第13話 魔人の登場
魔物軍はロールド渓谷から徐々に進軍し、現在アンデル森厳のアンデル王国側付近まで侵攻していた。
アンデル王国から森厳までは歩いて約30分はかかる。
そこまで遠い距離ではないのでここで空達が進行を遅延させなければ、いかにアンデル王国に被害が及ぶかは一目瞭然である。
日も沈みはじめ夕方の茜空が広がり地面は少し暗くなってきている。
空達はその中をかけ足で向かっていた。
「空、回復しているとはいえ連続の戦闘大丈夫??」
リルが気を使い聞いてきた
「大丈夫だよ!空洞でも荷車でも休めたから!(1番はリルの膝枕が効いてるけど…)」
そして2人は戦場近くまで着いたのだ。
戦場では武器のぶつかり合う音や騎士団、冒険者の声、魔物の呻き声が聞こえてきた。
空達は少し高台に上り戦況を見極めていた。
スキル 鑑定
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オークLv.20 ランクD
ウェアウルフLv.20 ランクD
ミノタウロスLv.15 ランクC
ボーンゴーレムLv.30 ランクE
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(ほとんど雑魚兵じゃないか。数が多い分このレベルでも苦戦してるのが現状か。)
「リル。最初は特大の魔法で開戦をきる!ほとんどの魔物達はそれで倒せる筈だ!」
「オッケー!行くわよ!!」
空達は高台から飛び降り2万の軍勢に立ち向かっていった。
「赤き炎よ、この身の敵になるものを全て貫け!」
「槍炎火」
風魔法
「風蛇尾巻」
リルの火、空の風で巨大な3本の火の槍が出来上がった。
リルは左手を振り下ろし、魔王軍に魔法を討った。
魔王軍の前線は焼き払われ中衛まで魔法の影響が与えられた。
魔王軍は驚きのあまり、足が止まった。
飛んできたリルと空は王国軍の前に立ったのだ。
「やっときたか!兄ちゃん達!」
と聞き覚えのある声がする。
後ろの王国軍の隙間からグランが出てきた。
「待ってたぜ!おまえらなら来てくれるってな!しかし、流石の魔法だな!ねぇちゃんも成長してるしな!ガハハハハ!」
後ろの騎士団からは
「あれが団長が言ってた、組み合わせの魔法ができる魔法剣士か…あんな魔法規格外だ…勝てるぞ!この戦い!」「ウォォォォォ!!!」
と王国軍の指揮が上がった。
「グラン!久しぶりだね!遅くなってすまない!」
空は言った
「なーに!心配すんな!俺たちゃピンピンしてら!…それよりも魔王軍はまだ半分以上残ってんだ!気を抜くな!!」
空達は前に振り向き言った
「いくぞぉ!!」
その掛け声と共に王国軍は魔王軍に進撃していった。
リルは一体一体を確実に剣で捌き、敵が動揺するほどの剣技を魅せた。
空は広範囲魔法を使った。
火、闇魔法
「紅闇玉」
空の周りに無数の黒炎の玉が現れ、魔王軍に向かい放たれた。
黒炎の玉は魔物達を貫きほとんどを壊滅させたのだ。
漆黒に染まった炎の玉は止まることなく魔物達を貫いていった、だが魔王軍後衛で魔法が突如消えた。
空は驚き両手を横に広げ王国軍を止まらせた。
空が貫いた魔物達はバタバタと倒れていき、その背後に空の魔法を止めたと思わしき魔人が立っていた。
その魔人は背から4つの黒い翼が生えていた。
魔人は笑って言った
「クククク。たった1人の魔法使いにここまで軍が壊滅させられるとは!!おもしろい人ですね。しかも闇魔法を使うとは!!あなた。ん?いや、前線に立っているから魔法剣士ですか?これはこれは素晴らしい!」
と小さな拍手をし、話を続けた。
「それにしても、そこの魔剣士の子供ならまだしも、この程度の人間共にやられるあなた達は生きる価値など無いでしょう。」
魔人は翼を広げ自身の軍に翼を仰いだ。
すると羽一本一本が矢となり自身の仲間達を襲いはじめたのだ。
「ククククク!!ハハハハ!あなた達は魔王ラーヴァナ様の恥さらしだ!死んで当然!!」
そう言って自身の軍を壊滅させた。
魔物達を襲った羽は魔人の翼に戻った、魔物達の血で染まった翼と日が落ち空に映し出された満月が魔人の立ち振る舞いにより一層箔をつけた。
王国軍はこの異様な光景に気味が悪くなり後退りをしていた。
スキル 鑑定
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ガルダ Lv.不明 ランク不明
種族 鳥の魔人
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(今の僕の鑑定だと名前くらいしか分からないのか!?)
魔人は口を開いた。
「私の名前はガルダ!魔王ラーヴァナ様の配下5等級の内、2等級を務めさせていただいております。以後お見知り置きを…」
ガルダは紳士のように手を胸に置き軽く一礼をした。
「あなたたちの目的は何?!」
リルがガルダに問いた。
「フフフ。これはこれは粋のいいお嬢さんですね。こちらが名乗ったのだ!名乗り返すのは当たり前だろう?」
とガルダはリルを強い目で睨んだ。
するとリルは恐怖のあまり足が震え、恐怖で口も開けず立っているのがやっとなほど怯えている。
空がリルの頭に手を置き
「大丈夫!」
といった。
「僕の名は真白 空!あなた達の目的はなんだ!」
「敵に目的を教えるほど馬鹿ではないんですが…まぁ、あなたのことは気に入りました。少しお教えしましょう。現アンデル王国の兵力の確認とラーヴァナ様の気まぐれとでも言っておきましょうか。」
(気まぐれ?気まぐれでこんなにも大勢の人を殺すのか?)
空は少し感情が高ぶった
「おまえたちのせいで一体何人が死んだ!?気まぐれだと?ふざけるのも大概にしろ!」
「フフフ。ならばどうしますか?」
「斬るさ!あんたもな!!」
空はガルダに剣を向けた。
そして小声でグランに話した
「グラン!こいつはやばい!ここは僕が時間を稼ぐリルと仲間たちを連れて今のうちに王国に戻るんだ!そして守備を整えろ!」
「兄ちゃん1人で大丈夫なのか?あんな化け物危険すぎるぞ」
「大丈夫。心配するな!それよりもリルのこと頼んだよ。」
そう言い残し空はガルダに向かって走っていった。




