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【47本目】アラン・ドロンのゾロ(1975年・伊)

 ゾロってスペイン語で狐だからかいけつゾロリがキツネなのって元ネタに忠実だったんだな……(今さら




【感想】


 ジョンストン・マッカレーの【快傑ゾロ】をベースに、主人公の正義の盗賊ゾロをフランスの名優・アラン・ドロンが演じた映画です。日本ではアラン・ドロンは60年代の時点で有名だったのでこんなゾロよりもアラン・ドロンが強調されたような邦題になっています。また中国では文革後に西部劇と一緒にこの映画が上映されたことが、かの国でドロンが有名になったきっかけにもなっているそうです。




 ゾロっていうのは元は1919年に執筆された小説を基にしたキャラクターですが、その直後の1920年にサイレントで映画化(チャップリンの友達ことダグラス・フェアバンクスが主演)され、サイレント映画期の剣戟映画の流行の影響で大ヒットした、という歴史があります。


 以降、ゾロの映画は時代の節目ごとに、アメコミヒーローのごとく設定と俳優を替えてリブートされ続けてきました。


 今有名なのはアントニオ・バンデラス主演の【マスクオブゾロ】【レジェンドオブゾロ】ですが、1970年代にゾロを演じた俳優こそ、かの名優アラン・ドロンだったのです。


 剣戟映画というサイレント映画時代の始まりから脈々と受け継がれてきた一種の伝統的ジャンルの流れを、この映画は汲んでいるわけです。




 ただ【アラン・ドロンのゾロ】には、もう一つのジャンルが影響を与えています。


 ドゥッチョ・テッサリが元々マカロニウエスタンの監督であり、伊仏合作であるもののスタッフの大半がイタリア人なので、いろんなところに(設定上は新大陸だけどヨーロッパ内でロケが行われているところとかもそう)マカロニウエスタンの影響がみられる映画なんです。


 テッサリ監督は1965年に【夕陽の用心棒】というヘラヘラしてるけど銃の腕は抜群なならず者・リンゴを主人公としたマカロニウエスタン映画を撮っていますが、


そのリンゴが覆面を被って拳銃を剣や鞭に持ち替えると、そのまま【アラン・ドロンのゾロ】のゾロになります。


  剣戟映画とマカロニウエスタン、二つの異なるジャンルを両親として生まれたのがこの映画と言えるでしょう。




 1975年と言えばハリウッドではアメリカンニューシネマの勢いがまだまだ衰えていなかったころです(【狼たちの午後】とかもこの年)けど、この映画は(猫を被った状態とはいえ)おとぼけお茶目なキャラクターのアラン・ドロンが見れたりして、同時代のハリウッド映画とは程遠いレベルで明るい映画になっています(でも人死には起きる)。【サムライ】や【仁義】などのノワール映画でのドロンが好きな人がこの映画を観ると、いろんな意味で面食らう映画かもしれません。




【キャラについて】


 原作の【快傑ゾロ】からして、名家のドラ息子のドン・ディエゴが実はイケメン剣士のゾロでした!というギャップ萌えの塊みたいな存在(バットマンの元ネタにもなってる)なので、彼を主役とした映画はそれだけでキャラクター性には困りませんね。


 ただこの映画のゾロで面白いのは、素面であるはずの総督の顔もまた、友達であるミゲルに託された仮の姿、ってことですね。要するにゾロの顔と総督の顔、どちらもアラン・ドロン演じる主人公にとっては偽りなわけですが、猫を被った総督よりも、友の遺志を次いで正義を実行するゾロの方が、覆面をしているにも関わらず素の自分に近い、という面白い逆転現象が起こっているんです。


 敵対するウエルタ大佐が、ベージュとか白とかのゾロの黒とは相反する明るい服を着ているのも、ベタベタですが映像的にわかりやすいし冴える対比って感じですね。


 総督時のアラン・ドロンのみならず、ホアキンとかガルシアみたいなコメディリリーフも、この映画の明るい世界観に一役買っていたといっていいでしょう。子供たちが活躍するシーンもあるので、多分ファミリー向け映画としても通用するんじゃなかろうか?




【好きなシーン】


 中盤の周囲の建造物や品物を利用したアクションは、ジャッキー・チェンの80年代くらいのアクション映画(【プロジェクトA】中盤の自転車での逃避行とか)を彷彿とさせて非常に見ごたえがあります。


 ただ映像として見ごたえがあるだけじゃなく、あの一連のアクションで頭が軽くて飄々としているゾロ、というキャラクターをさらに強めてるのが上手いって思わされますよ。




 でもってヒロインと悪役の結婚式の最中に乱入して颯爽登場!という【ルパン三世カリオストロの城】的な現れ方をしたゾロとウエルタ大佐のラストバトルは、ザ・剣戟映画と言わんばかりのちょうどいい長さの白熱バトルで手に汗握りましたね。


 拳銃だと撃てばしまい、日本刀だと斬ればしまいなので、西部劇映画もチャンバラ時代劇映画も工夫しないとあんまり決闘を長引かせることができませんが、本作のようなフェンシング主体の剣戟映画は基本【刺したら勝ち】【刺されたら負け】っぽいので、うまいことライバル同士の決闘を長引かせやすいって利点もありそうですね(【急所付いたら勝ち】のカンフー映画と通じるものがあるな)。




 友との約束から不殺の誓いを守り続けていたゾロが、仮面を外してゾロとしてではなく、ディエゴ個人として悪党であり仇のフエルタ大佐を殺す、というオチのつけ方も見事です。


 あの仮面を外すところ、ウエルタは総督として彼を見ていますが、ディエゴは総督(友に託された仮の姿)ではなく、ディエゴ個人として敵討ちの覚悟を決めてるんですよね。

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