第46話 決断
空達はアルラウネ3体に襲われていた冒険者3人を各々が助け魔物に剣と爪を構え立ちはだかった。
(スキル 鑑定)
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グルーシスアルラウネLv.115 ランクB
スキル 『ツルの触手』
ツルの触手を操る
『幻惑の花粉』
幻覚を見せる花粉を撒き散らす
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(前に戦った時のアルラウネと同じか…)
「大丈夫ですか?ここは僕たちに任せて下がって!」
空は冒険者に向かって言った
「あぁ。助かるよ…」
そう言うと冒険者達は空達に向かって剣を抜いた
「空!リル!この人たち花粉で操られてます!!」
コウはすぐに気づき2人に大声で言った
「闇魔法 超重力」
空は闇魔法で冒険者達3人の動きを止めた
「2人とも今だ!」
【剣技 火蝶舞踊】
リルに纏った炎は蝶の形になり魔物を華麗に切り裂いた
「はぁぁぁ!!」
コウは爪を尖らせ、魔物を一瞬で細かく切り刻んだ
そして、空の前にいる魔物にすぐさま向かい走った。
魔物は一瞬で殺された同胞を見て、ツルで捕獲していた冒険者達を自身の周りに引き寄せたのだ。
コウはすぐに止まり、攻撃をやめた。
リルは武器を構えて魔物と一定の距離を空けている。
コウは爪を立て、すぐに攻撃ができるように隙を窺っていた。
空は魔法で冒険者達が動かないように集中している。
たが、冒険者達は空の魔法に抗い、起きあがろうともがき始めたのだ。
「…くっ!!なんて力だ!」
「コウ!このままじゃ空の魔法が切れるわ!なんとか魔物に一撃いれるわよ!!」
すると魔物は捕まっている冒険者の体にツルを突き刺した。
「ぐぁっ!や、やめてくれ!!たすけてくれ!!」
ツルは冒険者から何かを吸っているように伸縮している。
すると冒険者の体は徐々に萎れていき、そのまま冒険者は動かなくなり、魔物は大量のツルが生えた。
それを見た他の冒険者達は叫び声を上げた。
「きゃーー!」
「な、なにがおこった!?た、たすけてくれ!!」
「やめろ!やめてくれ!!」
すると新たに魔物から生えたツルがリルとコウを襲った。
リルはツルを避けながらコウに聞いた
「こ、これは?いったい…。コウどうゆうこと!?」
「おそらく。大量のツルが生えたことから、魔力を吸ったのだと思います。」
「そ、そんな。どーするのよ!冒険者達を盾にされて攻撃はできない。それに空の魔法も、もたないわよ!」
「このままじゃ私達もやられてしまいます!多少の犠牲は…。」
「ダメよ!それだけは!!なんとか。無事助け出さないと。」
すると盾にされている冒険者からボキッと鈍い音が聞こえてきた
「ギャーーー!」
「い、痛い!!」
「やめてくれー!」
血反吐を吐きながら冒険者達の叫び声が聞こえてきた
「冒険者達の骨を!?くそ!」
空が歯を食いしばり言った
すると捕獲されている女の冒険者が涙を流しながら掠れた声で空に言った
「…もぅ。殺して。私達のことはいいから。この魔物を倒して。おねがい…。」
空は気がすくんだ。
リルとコウはツルを捌くので手一杯、空なら冒険者達もろとも魔物を斬るのは容易い。
だが、まだ助かるチャンスが少なからずある冒険者達を空は斬る覚悟は無かった。
しかし、それでも空は剣を構えたのだ。
「空!」
リルとコウは空の方を向き言った
空は目を瞑るとルシフェルの言葉が頭をよぎった
『同じ理由で泣かない。そう誓って今は泣くといい』
「もう。迷わない」
空はそう言って剣を強く握った
「風、闇魔法 黒風斬円」
空の剣に黒い風が鋭く円をかき纏った
「はぁぁぁぁ!!!」
空が剣を振りかざし魔物に向かって走った
魔物はそれを見て空の目の前に冒険者達を集めた。
そして女の冒険者は言った。
「ありがとう」
空が振りかざした一太刀は冒険者達もろとも魔物を斬り裂いた。
空は地面に広がった冒険者の大量の血液に跪き、拳を叩きつけて言った
「…はぁ。…はぁ。くそ!!くそー!!…なんのために!なんのためにつよくなったんだよ!!」
その姿を見てリルとコウはかける言葉が見つからず立ちすくんでいた。
すると魔物に操られていた3人の冒険者が目を覚ました。
辺りを見渡すと血が飛び散り、そして仲間であった冒険者がバラバラに斬られていた。
