第4話 戦いの後
リルを背に乗せた空はアンデル王国に到着し、そのまま泊まっている宿屋に向かった。
宿屋に到着し、リルを自室に寝かせ、空も自室に戻りそのまま横になり眠ってしまった。
夜になり宿屋の主人が空に来客だと起こしに来た。
来客はグランだった。
「よぉ!夜なのにすまねーな。兄ちゃん今日は大変だったな!仲間達に聞いたぞ!俺からも感謝する。仲間達を助けてくれてありがとな!」
「なりゆきでそうなっただけだから感謝されるようなことはしてないよ」
空は律儀なグランに驚きながらそう答えた
「まぁ、そう言うな!それで今から酒屋で打ち上げなんだが、今日の主役がこないと酒が不味いんでな!一緒に来い!俺たちの奢りだぞ!」
(来いって…拒否権ないのね…)
空は少し萎縮しながらそう思ったが
「わかったよ。ならご馳走になりにいくよ」
と言い空はグランについていった。
道中グランに質問をされた
「しかし兄ちゃん。どーやってC級モンスターを倒したんだ?」
「簡単な魔法の組み合わせだよ。僕が倒す前にリルの魔法で手傷を負ってたから倒せたのもあるけどね。」
「魔法の組み合わせ??!!そんなことできる奴がこの時代にいるとわな!なるほどな組み合わせの魔法使いとはC級モンスターも驚きだな!それに手柄は赤毛の子にあるなんて言いやがって!ますます気に入ったぜ!ガハハハハ!」
そう言ってグランは空の背中を叩いた。
(嬉しいのか嫌なのかわからないなこれ…)
空は苦笑いしながら叩かれていた。
そうこうしている内に酒場についた
酒場では中で騒いでる男達のこえが外まで響いている。
グランがドアを開け叫んだ
「お前らぁぁ!主役の登場だぞーー!!!」
今まで騒いでた男達が一瞬沈黙し空を凝視し雄叫びをあげた
「ウォォォォォ!!!」
男達が空の周りに集まり
「よく来た!!」
「今日は助かったぞ!ありがとな!」
「俺達の奢りだ!たっぷり飲んでけ!」
など空に言葉を投げかけた。
空はそのまま男達に連れて行かれた。
数時間男達に付き合わされた空は端の椅子に座り休んでいた。
するとグランが近寄ってきた
「どーだ兄ちゃん楽しんでるか?」
グランは相当酔ってるみたいだ
「あぁ。今日は誘ってくれてありがとう。この街の人たちは本当にいい人ばかりだ。この街に来れてよかったよ。」
と空は酒屋で騒いでいる男達をみて言ったのだ
「ガハハハ!そうだぜ!こいつらは本当にいい奴だ!なんだ!兄ちゃん酒飲んでねーのか!」
「いや…僕はお酒は飲めない、…いや、苦手なんだ!気持ちだけでいっぱいだよ」
「なんだつれねーな!まぁ、飯でも腹一杯食え!な!あ、そーいえば兄ちゃんに会いたいって奴が来てんだぜ!おーい!ローレン!!」
グランが呼ぶと黒髪長髪に少し青髪が入った高身長の男が歩いてきた。
空は顔をジーと見つめた
(すっげーイケメン)
「どうもはじめまして。アンデル王国聖騎士団団長ローレン・デルホートだ。」
聖騎士団長本人によるあいさつに驚きを隠せない空
「僕は冒険家、真白 空です。なんで団長がこんなところに?」
「んー。そうだね…空くんはこの場の空気に酔っているようだ。酔い覚ましに少し外で話さないかい?」
空は首を縦に振りローレンについていった
外に出ると夜風が吹いており中の空気と違い心が静まるのがわかった
「空くん。この度の魔物討伐本当にありがとう。」
そう言うとローレンは頭を下げた
慌てて空は
「頭を上げてください。聖騎士団長が僕にお礼を言う意味わかってますか?」
「もちろん。わかってやっていることだよ。団長自ら格下の冒険家に頭を下げると言うことはこの国の聖騎士団がギルドランクGの冒険者よりも劣るってことになる。けどね今は鎧も脱いでいるし勲章もつけていないんだ。つまり1国民としてのお礼さ」
とニコッと笑いながら話したローレン。
「そうだとしてもやりすぎですよ」
と動揺しながら答えた空
「たぶんアンデル王がここにいてもそうしたよ。あの人も枠に囚われない人だからね」
「なんでそこまでして僕に」
「空くんは似てるんだよ。俺の弟アデン・デルホートにね」
微笑みながら言うローレン
空は少し躊躇したが質問をした
「弟さんは今は?」
少しの沈黙の間と肌寒い風が空達を包んだ
