第23話 奴隷制度
空達はピエーレ達のオススメの飯屋【ピルスナー】に案内され、一緒に夕飯を食べていた。
ピルスナーは大衆居酒屋のようにテーブル、椅子が粗末に並べられているが、店の外観と内観は美しく気品がある店だった。
客も野蛮な人はいなく、大声で飲み食いなどはするが喧嘩をするような奴らはいなかった。
ピルスナーは魚料理が美味しいらしく、ノンデル王国北のラオホ海のとれたての魚や貝が提供されている。
「どーだ!ここの魚料理は絶品だろ!」
ピエーレは自慢げに空達に言った。
「とても美味しい!久しぶりにこんなうまい飯食べたよ!」
空は食べながら言った。
だが空は食べながらチラチラと他の客や従業員を見ていた。
それに気づいたロングが空達に小声で話したのだ。
「やっぱり気になるわよね。奴隷が。この街の奴隷や地位について話しておくわ。この街の地位は街の地形と同じで【ブースシュタットには平民や冒険者】、【ミレイウシュタットには上級貴族や上級冒険者、奴隷売人、騎士団】、【ハートシュタットには王家の本家、分家、聖騎士団】が住んでいるのよ。そして、上級貴族や上級冒険者、王家には奴隷を買う人が多いの。もちろんすべての人が奴隷の扱いが悪いわけじゃないわ。ただ自分の地位を慢心している人は奴隷に対する扱いもひどくてね。この飯屋にいる奴隷達は扱いは酷く見えるかもしれないけど普通なのよ。」
空達が見た奴隷達は、主人はテーブルで食事をして奴隷は床で座り食べている。
首には首輪が付けられており、服装は粗末な服だ。
帰るときは奴隷にすべての荷物を持たせ、自分たちは身軽に帰っている。
従業員の奴隷は服装は客の前に立つからだろうかしっかりとしている。
ただ客によっては食事を運んだ奴隷に対する目は冷たく感じる。
空は聞いた。
「奴隷に落ちる条件は?」
ロングが答えた。
「基本的には身分が確認できないものと犯罪者よ。それとこれは噂だけど冒険者や珍しい種族がブリンガンに拉致され、奴隷売人に身を売られるとも聞いたことがあるわ。」
「ブリンガンって?」
リルが質問をした。
「ブリンガンは人間専門の追い剥ぎグループの名よ。とても巨大なグループで各国が撲滅を掲げているけどなかなか尻尾がつかめないらしいわ。」
空が質問をした。
「冒険者が奴隷を入れるメリットってなに?単に戦力外で邪魔なだけじゃない?」
ピエーレが答えた。
「いいや、そうでもないんだこれが。奴隷と言ってもひ弱な奴らばかりではない。いろんな種族がいるし戦闘経験がある奴もいる。冒険者にとって一概に邪魔になるわけではないのさ。それにパーティーは奴隷で組む方が効率はいいんだぜ?」
「なんで?」
「パーティーで倒した魔物達の素材や金はどーやって折半する?それに超レアアイテムを1つだけドロップした場合は?…最悪仲間割れか殺し合いになりかねんからな。その点全てを奴隷にすればアイテム、金全てが自分のものになるから争いも起きない。奴隷は首輪をつけてるから主人には逆らえないんだ。首輪は契約時に主人の魔力と同化され逆らったり、無理に取ろうとすると爆発するんだ。」
リルは悲しげな顔で言った。
「そんな酷いことを…」
「それでも衣食住が約束されるから逆らう奴はいないらしい。お前らはアンデルでの奴隷との格差に驚いてるだろうが、アンデルの奴隷が特別なだけであってこの世界の奴隷の身分はこんなもんなんだ。」
空達は少し落ち込んでいた。
話題を切り替えようとビアが話した。
「そういえば空さん達はどこか宿は決めてあるんですか?」
「いいや。どこも考えていないよ」
「希望などあれば私の知る範囲でオススメしますよ」
ビアがにっこり笑って話した。
「そうだなー。治安が良ければいいけど…。できれば体を流せるところがあればいいな。」
ビアは少し考えて言った
「ならオススメは2つです!先程通った門の近くにある宿屋【オリオン】です。宿代は安く、そこなら門番がいつでもいるので治安はいいですね。それに井戸水を貯める貯水場があるので水で良ければ体を流せますよ。もう1つはミレイウシュタットにある宿屋【ドラフト】です。宿代は高いですが、騎士団の屯所の隣なので治安は1番安全ですね。それにあそこには入浴場が設置されてます。入浴には別料金が必要ですが。」
(何??風呂だと!この世界にきて風呂には1度も入っていない…値段が高くても風呂付きは捨てがたい…)
空は自分の欲と葛藤しながら言った。
「わかった。ありがとうビア!ドラフトに行ってみるよ。」
空の中で風呂は捨て難かったようだ。
するとラガーが口を開き言った
「ちなみに、ミレイウシュタットには高額の武器屋、防具屋、それと服屋があるから滞在中に行ってみるといい!それと必要ないと思うが奴隷オークション会場と売春宿もある!」
リルと空、そしてビアは顔を赤らめた。
ロングは1つ咳払いをし、話を変えた。
「さて、食べ終わった頃だし、宿が混んだら大変だわ。そろそろ行きましょうか。」
「あ、あぁ。美味いご馳走をありがとう!」
空がピエーレにお礼を言った。
「いいってことよ!またなんかあったらよろしくな!俺たちはブースシュタットの宿に泊まってて、クエストはほぼ毎日出てる!困ったことがあったら頼ってくれ!」
ピエーレがそう言い飯代を払うと全員で外に出た。
空達はミレイウシュタットに向かいピエーレ達と別れた。
「親切な人に出会えてよかったわね。」
「そうだね!とても助かったよ。」
そう言いながら歩いていると、前から冒険者が歩いてきた。
空達が道の端に寄り冒険者達を避けると後ろから綺麗なエルフが歩いてきたのだ。
長い青髪に水色の瞳、身長は150cmくらいで空の肩くらいの高さ、耳は特有の尖った耳をしている。
エルフなだけあって体型は締まるところは締まっており出るとこはしっかりと出ている。
そのエルフは奴隷の首輪をつけており、どうやら前の冒険者達の奴隷のようだ。
空はすれ違い様にあまりの美しさで少し目を奪われた。
するとエルフが冒険者の荷物を落としてしまった。
空はすぐに拾い渡した。
「はい。どうぞ!」
エルフはお辞儀をしてお礼を言った。
「ご親切にありがとうございます。」
すると前の冒険者から声が聞こえた。
「おい!ウスノロ!早く行くぞ!」
エルフは怒られないようにとすぐさま行ってしまった。
空は少し見惚れていた。
それを見たリルが空の首根っこを掴み言った。
「早く行くわよ。!!」
そのまま宿屋ドラフトについた2人。
料金を聞くと7日滞在で金貨3枚、入浴場の利用が1回金貨1枚だそうだ。
それを聞いた空は。
(毎日は風呂には入れないな…)
と思い少し落ち込んだ。
2人分の部屋を取り、久しぶりのフカフカのベッドのせいかその日2人はすぐに眠りに落ちた。




