【135本目】スクリーム(1996年・米)
まだ続編見てないけど、ヒロインとあのホラーオタク君付き合ってほしいな……
【感想】
タランティーノ映画のように、元映画オタクの映画監督が、古き良き映画への愛をこじらせて作った映画が、90年代以降には定期的に上映されるようになりました(広義では【シン・ゴジラ】もこれだと思う)。
この【スクリーム】はまさしく、ホラー映画に精通したスタッフがホラー映画への愛をこじらせた結果世に生まれたホラームービーと言えると思います。
シナリオ自体は、サイコな殺人鬼が次々とナイフで一般人を刺したり切り裂いたりしていく、当時のスラッシャー映画、サイコスリラー映画の内容を汲んだ構成になっています。
これだけなら、ちょっと特徴的な仮面をかぶった殺人鬼が出てくるベタなホラー映画かもしれません。
この映画のキモは、何といっても【ホラー映画好きがホラーに巻き込まれる】という点にあるでしょう。事件自体はベタベタなホラー映画なのに、出てくるキャラがホラー映画初級者~上級者なので、ホラー好きならニヤニヤさせられるフレーズが終始マシンガンのように飛び交い続けるので、それが味になっています。
のっけから【ハロウィン】と【13日の金曜日】に関するクイズに始まり、【死霊のはらわた】【ヘルレイザー】【キャンディマン】などのカルト系や【羊たちの沈黙】や【サイコ】などの定番系のホラー映画群の名称が次から次へと引用されます。
(ホラー映画オタクくんがカルト向け映画を挙げるのに対して、彼氏くんが古典作人気作しか上げないところがらしくっていい)
またただタイトルが引用されるだけでなく、【外に出りゃいいのに2階へ逃げる】【どんな駄作でも続編が作られる】【最後の最後で急に死んだはずの殺人鬼が起き上がる】というホラー映画あるあるも高校生たちの口から連発されます。
そしてそれらのホラーあるあるが、ストーリーと思わぬ交差を遂げるのもこの映画の見どころです。
【ホラーでは処女じゃないと生き残れない】→並行してヒロインの濡れ場
【ホラー映画に理由はいらない】→後になって真犯人が同じセリフを吐く
といった感じで。
そんな感じでティーンたちがホラー映画あるあるを終始語り続ける姿には、従来のホラー映画、スプラッタ映画を「茶化している」「コケにしている」空気も感じなくはないです。
しかし、ラストで真犯人が口にする【映画はサイコを作らない。サイコの想像力を掻き立てるだけだ!】という、暴力的な映画を見た若者が暴力的に~というありがちな映画批判へのスタッフの怨念じみた怒りが垣間見られる台詞もあったりして、制作陣のホラーに対する誠実な思いがわかるパートも要所要所にあります。
そういう意味では正しくタランティーノ映画がすべてのB級映画好きに捧げられた映画なのと同じく、すべてのホラー映画好きに捧げられた映画のように、僕には見えました。
一つ違いを上げるとすればタランティーノが【レザボア・ドッグス】【パルプ・フィクション】上映当時新進気鋭の鬼才若手監督だったのに対して、今作の監督ウェス・クレイヴンは【スクリーム】製作の時点で【エルム街の悪夢】や【サランドラ】で知られる人気ホラー映画監督だったという点ですが。
(なのでシナリオ運びなどからはセンスよりもベテラン的計算力の方を感じる)
【好きなシーン】
細かいところを挙げていったらキリがないですが、丁度中盤くらいのビデオレンタルショップでの女友達の彼氏とホラーオタクが誰が犯人か予想しているシーンが、挿入されているタイミング込みで面白いです。
丁度怪しい人物として複数の人物の名前が挙がってて、観客も推理が楽しくなる局面で挿入されているので、一種のメタ構造みたいになっているシーンなんですここ。




