第36話 水の魔王対水の勇者
アイルとラーヴァナの衝突から1週間が経った。
ノンデル王国周辺には陽の光を遮る雨雲と冷たい雨に包まれていた。
宿屋から出てきた空達はギルドに向かっていた。
「今日も雨ね。こんなに長い雨はなかなかないわね。」
リルが空に言った
「そうだね。少し重たい雨だ。」
と上を見上げながら空は言った。
ギルドに着くと中が少しざわついていた。
オススメのクエストがないか受付のベルジャンに聞くついでになにがあったのか空達は聞いた。
「…1時間ほど前になります。突然黄金の鎧を纏ったお方が現れまして。Sランククエストを申し出てきました。それを受理したところ、30分で討伐を完了し、何事もなかったかのように去って行きました。それに他の冒険者様達は驚いているようです。」
「黄金の鎧?もしかして…」
空が思い浮かべている人物が1人いた
するとギルドの扉が空いた
「空様。あのお方です!」
空が振り向くとそこにはローレンがいた。
空とリルは驚いた顔をしているとローレンが話しかけてきた
「空!リル!やはりここにいたか!カルディアダンジョン制覇したらしいじゃないか!おめでとう。」
空は驚きながら答えた
「あ、ありがとう。なんでこんなところにローがいるの?」
「そうだな…。少し話があるから場所を変えようか。」
ローレンは少し真面目な顔になり言った。
空達はうなずき、ローレンについていった。
ローレンが案内してくれた飯屋は、王宮の街ハートシュタットにあるお洒落なバーのような飯屋だった。
多分お高い場所なのだろう。
人は少なく、話をするにはもってこいの場所だった
3人はカウンターに座った。
「ここいい店だろう?俺がノンデル王国に来るときはいつも立ち寄る店だ。」
「確かに。いい店だね。静かで落ち着いている。それで話って?」
空が聞いた
「…1週間前になる。【水の勇者アイル・ヒュードル】と【魔王ラーヴァナ】がここからそう遠くないところで一戦交えた。」
リルは驚き言った
「…本当ですか?勇者と魔王の戦いなんてそうそう起こりうることじゃないですよ!」
「あぁ。そうだね。君たち2人には教えておくよ。戦いは1週間前…」
1週間前
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「水魔法 水魚槍砕」
「神獣 海神の水原破」
アイルの攻撃と神獣の攻撃がぶつかり合う。
勇者、魔王2人の戦場から広範囲に渡り水飛沫が上がった。
「まさか、神獣の攻撃を止めるとは!!さすが勇者だ!」
ラーヴァナは言った
「あまり、勇者をなめるなよ!」
アイルはラーヴァナを強い視線で見ながら言った
「水魔法 激流水牢」
巨大な水の渦がドーム型になり神獣を閉じ込めた
「水の神に水の牢獄だと?笑止!出てこいリヴァイアサン!」
神獣は激流の渦で出てこれない
「この激流ならそうそう出てこれないでしょう!」
「なかなかやるな!水の勇者!」
「水魔法 水断刃」
ラーヴァナの周りから水の刃が大量にアイルに向かって放たれた
アイルは見事な槍捌きでいともたやすく全てを斬り裂いたのだ。
「この槍の前では魔法など通用しない!」
そう言って槍を構えラーヴァナに剣先を向けた。
「そうか。なら魔王ラーヴァナも本気で答えよう。」
「水魔法 一衣帯水」
ラーヴァナの背中から出てきた帯のような水が4本アイルに襲いかかる。
アイルは槍で水を捌いたがキンッと金属音がなった。
ラーヴァナの水の帯は刃としてアイルを襲ったのだ。
アイルは見事に4本全てを避け、帯が全て重なるところに槍を突き刺し、動きを止めた。
「私の魔眼の前ではこんな攻撃効きもしないぞ!」
「水魔法 行雲流水」
ラーヴァナの後ろから水が流れ、アイルを襲ってきた。
アイルは軽々しく避けるが、その水はまるで生き物のようにアイルを捕まえようと追いかけてくる。
「水魔法 水源破」
アイルの槍の剣先に水が纏った。
そしてラーヴァナの魔法に向かって突き刺した。
すると剣先から水が弾いたのだ
戦闘は1時間ほど続いた。
攻防一体を繰り返す2人。
だが先に先手を打ったのはラーヴァナだった
アイルは急に目眩がして膝をついた。
するとラーヴァナは言った
「やっと効いてきたか。さすが勇者様だ。効果が遅くて焦ったよ!」
「…はぁ。はぁ。なにをした!!」
「教えてやろう。私が出していた水は全て酸性の水だ!長時間浴びる、もしくは吸っていたら毒になる!そのうち皮膚が爛れてくるぞ!」
「…小細工を!!」
「気づかないお前がわるいのさ。さて、そろそろいいだろう。リヴァイアサン!出てこい!」
するとアイルの水の牢獄を破壊してリヴァイアサンは現れた。
「ギャァァァァ!!」
リヴァイアサンはアイルに向かい叫んだ。
「…流石に魔王と神獣相手はきついわね。魔王ラーヴァナ!!一撃で決めるわ!!」
アイルは槍を突き立てた。
「水魔法 水無月」
アイルの槍が消えた。
そしてアイルはそのまま神獣とラーヴァナに向かい突撃した。
(槍が消えた?明らかに何か仕掛けがあるな。だが近寄らせなければいいだけのこと。神獣の一撃で吹き飛ばしてやる。)
「神獣 海神の水原破」
神獣から放たれた青く光る水がアイルを飲み込み吹き飛ばした。
だがアイルは突如ラーヴァナの前に現れ、ラーヴァナに槍を突き刺した。
アイルが突き刺した槍はラーヴァナの右肩を貫いていた。
「心臓狙いを左手で軌道を変えたな!」
アイルは言った。
ラーヴァナは血反吐を吐いた。
「グァッ…なんでだ…お前はリヴァイアサンの攻撃に飲まれたはず…」
アイルは答えた。
「さっきの魔法は、私の幻影を見せる魔法よ。」
「…なるほど…な。だが、くしくも同じような技を出したようだな。」
アイルは一瞬の出来事で、何が起きたかわかっていない。
確認できたのは自身の左腕が落ち、血飛沫が上がっていることだ。
そして痛みは後から来た。
「ぐぁぁぁぁ!!!な、何をした!!」
「はぁ、、はぁ。水魔法 明鏡止水だ。この技は私の攻撃を相手に視認させないこと。」
「く、くそ。まだだ!まだ!」
リヴァイアサンの尾がアイルを弾き飛ばした。
アイルは吹き飛ばされ地面に倒れた。
「ぐぁぁ!!!」
ラーヴァナは槍を抜き言った。
「…はぁ。はぁ。ジャターユ!!…血を流し…すぎた。城に帰るぞ。」
ラーヴァナの隣に黒い影が現れた。
「かしこまりました。ラーヴァナ様。」
「…アイル・ヒュードル!!また会う日を楽しみにしている!!」
そうラーヴァナが言い残し、ジャターユが指を鳴らすと、2人と神獣は消えていった。
次回、第二章完結です。
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