第41話 魔王の力
ルシフェルは空達に向かって言った
「どこからでもいいよ。好きに攻撃してごらん。」
「じゃ、遠慮なく!行くよ、リル!」
空が言った
リルは手を前に出して詠唱を行った
「赤き虎よこの身に宿い全てを焼き尽くす牙となれ。紅蓮の炎に怯えて炭となるがいい!」
「赤蒸天虎」
リルから放たれた火は虎の形になりルシフェルに向かった。
「風魔法 風蛇尾巻」
空が放った風魔法がリルの火魔法に絡み付いた。
「魔法の組み合わせか!おもしろい!」
だが、空の風魔法で威力が増大したリルの魔法はルシフェルが翼をあおいだだけでかき消されたのだ。
だがその瞬間リルはルシフェルに向かって剣を突きつけた。
(体と剣に火を纏っている。すでに付与魔法を使っているのか。最初の攻撃はかき消されるのが前提か…。いい判断だ。)
【剣技 真炎創火】
リルはルシフェルに向かって剣を突いた
その突きの速さにルシフェルも少し驚いた様子だが、簡単に素手でいなした。
(!!素手!?でも、まだよ!)
リルはいなされた剣をそのまま横に回転しながら振った。
【剣技 火炎の渦】
だが、それすらもルシフェルは素手で止めたのだ
「嘘でしょ!?」
(先見眼で先読みしても、相手の方が早すぎて読みきれない…!)
ルシフェルは翼でリルを勢いよく弾き飛ばした
「火、闇魔法 黒槍炎殺」
空の周りに20本の闇の槍が現れ、それが赤い炎を纏った。
その槍をルシフェル目掛けて放った。
だがルシフェルはこの技を華麗に全て避けきったのだ。
「火、闇魔法 黒刃炎斬」
黒炎が空の剣に纏った。
空はその剣を構えルシフェルに向かった
ルシフェルは空の剣を華麗に避けている
「流石に、その炎は素手では受けられないな。」
空は全力で剣を振った。
しかし、空の剣はかすりもしなかった。
【剣技 火蝶舞踊】
リルはスピードが上がり纏った火が蝶のようになった。
そしてそのままルシフェルと空の元へ駆け寄りルシフェルと対峙したのだ。
リルの剣技と空の剣がルシフェルを襲った。
流石の魔王もこれは避けることができない、リルと空はそう思った。
しかし、ルシフェルは空達の連携されている攻撃すらも掠ることすらしなかった。
「…はぁ。はぁ。…なんで当たらないのよ。」
「…はぁ。はぁ。…何か仕掛けがあるのか?」
空とリルは息を切らしながら言った
「何も仕掛けなんてないよ。これが実力差だ。それと、空、君はまだ隠してる力があるね?はっきり言ってその力を使わないで魔王を倒そうなんて甘すぎるよ。それに、リル、君のその剣技はまだ上があるんだろう?俺はその剣技を知っている。全力を出しなさい。」
「…はぁ。リル。離れていてくれ。」
空がリルに言った
リルは何も言わずに空から後退して離れたのだ。
「この技は魔力消費が激しいから使わなかっただけだよ。魔王クラスに効くか試してやる!!」
すると段々と空の周りに黒い霧が集まってきた。
「闇魔法 天長主剣」
するとその塵達は空の背中へ行き翼の形となったのだ。
リルは少しの寒気を感じた。
今までの空の技の中で1番冷たく、全てを無に晒す技だと確信したのだ。
「光魔法 天帯虚光」
ルシフェルの右手から放たれたいくつもの光は矢の形となり空の黒い塵の部分に放たれた。
空はすぐにその魔法を視認した。
空のこの魔法は視認したものを塵とする。
つまり見れば勝ちなのだ。
だがルシフェルの魔法をいくら視認しても塵にすることが出来なかった。
そしてそのまま空に光の矢が放たれたのだ。
空は腕を顔の前に十字に組んでガードした。
空は無傷だが空の魔法は消されていた。
「な、なんで。」
「その技は俺には効かないよ。」
(…くそっ。全ての技がルシフェルに無効化される。残りの魔力から考えても大技1発にかけるか…。なら4大禁忌のもう1つ、みせてやる。)
「闇魔法 我無闇還」
すると空の背中に黒い塵の翼が生え、その塵は両腕まで侵食していった。
「ぐぁぁぁ!!ぁぁ!!」
空は雄叫びを上げてルシフェルに向かっていった
リルにまた寒気が襲った
(こ、こんなの空の魔力じゃないわ。)
それを見てルシフェルはついに剣を抜いた
「いい技だ。受けてやろう!このズィークラグナロクで!」
【ズィークラグナロク】は別名勝利の剣と言われている
その剣を振るえば勝利しか残らないとされている。
空の一太刀をルシフェルは剣で受けた
するとその後ろから5枚の黒い刃が後から放たれた。
(そーゆうことか。)
だが、ルシフェルはそれら全てを切り裂いたのだ。
「その程度、魔法を使うまでもない。」
空が剣先をルシフェルに向けた。
「闇魔法 虚空」
すると空の剣先から闇の光が放たれた。
その光は一直線にルシフェルに向かっていった
(これはすごいな。)
「光魔法 斬光」