そして、1人の冒険者は女の冒険者に駆け寄った。
「エリス!!エリス!嘘だ。嘘だ!誰がこんな…」
冒険者は空の方を向き剣と空に人間の血が飛び散っているのを確認した。
「お前か!お前が…俺のエリスを…。俺の最愛の人を!!」
男は涙を流しながら亡骸を抱え、空を罵倒した。
「!!。あんたねっ!!」
リルは怒り、冒険者に向け言葉を放とうとした時、空が右手を開きリルの方へと向けた。
「闇魔法 天長主剣」
空の周りに黒いオーラが包まれていく。
「空!ダメよ!!」
「空!!」
リルとコウは驚き、空に言った
「闇魔法 夜空」
空は剣を振りかざし、冒険者とは真逆の方向に技を放った
空の放った魔法は一直線に樹海を削り、一本の道となった
「ここを真っ直ぐ行けば魔法陣があります。そこからダンジョンから出れます。エリスさんを救えなくてすいませんでした…。リル、コウ。いこう。」
空は深く頭を下げ、リルとコウと共にボス部屋へと向かった。
「ま、待って…。」
冒険者は空に言った
しかし、空は一度も振り返らずに真っ直ぐとボス部屋に向かったのだ。
リルとコウは空にかける言葉が見つからず黙って空についていった。
そして3人はボス部屋の前に到着し、空が扉を開けた
するとボス部屋の両サイドから松明が順々に火を灯し、奥からボスが現れた
ボスは巨大な女王蜂が1体、そしてその周りには小型の蜂が5体飛んでいた。
(スキル 鑑定)
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グルーシスビークイーン Lv.120 ランクB
スキル 『毒針』
尾から猛毒の針を出す
『統率』
蜂種の魔物を統率する
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グルーシスビー Lv.110 ランクC
スキル 『毒針』
尾から猛毒の針を出す
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ボス部屋は耳を突き刺すような蜂の羽音が響いている。
リルとコウは武器を構え、前に出ようとした
だが、空は2人よりも先に剣を構え、魔物の元へと走っていった。
「ちょっと!空!」
「空!連携を!」
「錬金術 爆炎泥狼」
空が唱えると地面から赤く染まった泥の狼が20匹現れた。
「いけ」
狼達は空と並走して魔物に向かっていった
魔物達は向かってくる狼に向かい毒針を放ち、狼達を牽制した。
狼達は何匹か毒針で倒れたが、数で優勢に立ち魔物に喰らい付いたのだ。
そして喰らい付いた狼は腹の内から赤く光りそのまま爆発し、魔物を蹴散らした。
爆発した狼から重音波が流れ、ボスの魔物は怯んで動きを止めた。
黒い土埃と爆風がボスを包み視界を塞ぎ、空は剣を構えてボスを包んでいる煙の中へと入っていった。
「風、闇魔法 黒風斬円」
空の剣に黒い風が空を斬るように円を描き剣に纏った
そして空はその剣を魔物に向かって振りかざしたのだ。
すると、魔物は空の技を受け一瞬で粉々に斬り裂かれたのだ。
「す、すごすぎるわ。」
「こ、こんなことありえるんですか?魔法に錬金術、それにスキルまで組み合わせるなんて…。」
リルとコウは空の強さに立ちすくんでいた。
空は剣を鞘に収め言った
「…次に行こう。」
ボス部屋にはボス討伐により青白い魔法陣が現れ空達はその魔法陣に乗り次の階層へと転移したのだった。
(空…。)
リルは小さな声で言った。
ご愛読ありがとうございました。
空のことを罵倒した冒険者はゲインといい、エリスとは戦後に婚約を誓っていました。
最後にエリスが言った「ありがとう」は、殺して欲しいと言う願いを叶えてくれた空にではなく、今まで一緒にいてくれたゲインに対して放った言葉です。
ゲインはもともと心は寛大で優しい男でした。
しかし、最愛の恋人を殺された事で混乱し、当たりどころのない気持ちを空にぶつけた結果が罵倒になってしまいました。
空は初めて人を斬ったこと、そして、自分のせいで冒険者達を殺したと思い込み、それがきっかけで力を誇示しボスを一撃で倒すことができました。
リルはこの事をどう思い、そして空にどのような言葉をかけるのか。
次回をお楽しみにしていてください。
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