第48話 同じ目
若干17歳の空にどれだけの重みがのしかかったのだろう。
初めて人を殺めた感触は手に残り、赤く染まった姿は目に残り、罵倒された声は耳に残って離れることはなかった。
空はこの1ヶ月睡眠も取ることが出来ず横になるたびにそのことが頭によぎっていたのだ。
リルは空に声をかけることが出来ずコウの元へと戻った。
「どうでしたか?」
「ダメだったわ。話すこともできないくらい追い込まれてるわ。もう少し様子を見てあげて。お願いコウ…。」
「…わかりました。」
5時間ほど休憩をとり空が錬金術を解除した
すると周りに小さな土の山が10個ほどあった
空はすぐにそれに気づいた
これは!?泥狼の残骸!音もなく倒したのか!?何かいる!
「リル!コウ!何かいるぞ!!」
コウは鼻をすすって言った
「囲まれています。9…いや、12人ですね。この匂いは人間です。それも血の匂いが濃いです。」
空とリルは剣を構え、コウは爪を尖らせてそれぞれが背中合わせに3方向を向いた
「ちっ!バレちまったか。」
すると木陰からぞろぞろと盗賊達が現れた
「さすが獣人だな。俺たちの匂いをすぐさま嗅ぎ分けるとわな。」
「さっさとやっちゃおうよ。」
「獣人か…。ひひひ。いくらになるかね。」
「しかも美人ときたわ。いい値段になるわね。」
その盗賊達はそれぞれが体の一部にひび割れたハートに羽がついたタトゥーが入っていた
「…!!お前ら、ブリンガンの人間か!」
空の前に立った髪の長く1番態度がでかい男が答えた
「くくっ。あぁそうだ。話が早いな。お前のパーティーの獣人を渡せ。そうすればお前らを傷つけることはない。」
「いや、デルア。こいつらはもう遊び飽きた。その赤髪の女もいただこうぜ!!うまそうだ。へへへ。」
後ろから現れた男が2人の女性を鎖で引っ張り言った
その女性達は服はボロボロ
それに、乱暴に扱われたのか所々に傷があった
「あんた達!その人達になにをしたのよ!!」
「へへへ。そりゃいいことだろう。なんたってこいつらは俺達のおもちゃだからな。」
リルは歯を食いしばりながら言った
「!!。この下衆め!」
空も怒りが湧き立ち剣を力強く握った
「コウは僕たちの仲間だ!!コウに何かする気なら僕たちも相手をするぞ。」
「あら。ぼくちゃん可愛いこと言うのね。まぁ、いいわ。デルアやりましょう。」
盗賊の女が言った
「あぁ。そうだな。最初から話し合いをする気なんかないんだ、さっさとやるぞ。」
すると奴隷と化した女達が空のことをじっと見た
その目は空が斬った冒険者達の目と同じだった
その目は余生を無くし、生きる希望などなく、他人に人生を終わらせてもらえるのを待っている目だった。
空は力の入っていた手は緩み、ガタガタと全身が震えあがった。
あの目だ…。あの時と同じ目だ…。
「いくぞ!!」
「はっはー!!どうあぶり殺そうか!」
「おいおい!震えてんぞ!!ガキが!!」
「空!コウ!いくわよ!!」
「はい。全員後悔させてやる!!」
「…。…。」
「空?…空!空ーー!」
リルの声が樹海に響き、空達はブリンガンとの戦闘に入った
ご愛読いただきありがとうございます。
ブリンガン達が連れていた奴隷はグルーシスダンジョンで手に入れた冒険者の奴隷です。
奴隷は人異族や若い女の奴隷がお金になります。
ブリンガンが奴隷を手に入れるのに最も簡単な手段としてダンジョンを選びました。
次回空達がブリンガンにどう立ち向かうのか。
そして、空の心境の変化を書きたいと思います。
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