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第14話 光の勇者

空はガルダとの戦闘に入った。

グランは空の指示に従い騎士団に報告、王国軍は空1人を残し後退したのだ。

最初リルはグランに猛反発をしたがグランの必死の説得により一緒に後退した。

「空!!!必ず戻ってくるのよ!!!」

リルは大声で空に言葉を投げかけた。

空は何も言わずガルダに向かって行った。

闇魔法

重力操作グラビィティオペレーション

空は自身を軽くした。

四足獣のように姿勢を低くガルダの懐に入り、剣を振り切ると見せかけ、回転しガルダの死角になる背後に回った。

空は完全にガルダの不意をつくスピードだ。

風魔法

風擦剣フィールアジャストエスパーダ

台風のような風が空の剣にまとった。

空の魔法で空達の周りは強烈な風で吹き荒れた。

空の回転と風の風力と殺傷力で底上げされた剣をガルダの背後から真横に振り抜いた。

しかし、ガルダは空の頭上から背後まで軽く後ろに跳び避けた。

空が振り抜いた剣は直線状にある1、2メートル先の木々や地面を斬るほどの威力であったが空振りに終わった。

「良い威力ですね。スピードも申し分ない。本当に素晴らしい魔剣士だ。」

ニヤケながら言ったガルダ。

(こいつ後ろに目でもあるのか?完全に死角だった筈…くそ…!)

「まだ他の魔法はあるんでしょ?よろしければもう少し拝見させていただきたいのですが。」

ガルダは余裕の素振りを見せ言った。

闇魔法

影掴手シャドージィゲール

ガルダの影から複数の影の手が伸びガルダを拘束した。

「いい魔法だ!まだあるんでしょう?」

「ああ!あるさ!」

空は右手を前に出し

水、風魔法

風林水柱アベントサウス

空の周りに10本の水の槍が現れ、それを風魔法で超回転させた。

空は右腕を振り下ろし超回転した水の槍をガルダに向けて放った。

その速さは目視で追いつく速さではなかった。

ガルダは闇魔法で身動きが取れず直接空の魔法が当たった。

周りは水飛沫みずしぶきが巻き起こりその威力を証明した。

だがそこに黒い影が映り徐々にガルダの姿が見えてきた。

「魔法の組み合わせですか…素晴らしい!もう少し威力が有ればあるいはかすり傷くらいは可能だったものですね。」

まるで何事もなかったように立っている目の前の魔人に勝てる想像がつかず、言葉を失った。

「では次は私がいきましょう。」

ガルダは翼を大きく広げた

神羽プリュームデウス

ガルダの翼から無数の黒い羽が空に向かって飛んできた。

闇魔法

魔晶結界インビシルシード

薄暗い膜の四角い立方体で自身を囲った空。

しかしガルダの羽はマスターロックウルフの尾針ですら通さなかった結界を貫いた。

無数の羽が空を襲った。

空は顔の前に腕を交差させて羽を乗り切ったが、その姿は傷だらけで何枚か羽が刺さっていた。

羽はガルダの翼に戻っていき、ガルダは言った。

「んー。殺さないように威力は弱めたのですが…あなた弱いですねぇ。ラーヴァナ様にいい報告ができると思ったんですが、これじゃ報告しがいがないですね。」

「…まだだ…!!まだ…負けてないぞ!!」

空の体は全身切り傷がありボロボロ、今にも倒れそうなくらいフラフラだった。

それでも空は立ちガルダの方へ剣を向けた。

「ハァァァァー!!!」

「火、闇魔法!!!黒刃炎斬フレイムシュヴァルツエスパーダ!!!!」

空の剣は漆黒に染まり、刃から紅蓮の炎が湧き上がる。

「これが!!僕の最強の技だ!!」

空は真っ正面からガルダに向かって行った。

ガルダはこの魔法を見た瞬間初めて動揺の様子が見えた。

(この魔法はまずいですね!)

神羽プリュームデウス!」

空に向け無数の漆黒の羽が勢いよく飛んでいく。

闇魔法

超重力オーバーグラビィティ

ガルダの羽は重力で地面にバタバタと落ちていく。

空の魔法より羽のスピードが速かったのでいくつかの羽は空に当たった。

それでも空は倒れずガルダに向かった。

「お前の羽は使い回しだろう!!なら羽を使用不可にすればいいだけだ!」

空はガルダの首元に狙いを定め今できる全力で剣を振りきった。

ガルダに当たると漆黒の炎が空の剣から吹き荒れあたり一面を焼き払い、黒煙が包んだ、そしてガルダのいた地面はその勢いでえぐれていた。

黒煙が漂う中、空はすぐさま後ろに跳び後退した。

(…この感触は…)