大きく剣を振りかぶり、空の闇の光に向けて剣を振り抜いた。
ルシフェルの剣から光の斬撃が放たれ、空の攻撃を全て断ち切った。
そして空に纏っていた闇の塵は消えていった。
「…これでも、ダメか…。」
空は魔力が尽きて膝から崩れ落ちた。
リルが空に急いでポーションを渡そうとしたが、ルシフェルの白の羽が空に突き刺さった
すると羽は黒く変色して空の傷を癒していった。
「これで大丈夫だよ。さぁ、次はリル君の番だ。その親譲りの剣技みせてもらおうか。」
ルシフェルが言った
「やっぱり。知ってるのね。はぁぁぁぁ!!」
するとリルの体と剣は激しい火に包まれた。
リルは勢いよくルシフェルに突っ込んだ。
【剣技 炎灯篝火】
リルは上下左右全てにものすごく速いスピードで剣を振った。
全方向から放たれる剣は常に火を灯しているように見えた。
だがルシフェルはそれを全て剣で受ける。
一太刀もルシフェルには届かない。
【剣技 炎光】
リルの剣が燃え上がり眩い光を放った。
そしてルシフェルの目を眩ませたのだ。
「まだよ!!」
【剣技 榾火の火種】
リルは真横に全力で剣を振った。
その一閃はパチッパチッと音がして焚き火の木が鳴く音のようだった。
ルシフェルはそれを飛び避けた。
「まだあいつに比べたら遅いよ。」
「…くそ!これなら!!」
【剣技 地獄の業火】
リルの剣は激しく燃え上がり、包み込んだ炎が大剣程の大きさになった。
「はぁぁぁ!!」
リルは空中に飛び剣を振りかぶった。
しかしそれは振り抜くことなくリルの手から落ちた
リルの手と腕は火傷を負っており剣を握れるような状態ではなかった。
「…はぁ、はぁ。くそ!!まだできるわ。」
リルが悔しそうに言った
ルシフェルは白い羽をリルに刺して空と同様に回復させた。
「あいつのように剣を振るえるようになるにはまだまだかかりそうだね。でも、上出来だ。よくやったね。」
ルシフェルがリルの頭を撫でた。
リルは少し涙目になっていた。
空は回復され起き上がり、リルの元へ駆け寄った。
「リル。大丈夫?」
「平気よ。私たち本当に弱いわね。」
空達は落ち込んでいるようだった。
ルシフェルは空に魔法の組み合わせと戦い方をどこで教わったのか聞いた。
空は自分が異世界転移してきたことと父について話した。
「…そうか。あの最強の魔剣士シローの息子とはね!これは驚いた。息子がいたなんて少し嬉しいな。」
どうやらルシフェルは空の父親のことも知っている様子だった
「空。君は最強の両親に育てられたようだね。でも、それをうまく受け継いでいないようだ。剣術は父に劣り、魔術は母に劣っている。いくら両親が強くともそれをそのまま受け継ぐとは限らないからね。だからと言って禁術に染まるのはダメだ。あの禁忌は使い続けると闇堕ちする。魔王ディアボロスのようにね。いいかい?君はこれから色々な壁に当たるだろう。でもそれは禁術ではなく君の本来の力で乗り越えなさい。そしてその力をここで学ぶといい。」
「はいっ。」
空はルシフェルの言葉を正面からしっかりと受け取り返事をした。
「そして、リル。君は親の剣技に頼りすぎだ。その剣技は今の魔王達には通用しない。どこまでいっても親の技の延長にしか過ぎないよ。君の親のことは知っている。複雑な状況で育ってきたのもね。君がなぜ親元を離れてここにいるのかは問わない。でもここで君は親を越える技を身につけなさい。」
「…わかったわ。」
リルは少し暗い顔で返事をした。
「よし!じゃ、後のことはコウ!君に任せる。コウは空達よりも結構強いから色々と教えてくれるよ。俺は少しやることがあるからね。じゃ、任せた。」
(ロー、君の言う通りこの子達は俺が鍛えてあげよう。先のことを任せるつもりなんだろう?さて、ダンジョンに入れるのは2…、いや、3ヶ月はかかりそうだな。)
するとルシフェルは光と共に消えていった。
「では。これからのことを仰せつかったコウです。よろしくお願いします。それと橋の前では私の家族を助けてもらいありがとうございました。」
コウが言った
「え?コウの親だったの?」
リルが言った
「そうです。私の母と1番上の姉です。」
「でも、あの家族は犬の獣人だった気が…」
空が言った
「私の母は犬の獣人ですが、父の方は狼族の獣人なんです。何故か私だけ狼の姿で生まれてきました。まぁ、この話はさておき。少し休憩したら訓練を始めますよ。」
空とリルはグルーシスダンジョン攻略の前に狼の獣人コウと共に訓練に励むこととなった
光の魔王ルシフェルは強さと優しさを持っている魔王になっています。
面倒見が良く、魔物にも人にも好かれる性格をしていますね。
空とリルは果たしてどこまで強くなるのか、次回をお楽しみに。
この作品が少しでも面白いと思っていただけたら、ブクマ、評価、感想よろしくおねがいします。




