第27話 青髪のエルフ
少女は空に今までの経緯を話してくれた。
少女は奴隷であり、パーティーの魔術師と荷物持ちを担当していた。
少女の所属パーティーはベテランCランクが3人と、経験も実力も兼ね備えた良いパーティーだった。
そのパーティーのリーダーはダンジョン攻略をする為、後衛が欲しいということで奴隷オークションで2週間前に少女を競り落とし、パーティーに入れた。
何度か一緒にクエストをこなしてきたがパーティーとの息も合った。
そしてパーティーはダンジョンを目指すためにこのオールド湿原に足を踏み入れた。
魔物を何匹も討伐し道のりは順調だった。
しかし先ほどの魔物がパーティーの前に現れ、その強さに全員手も足も出なかった。
そしてパーティーは逃げる決断をしたが、その囮役として少女は魔物の前に捨てられたそうだ。
少女の首には奴隷の鎖があり、逆えず、逃げることも出来なかったが、そこに空達が現れ救ったのだ。
その話を聞きながら空は歯を食いしばり、手に力が入った。
(…なんてひどいっ!!奴隷とはいえ、仲間を見捨てるなんて…!)
少女の名前はヴァーナ。
長い青髪で瞳が水色のエルフだ。
ヴァーナは言った
「私は奴隷です。パーティーが危機に落ちいったときは真っ先に捨てられる身分です。なのでそんな私を助けてくれて本当にありがとうございます。この恩は一生で返します。」
空は言った
「困っている人を助けるのに身分なんて関係ないよ。それに助けようとしたのはリルだ。その言葉は目覚めたリルに言ってあげて。」
「かしこまりました。空様。」
ヴァーナは頭を下げた
空はその言い方に慣れていなく、少し戸惑い話を変えた
「ところでヴァーナはこの後どうするの?湿原を抜けて王国に帰るのかい?」
ヴァーナは困った顔で言った
「…私もどうすればいいのかわからないのです。本来ならご主人様の所へ帰るのが奴隷としての役目だと思います。ですがこの首輪からご主人様の魔力が感じられないのです。なので今私は自由の身なのですがこの湿地を1人で抜けるのは不可能でございます。よろしければ空様達について行ってもよろしいですか?」
空は少し考えた
(ここからならダンジョンに行くより王国に戻った方が早い。だけどさっきの戦いヴァーナは完全に僕の動きに合わせてこれた。ヴァーナの力があれば助かる…)
「ヴァーナ、なんでさっき僕の動きに対応できたの?」
「はい。エルフは自然と調和して生きていくため寿命が長いのはご存知ですよね?これでも私は空様の3倍は生きているんです。なので戦闘経験はそれなりに積んでいます。その為空様の動きなどがわかりました。魔法の組み合わせには驚かされましたが…」
(そうか!そもそもの経験値が違うのか。さすがエルフだ…)
「ヴァーナ。僕たちはダンジョンに向かっている!よければ一緒に来てくれないかい?」
ヴァーナは即答した
「それが空様の望みなら、喜んでお供させていただきます。このヴァーナの力存分にお使いください。」
「よろしくね!それとそんなに堅い言葉は使わなくていいからね。」
「かしこまりました。よろしくお願いします。」
(これは時間がかかりそうだな。)
そして数時間後リルは目を覚ました
「…ん…?…!!空!」
リルは目を開け起き上がり辺りをキョロキョロとした
するとすぐそばで空とヴァーナは食事をしていた
空がリルに気づきすぐさま駆け寄った
「リル!!もう大丈夫なの?どこか怪我は?」
「…大丈夫よ。それよりも何があったの?魔物は?」
リルは自分が幻覚を見ていたのを忘れているようだ。
空はここまでのことを話し、ヴァーナのことも話した。
「……そんなことがあったのね。空ありがとね!!そしてヴァーナもありがとう!」
「い、いえ!そんなめっそうもない!私などにお礼の言葉は必要ありません。それよりも奴隷である私を助けていただき誠にありがとうございます。」
リルは言った
「助けるのに立場なんて関係ないわよ?でも無事でよかったわ!」
空と同じことを言うリルに空は少し笑った。
「あと、ダンジョン攻略一緒に頑張りましょう!!」
「はい!!」
そしてヴァーナを加えた空達はオールド湿原を抜け、カルディアダンジョンに到着したのだ。
カルディアダンジョンは巨大な大木の間に逆Uの字の石の枠で入り口ができていた。
その周りには、簡易的な宿屋、道具屋、飯屋があった。
ダンジョンの入り口は黒い膜の様なものが張っていて、目の前に屈強な門番らしき人物が立っている。
空は門番に話しかけた
「この入り口の黒い幕は何?」
「あぁ、これか!これは闇の異空間魔法だ。ダンジョンの入り口は全部異空間魔法の膜によって入り口が出来ている。
中は異空間で巨大な洞窟になっているんだ。もしダンジョンに挑戦する様であればこの入り口から入れば中の異空間と繋がっているぞ!ちなみに挑戦する前に俺にギルドカードの提示をしてもらうからな。ランク偽装などをしていると即刻奴隷行きだ。」
空は礼を言いリルたちの所へ戻った。
話した内容をリルに話すと
「なら今日は一旦宿に泊まりましょう。明日の朝万全な状態でダンジョンに入りましょう!」
空とヴァーナは了承し、3人はダンジョンの周りの簡易宿屋に泊まり一夜をすごした。