地面に落ちていた羽は赤くなり黒煙の中に戻って行った、そしてぼんやりと赤い影が見えた。

それ(赤い影)は翼を大きく広げると、勢いよく動かし、黒煙を消し去ったのだ。

するとさっきまで黒い翼で人の姿をしていたガルダが全く別の姿に変わっていたのだ。

翼と肌は赤くなり、顔は鷹のようになり黒い羽毛が生えていた。

まさに鳥人の姿で手足は鳥の鉤爪のようになっていた。

「まさかこの姿になるとは…いやはや、驚かされますねぇ…。それがあなたの最高の技なんですね?伸び代はあるようだ。特に闇魔法が面白いですね。さて、私に傷をつけたお礼に少し私も戦いましょうか。死なないことを祈っていますよ。行きますよ。」

「我真火なる鳥たちよ、その姿を現し一掃しろ。」

「火魔法 火鳥乱フィールフォーリボグ

ガルダの翼から大量の火が上空へ舞い上がり、3体の鳥の形に変形していった。

変形した火の鳥はマスターロックウルフ並みの大きさになった。

「真白 空!!願わくば生きていて下さい。ではまたどこがでお会いしましょう。」

とガルダが最後の言葉を言い、火の鳥3体は空めがけ放たれた。

(…ダメだ。体が動かない。ごめん父さん、母さん、…そしてリル。…約束…守れなかった…)

空は目をつぶり死を受け入れた。

「ギャァァァン!!!」

すると上空から見たこともないドラゴンが雄叫びを上げた。

そのドラゴンは夜空に浮かぶ満月に照らされ神々しく光っており、飛んでいる姿はとても美しかった。

ドラゴンの背中から輝く何かがガルダの放った魔法めがけて落ちてきた。

その勢いでガルダの魔法はかき消されたのであった。

降りてきたその男は、黄金の鎧をまとい、綺麗な長髪の黒髪に青い髪が混じっていた。

空は一瞬で気がついたのだ。

「…ロー…」

白いドラゴンから降りてきたのはアンデル王国聖騎士団団長ローレン・デルホートだった。

ローレンは空の方を向き、はにかみながら言った。

「空、大丈夫かい?」

空は来るとは思っていなかったローレンの登場で言葉を失った。

「ふふふ。よくがんばったね!ここからは俺がやる。ヴァイス!!」

とローレンが言うと、空を飛んでいた白竜がローレンの横に降りてきた。

「ヴァイス。空を頼むよ。」

そう言って白竜の頭をローレンは撫でた。

白竜は言っていることが分かったのかうなずいているように見えた。

ローレンはガルダに剣先を向けた。

ガルダは言った

「なぜここにあなたがいるのかは問いません。あなたを倒せば私も1等級に上がれますからね!!さぁ!はじめますよ!」

ガルダは翼を大きく広げた戦闘態勢にはいった。

ローレンは左手を前に出した。

「光魔法 光撃射団ライトレール

(ローも無詠唱持ちなのか!)

眩い光の玉が数十個ローレンの周りに浮かび上がり、ガルダの元へと光速で飛んで行った。

ガルダは翼を仰ぎ飛び立ち光の玉を避けた。

(くっ…。私のスピードですら離せないのか!)

だが、光の玉は絶えずガルダを追いかける。

その隙にローレンは次の攻撃をしかけた。

「光魔法 光円斬ライトクライシス

ローレンの剣は光り輝いた、その剣をローレンは5回光速で振り抜いた。

すると眩い光の斬撃が跳び円をなしてガルダの元へ飛んで行った。

(なにっ!!??まずい最初の攻撃がまだっ!)

ガルダは初弾の回避で精一杯で次弾の攻撃はガルダを襲った。

ガルダの左腕は斬撃で切り落とされ、初弾の攻撃で右腕、右足が撃ち抜かれていた。

ローレンの強さは圧倒的だった。

あのガルダがローレンになす術なく、回避のみという驚きの展開だった。

「お、おのれぇ!!!…ハァ、ハァ…。さすがですね。名前通りのお方だ…【光の勇者】その名にふさわしい。」

「おいおい、それを言うなよ。昔の【冷徹の聖騎士】の通り名の方が好きなんだから。その通り名は重くて背負いたくないんだよ。」

「…よくそんなことをいえますね。世界に5人しかいない勇者の一角がこんなに軽薄だとは思っていませんでしたが。」

「この話は終わりだ鳥人!魔王ラーヴァナの紋章が見えた。俺はあんたのボスに用があるんだ。今あいつはどこにいる!」

「王の居場所を敵に流すほど落ちぶれてはいませんよ。それにここは幕引きと行きましょう。」

ガルダがパチンッと指を鳴らすと黒い霧がガルダを包んだ。

「光の勇者よ。我の名は魔王ラーヴァナ様に使えし2等級!赤鷲ルージュホークのガルダ!また会う日に決着をつけましょう。」

そう言い残しガルダの姿は黒い霧と共に消えた。

不本意な形だがこの戦いは王国軍が勝利したのである。

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