第50話 空の剣技
空1人に対してブリンガンは10人
数ではブリンガンが優勢だが、個人の力はデルアを除けば空よりも格下だった
「泥狼」
空は地面に手をつけて言った
すると空とブリンガンの間に15匹の泥の狼が現れた
「行け!」
空の合図と共に狼達が敵に向かい走り出した
「おい!お前らくるぞ!」
「この技はなんだ?魔法ではないだろ」
「こいつらの縄張りを守っていたのもこの狼だ。大した事はない。冷静に倒せばいい」
「…。」
ブリンガン達が声を発するなか、デルアは沈黙していた。
「影掴手」
「な、なんだこれ!」
「くそ!動かねぇー!!」
空は闇魔法でブリンガン達を縛り身動きを取れなくした
だが、デルアはそれにすぐに気づき上に飛び空の魔法を回避していた
(あの技は2.3人を縛るのが限度のはず。あいつあんな力を…!まずい、狼が!)
空が縛ったブリンガン達に狼が走って向かっていく
「風魔法 風斬」
デルアの放った風の刃が狼達に向かっていく
「風林水柱」
空の周りに水の槍が現れ、それを風魔法で超回転させた
その技をデルアの魔法に向け放った
空の技はデルアの魔法を打ち破り、コウに契約魔法をかけた盗賊のみぞおち辺りを貫通していった
「ぐぁぁ!う、嘘でしょ!?まだ私は死ぬわけには…。」
バタッとその女盗賊は倒れ息絶えたのだ
デルアの魔法を抹消した隙に狼達はブリンガンに噛みついた
「燃え尽きろ(バーンアウト)」
空がつぶやいた
すると、噛み付いている狼達の体の内側が赤く膨れ上がり大爆発を起こした
巻き起こった煙が消えるとそこにはブリンガン達の死体が横たわっていたのだ
「おいおい。嘘だろ。さっきまでビビって震えてた奴だとは思えないな。」
デルアは地面に着地して言った
「あとはお前だけだ。」
デルアに剣を向け空は言った
「さっきの火の壁の中で何があったかは知らないが、面白いじゃないか。相手になってやるよ。…俺の名はデルア。これでも名の通ったクロスセイバーだ。お前も名を名乗れ。倒した相手の名前くらいは覚えておきたいんでな。」
「真白 空。魔剣士だ。」
「いくぞ。空!!」
「…こい。」
デルアと空は互いに相手に突っ込んだ
キンッと剣と剣が重なり合う音が響く
「はぁー!!!どうした!!空!そんなもんかよ!」
デルアの両手の短剣は休息の暇を与えないほどの速さで空を襲った
「魔剣士って言ったな!!お前はどうやら魔術特化だろ!受けてるだけじゃ勝てねーぞ!!」
空はデルアの剣を致命傷を避けるように受け、捌いていた。
だが、デルアの攻撃に空はついていけず身体中に傷が刻まれていった
デルアの剣を上手く受け流し空は剣を上に振り上げ、すぐさまデルアに向け振り下ろした。
ギンッッッ
デルアは空の剣を両手の短剣をクロスして受け止めた
「いい一撃だ!だがまだまだ!!おらぁ!」
デルアは空の空いた腹部を蹴り飛ばした
空は後ろに蹴り飛ばされ後退した
「空!手伝います!!」
魔術が解けたコウが短剣を構えて言った
リルはコウの前に右腕を出した
「ダメよ。空は負けてない。信じて。」
「ありがとう。リル、コウ。」
空はリルとコウの方を振り向き言った
空はデルアの方へ突撃して剣を振りかざした
キンッ、キンッと空とデルアの剣が重なる
デルアの剣技を掻い潜り空はデルアに剣を振りかざしていた
「空の剣のスピードがあがった??どうゆう事ですか!?」
「多分空の本領はここからよ。」
空はデルアの剣技と同等かそれ以上に速いスピードで片手剣を振っている
「ハァハァ。どうゆうことだ。なんで短剣の二刀流が1本の片手剣に遅れをとってんだよ!!どんな魔法だ!!くそ!」
もちろん空は魔法など使う事なく単純な剣技だけでデルアと対峙していた。
「リル、どうゆうことですか!?空の剣技は最低でもCランクの冒険者程度。今の空の動きは私と同じくらいありますよ。」
「…今の空は何も恐れてないわ。これが空の本当の強さなのよ。」
空は17歳にしては大人びて冷静沈着だった。
直感で行動するタイプというよりは頭で考えてから動くタイプの人間であり、人よりも一歩引いて周りを見る為リーダーとしてはこの上ない人材だろう。
だが、空の悪いところは考えすぎる所にあった
自身の剣が人を傷つけること、剣は魔物を斬る為のもので人を斬る為のものではないと空は剣を振るたびに考えてしまっていた。
しかし、リルの言葉で空の背負った重荷は軽くなり、リルとコウが空を支えてくれる、そう思うだけで空の剣技は軽くそして、研ぎ澄まされていったのだ。
「はぁ!!」
キンッと音が響き、空はデルアの左手の短剣を弾き、宙に飛ばした
その飛ばした短剣を左手で掴んだ
右手の長剣と左手の短剣を重ね合わせキンッと擦り合わせ腕を開き構えた
「く、くそが!!ふざけやがって!!」
「行くぞ。デルア!」
空の短剣と長剣を使った二刀流の速さと剣技にデルアは圧倒された
「な、なんですかあれは。空の剣技が鮮麗されている。」
「空…。」
「ぐぁぁぁぁ!!」
デルアの右腕が空に斬り落とされ叫び声が響き渡った
空は倒れ込んだデルアの首元に剣を突きつけた
「答えろ。このダンジョンにブリンガンはまだいるのか!?」
「い、いない。俺たちだけでこのダンジョンに入った。もう勘弁してくれ。動けない。」
「…。あの奴隷2人を解放して去れ。」
空は剣を下ろし、短剣をデルアに投げつけ背を向けた
するとデルアは短剣を手に取り空の背後から剣を振りかざして襲い掛かろうとした
その瞬間デルアの首が落ち、血飛沫が上がった。
デルアの背後には剣を振り抜いたリルの姿があり、リルが一刀両断したのだ。
「リル…。」
リルが空に近寄るとリルの腕の中に空が倒れ込んだ
「リル。ありがとう。1人じゃどうしようもならなかったよ。」
「…。フフッ。いいのよ。これからも私とコウに頼ってね。」
空は返事をすることもなく眠りについた
コウは奴隷達を解放してリルと空に駆け寄った
「空!どうしたんですか?」
リルは口の前に人差し指を立てた
「しー。随分と寝てなかったみたい。今はぐっすり寝てるわ。」
「ほんとに無茶をしてたんですね。」
「そうみたいね。今は寝かせてあげましょう。」
ご愛読ありがとうございます。
デルアは冒険者のランクでいうとSランクに近いです。
そのデルアを剣技で圧倒した空の強さがどれほどのものかわかりましたね。
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