異世界転移?
初めて書きます。語彙力も文章力もオリジナリティも無いですが大目に見てください。
「はぁ、やっちまったなぁ……」
手を頭の後ろで組んで空を仰ぐ。時間は日暮れ、そして場所は山の中だ。辺りを見回しても目に映るのは草木のみ。
後悔先に立たず。そんな言葉が頭をよぎるがどうしようもない。
携帯を料金未納で止められたので、助けも呼べない。位置情報もわからない。
「完全に遭難だな……」
あてもなくふらふらと彷徨っているとポツポツと雨が降り始めた。こんな非常時に運が悪い。次第に雨脚が激しくなり、俺は慌てて雨宿りできる場所を探した。
しばらく辺りを探していると、大きな木にぎりぎり人一人が入れる程の大きさの洞があった。入れるかなと身を屈めて足を踏み入れた瞬間、バランスを崩した。
「うわぁっ!?」
踏み出した足の先に地面が無かった。俺はそのまま洞の中に落下した。
「うあああああああああ!!!ぐぺっ!?」
長い浮遊感に絶叫していたら地面に叩きつけられた。全身を強打した。超痛い。痛みにのたうち回っていると声が聞こえた。
「最近迷い人が多いのう」
地べたに這いつくばり顔だけ声の方へ向けると、長い髭の小柄な爺さんが浮いていた。思わず二度見した。……浮いている。頭にウリ坊が乗っている。
「は?」
落下の衝撃で俺は混乱しているようだ。落ち着こう。
「そうじゃ。落ち着け」
ここはどこだ。洞の中に落下したのは覚えている。
ごろりと寝返りをうって上を見ると、プラネタリウムのような半球状の天井にびっしりと大小様々な扉が付いていた。思考が停止した。
「ここはそうじゃのう、世界の狭間と言ったら分かるか?」
分からん。大の字になって天井を見ていると爺さんが心配そうにこちらを覗き込んできた。やはり宙に浮いている。
俺は体を起こし爺さんと向かい合った。この状況と不思議空間を説明してもらわなければ何も始まらない。
「説明と言われても……、繋世の部屋に迷い人であるお主が落ちてきたとしか言い様がないんじゃが」
困ったと、そんな表情で答える爺さん。今気付いたがこの爺さん俺の頭の中を……、まぁいいか。不思議空間だから何でもアリだな。ところでケイセイの部屋ってなんだ?
「言葉のままじゃよ。世界を繋ぐ部屋。この扉の向こう側は別の世界に繋がっておる」
なるほど。じゃあ俺は日本に通じる扉から落ちてきたのか?
「まぁそういうことじゃな。ちなみに元の場所にお主を戻すことは出来んぞ」
「え!?なんで!?」
思わず声を出してしまった。声に驚いたウリ坊が爺さんの頭からズリ落ちていった。すまん。
しかし扉で通じていると言うならばそこを通れば元の場所に帰れるのではないのか。いや遭難していたから元の場所に戻されても困るのは確かだが。
そんなことを考えていると爺さんは申し訳なさそうに答えた。
「なぜか今の扉は一方通行でな……。それに一度閉まるとその世界の別の場所に再接続されてしまうんじゃ。今現在どこに繋がっているかはわしにも分からん」
「えぇ?……じゃあ俺はどうなるんですか」
帰れないと聞いて動揺する。が、帰っても居場所が無いことを思い出した。少し憂鬱な気分になる。
「安心せい。わしの上司みたいなもんに連絡しておるから、その柱がなんとかしてくれる。そろそろ来ると思うんじゃが……」
爺さんがそんなことを言いながら後方の扉に振り返った瞬間、その扉が物凄い勢いで開いた。
大音量の叫び声と一緒に。
「迷い人は何処だジジイィイイイイ!!!」
「うおっ!?」「ピギィ!?」
突然の大きな音にビビる俺とウリ坊。ウリ坊は慌てて爺さんの後ろに隠れた。可哀想に、涙目で怯えている。
派手な登場の仕方をした人物を見やると、カラフルな後光が差していた。レインボーだ。謎のポーズまでキメている。なんだこの変なヤツ。
「何処もなにも此処にしか来ないじゃろうに」
爺さんが小声で突っ込む。
「ジジイ報告ご苦労!それで……あぁ、彼が迷い人クンね。それじゃ、この子貰ってくから!また迷い人来たら報告してネ!」
爺さんに一方的に宣言し、つかつかとこちらに歩いてくる派手な女。気圧され思わず後ずさるも、一瞬で詰め寄られガッチリと手首を掴まれた。とんでもない握力だ。そのままロクな抵抗も出来ずに引きずられていく。
「ちょちょちょちょっとまってぇええええええ!!!」
「それじゃ兄ちゃん、元気でな」
爺さんがひらひらと手を振る。
「わけわかんないんだけどぉおおおおおおおお!!??」
絶叫むなしく、俺は派手女が出てきた扉に引きずり込まれた。
神隠しといえば注連縄が巻かれた老木の洞ってイメージなんですが皆さんはどうですか