨日の酒屋でお世話になった人たちがいた
それ以外の冒険者達もこちらを見ているのがわかる
(あれが例の…)
(C級を倒したGランク冒険者だってよ…)
少し聞こえるが気にせずクエストの方に行く空達。
そこにグランがいた
空は昨日の礼を言った
「グラン昨日はありがとう!おかげで楽しかったよ」
するとグランは笑って答えた
「よお兄ちゃん!いいってことよ!俺たちも楽しかったからな!…それに死んでいった仲間たちの弔いもあったしな!笑顔で送ってやった方があいつらも気を悪くしねーだろ!ガハハハ!」
グランは見た目ほど悪くない人だと再確認した空だった。
すると受付のマキナが空達の方に近寄ってきた
「空様、リル様この度はC級討伐おめでとうございます。そして誠にありがとうございます。」
と頭をさげた
空は照れながら
「いえいえ!そんなとんでもない。たまたまですよ!」
と返した
「空様とリル様に少しお話があるんですが、奥の別室にお越しいただいてもよろしいですか?」
とマキナが話すので、空とリルは顔を見合わせた。深刻そうな話ではないのでついていくことにした。
別室につき2人でキョロキョロしていると
向かいのドアからマキナが入ってきた。
「どうぞ、お座りください」
そう言われたので空達は椅子に座った。
「ここにお二人をお呼びしたわけなんですが。ギルドランクの件です。お2人はギルドランクGにも関わらずC級のモンスターを討伐していただきました。異例中の異例ですがお2人をCランクまで上げたいのですが、いかがでしょうか?」
と言われ空とリルは呆気にとられている
そこで空が質問をした
「この前聞き忘れていたのですが、ランクは普通ならどうやってあがるんですか?」
「はい。普通ではランク毎に見合ったクエストを基準の回数クリアしていただければランクは上がります。例えばG→Fに上がる場合は35回のクエストクリアが基準です。F→Eだと45回になります。ランクが上がる毎にクエストクリア回数の基準はあがります。」
(なるほど、高いランクになればモンスターも強くなる。それで基準回数を増やして冒険者にランクがふさわしいか見ているのか。考え込まれてるな…)
空はもう一つ質問をした
「それではなぜC級を倒したらランクをCまで上げてくれるんですか?」
「はい。それはですね。モンスターのランクに合わせてギルドも冒険者にランク付けをしているからです。例えば今回のC級モンスター討伐に対応しているランクはCかDなんです。B級にはランクBとCが討伐の基本となっているからです。」
空は疑問に思った。
「なら、僕たちはせめてDランクでもいいんじゃ?」
と聞くとリルも話した
「いや、待ってください!空はともかく私わランクGが妥当ですよ。」
マキナは答えた
「はい。リル様の言うとおりでございます。ですが聞いた話によるとリル様は火の上位魔法を使えるそうですね。上位魔法が使えるランクとなるとDランクが妥当。そして空様は魔法の組み合わせが出来、魔法は全属性使えると聞きました。ギルドとしてはSランク冒険者でも申し分ありません。ですが2人とも冒険者になりたてと言うこともありましてC級と判断をさせていただきました。」
空もリルもすこし考えている様子だ。
数分の沈黙ののち空はリルに問いかけた
「リルはこの話どう思う?」
「私はこの話…受けてもいいと思うわ。C級になればダンジョン攻略もいけるしね!」
「ダンジョン攻略にランクなんてあるの??」
と空は驚いていた
リルは呆れた顔で
「あのね…」
と口走ったがマキナが喋り出した
「それについてもわたしから説明させてもらいます。この世界にはダンジョンが5つあります。【カルディア】、【グルーシス】、【ユラフィス】、【ユーリア】、そして【デストピア】。この5つのダンジョンには適正階級があるんです。
『カルディアにはCランク以上』
『グルーシスはカルディア攻略者でBランク以上』
『ユラフィスはグルーシス攻略者でAランク以上』
『ユーリアはユラフィス攻略者でSランク以上』
そして『デストピアは他4つのダンジョン攻略者でSランク以上』になります。ちなみにデストピアは攻略者はまだいません。それにダンジョンは冒険者にとって宝の宝庫と言われているくらいですのでダンジョンがいかに厳しくても行く人は沢山いますよ。」
(たぶん父さんのパーティーが全滅したのはデストピアかもしれないな。)
空は今後の目標はダンジョンにすると心に決め返事をした
「わかりました。ならこの話受けます。よろしくお願いします。」
「わたしも。よろしくお願いします。」
2人は立ち上がって言った
マキナも立ち上がり
「こちらこそ。よろしくお願いいたします。」
と頭を下げた
「では、お2人のギルドカードを頂いてもよろしいですか?新しくCランク冒険者としてお造りさせていただきます。」
2人はギルドカードをマキナに渡し
受け取ったマキナは入ってきた扉の方に歩いていきこちらに一礼をしてから出て行った。
空はその間にリルに自分のことを話したのだ
「リル。実は僕は異世界からの転移者で……」
自分の生い立ちを話した空
リルはすこし驚きながら聞いていたが慣れたのかさほど動揺は感じられなかった。
「空のお父さんが華麗なる閃光のシロー様とはね、たしかにあなたの規格外さからすれば納得だわ。」
空は少し照れながら
「ハハハ…。それでリルに折り入って頼みがあるんだけど。僕とパーティーを組んでくれないかな?」
リルはすぐに
「いいわよ!!空から言わなかったら私から言おうと思ってたもの。空から言ってくれるなんてとても嬉しいわ。」
と少し顔を赤くしながら言った
空もすこし顔を赤らめて
「これからよろしくねリル!」
「こちらこそ!華麗なる閃光を超えるパーティーにしましょう!」
と言い空に手を差し出した。
空も手を出し握手をした。
ドアを叩く音がし、マキナが新しいギルドカードを持って入ってきた。
「こちらが新しいギルドカードになります。
Cランク冒険者 真白 空様
Cランク冒険者 リル・ファーナ様
お受け取りください。」
2人は新しいギルドカードを受け取り喜んだ。
(父さんやっとダンジョンに行けるよ。)
と空は思いながら喜んでいた。