隠す理由
twitterでのやり取り第二弾。
短いです。すみません。
グレイが怪我を隠すようになったのはいつ頃のことだったろうか。
ああ、そうだ。
俺を庇って怪我して以来だっただろうか。
***
俺シャラとグレイがコンビを組んで共闘するようになったのは1年ほど前のことだった。
俺たちの任務は基本的に2人一組で行動する。1年前にお互い空きができてしまって、仕方なく組んだのがきっかけだった。
お互い干渉しすぎない性格だったのか、気が合った。
そんなときとある戦闘時に俺を庇ってグレイが腕を撃たれた。
「っ!?」
「おいっ!!グレイ!!」
慌てて駆け寄った俺をグレイはうっとおしそうに見た。
「んなもん、なんともねえから。」
止血帯をぎゅっときつく縛ったグレイは立ち上がった。
俺を、庇ったから。
俺は何も考えられずにただ、立ち尽くしていた。
「シャラ!!」
グレイの大きな声でふと我に返る。
「しっかりしろ。なんともねえから。」
ぽん、と肩を叩いて再び戦闘態勢に入る。
「片づけんぞ。」
グレイの姿を見て、俺も戦闘態勢に入った。
ああ、そうか。
これを見て、俺が呆然としているさまを見て、こいつは怪我を隠そうとしているのか。
***
「おい、グレイ。」
ある日、隊舎に戻った後、俺はグレイに声をかけた。
「んあ?」
「お前さ、隠しきれてると思ってんの?」
腕をつかんでそう言うと、何を言われているのかわかったのか、途端に機嫌が悪くなった。
「っ…うるせえな…」
「今日、足庇って任務してたろ。」
「うっせえっつってんだろ!?」
グレイの声が大きくなる。
後ろめたいことがあると(俺限定だが)機嫌が悪くなるのがグレイの癖だ。
俺は大きくため息をついた。
そして、
「お前…いい加減にしろよ。怪我されてるとこっちが迷惑なんだよ。」
声を低くして、こう言うとグレイが一瞬怯む。
「っ…お、俺が死んだとしてもシャラには関係ないだろ!?」
「関係ないだぁ…?」
さらに低いトーンの俺の声にあ、まずいとグレイが顔をしかめた。
「本気で言ってんのか、貴様?」
「っ……」
黙り込んだグレイを見て俺は再びため息をついた。
「足、見てやるから。俺の部屋な。」
「っ……」
黙り込んでしまったグレイを見てしまったかな、と思った。
「……痛く、すんなよ。」
グレイの顔を覗き込むと小さな声でそう言った。
「はは、わかったよ。」
俺はグレイの肩をポンポンと叩いて一足先に部屋に戻った。
本当はシャラ側の気持ちも書きたかったんですけど、ちょっと体力が持ちませんで。すみません。
気が向けばまた何か書くかもしれません。