「そーだね。弟のことを語るには俺の生い立ちを教えなくちゃね。俺はね、元々西の小国ウェルスフィアの生まれでね、そこに親父とお袋そして弟と住んでいたんだ。ある時その小国を数十体の魔物が襲った。もちろん兵もでて避難が開始されたけどあっという間に魔物に攻められたんだ。その時にちょうど旅の滞在人としていたのが今のアンデル王。当時の俺の身長の倍はあるであろう大剣を片手で振り回して魔物を殺したのさ。それに魅了された俺は弟と一緒にアンデル王が滞在している間弟子入りした。1ヶ月くらい弟子入りしてアンデル王はまた旅に出たんだ。そしたらまた故郷が魔物の襲撃にあった。今度の魔物は別格だったんだ。魔王ラーヴァナだった。ラーヴァナは残酷で俺の両親、弟を殺した。俺ももお終わりかと思ったときにアンデル王が駆けつけてくれたんだ。それでも倒せずにアンデル王と俺はこの地にきたんだ。そして現在ウェルスフィアはラーヴァナの支配国になっている。最愛の両親と弟を殺された俺は怒りの発散として剣を振るった。そしたらいつのまにか兵士全員に認められる団長になってたってわけ。通り名なんて笑っちゃうよ!【冷徹の聖剣士】だからね。結構優しいんだけどなー。まぁそんなわけで空くんと弟を重ねて気になったわけ。」
ローレンの話を聞いて空は返す言葉が浮かばなかった。
ローレンはそのまま口を開いた
「こんな俺でも今は守るべき国民と部下がいる。だからそれを守ってくれた空くんに感謝してるんだ。」
空は言葉を重く受け止め、そして右の手を胸に添えて言った
「聖騎士団団長様。もったいないお言葉誠にありがとうございます。」
そう言って頭をさげた
「いや、そんな硬くならないで!それに俺には敬語は使わなくていいよ。名前もローでいいからね!」
空は少しクスッと笑うと
「わかったよ。ロー!」
ローレンも笑い右手を前に出した
空も右手を前に出し、硬い握手をしたのだ。
酒場からグランが出てきた
「お前ら2人して熱い話してんじゃねーか!ほら!飲み直すぞ!!」
ローレンと空は笑って酒屋の中に戻った。
次の日の朝
リルが空の自室に訪ねてきた
「空おっはよー!」
リルは朝から元気のようだ
「おはよう。リル。体はどうだい?」
「バッチリよ!運んでくれてありがとね!少し見直したわ…」
顔を少し赤くしながら言うリル
「それで今日はどうするの?ギルドに行く?」
「そうだね!ギルドに行く前に少し試したいことがあるんだ。リルちょっとこっちに座ってくれる?」
リルは疑問を持った顔で空の横のベッドに座った。
「鑑定がLv.3に上がったんだけど違いが分からなくて。リルの剣を貸してくれない?」
リルは剣を空に差し出した
空はリルの剣を見てスキルを使った
(スキル 鑑定)
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武器 片手剣 Lv.6/10 ランクE
スキル 攻撃+5%
身体強化+5%
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空はこれを見て言った
「ランクってなんだろう?」
リルはすかさず
「ランクが見れるの?すごいじゃない!ランクって言うのはねその武器のレア度みたいなものよ。ランクはギルドランクと一緒でG〜Sまであるわ。もちろんランクが高ければその武器の価値も上がるし、多彩なスキルもついてくるのよ!」
空は納得した顔で
「なるほど!じゃ、武器のレベルが引くてもランクが高ければその武器は当たりってこと?」
「そうなるわ!でも極端な話レベルの低いランクSの武器でもLv.100が最低ラインになってくるはずだからそうそう使えたものじゃないわ。」
空は納得し話した
「そういえばゴブリンナイトはリルも戦ったからステータスあがってたの?」
と質問をした
「一応上がったわよ。ただ上がり幅としては低いわ。パーティーを組んだ時はそのパーティーの誰か1人が敵を倒せば基本的には全員ステータス還元されるけど倒した本人のほうが配分された経験値よりも多いのよ。」
空は少し考えている様子だ
(とゆうことは。その敵に与えたダメージ量というよりは、敵を最後に倒した人ってことになるのか。なるほど)
納得した様子の空。
そして自分のユニークスキルについてリルに話しはじめた。
「ユニークスキル 無限の才能についてなんだけど少しわかったよ。たぶん倒したモンスターのスキルをゲットできるスキルだと思う。ゴブリンナイトがスキルで爆拳を持っていたんだけど倒したら僕のスキルになってた。」
リルは驚いた顔と呆れた声で言った
「そんなスキル聞いたことないわよ!!ほんとに空は規格外ね。」
「ハハハ…」
空は少し照れながら笑った。
リルは手をパンっと叩いて
「よし!じゃ、ギルドに行きましょ!」
空は首を縦に振りリルと一緒に宿屋を出た。