第4話
また鳴り響くDSTD!雄馬は今度こそ、マキシムから聞き出せなかったことを全て聞き出そうと意気込むが、、、。
『よう!おっさん!今日こそ全部聞き出してやるからな!』
『あら、なんでそんなカリカリしているのかしら?』
電話の向こう側で、そう答えたのはナンシーだった。
『いや、その、、またおっさんからの電話かと思って、、その、、あの、、なんかすいません、、。
』
俺は知り合って間もない人に、心の中を覗き込まれたような気分になり、少しひるんでしまった。
『君はなんでも知りたがるのね。まぁ、私も人の事言えないけど、君は特に、そうなのよ、昔から、
、、。』
『昔からって、、なんすか?まるで、俺のことずっと前から、、、』
『いいえ、なんでもないの!忘れてちょうだいね!ところで、、マキシムからの伝言で、君のその不満の原因を知りたければ、DSTDの4を押せですって。じゃあ、伝言はちゃんと伝えたわよ!またね!』
そう言って、電話は切られてしまった。俺はまた何も聞き出せなかった、、とも思ったが、不思議とそれもそうだな、、と思わされ、マキシムの伝言通りDSTDの4を押して眠りについた。
そうして朝になり、目を覚ますと俺は自分の部屋のベッドで横になっていた。昨夜、確かにDSTDの4を押して眠りについたはずだったが、部屋の様子も、自分の様子もいつも通りで何の変化もなかった。それを不思議に思いながら、首をかしげていると、DSTDではない方の自分のケータイ電話が鳴り響いた。電話の相手は神菜だった。
『もしもし。』
『もしもし、昨日はその、、、私から誘っておいて全然話せなくて、ごめんなさい!』
『いや、いいんだ、とんだ邪魔もはいったしな!またご飯、行こうな!』
俺はそう言いながら、どこか、なぜか息が詰まる想いでいた。
『うん!また行こうね!楽しみにしてる!』
『おう、俺も!またな!』
『うん!そしたら、またね!』
(違うんだ、俺はこんなことを言いたいんじゃ、、)そんなことを思っていたのにも関わらず、上手く言葉にならないまま電話は切れてしまった。自分が一体、何を言いたかったのかも明確には分からないまま、目覚めの悪いような朝の一日を迎えたのだった。
そのあと、身支度をして、買い物に出掛けたり、街の様子などを見に出たが、この世界が異世界らしい様子が全く無かった。そうして、仕事に向かう時間となり、いつも通り、俺は出勤をした。
バイト先に着くと、神菜と仲田が何やら楽しそうに話しているのが見えた。俺は、それを見ないフリをして更衣室に向かった。ゆっくりと着替えてから、店に出ると、神菜はニコッと微笑んで、俺に挨拶をすると、すぐに帰っていった。
すると、そのすぐ後に、仲田が俺に話をかけてきた。
『昨日は楽しかったです。あんな所で不意に会うなんて、運命かもしれませんね。』
『いや、ただの偶然だろ。』
『俺、本気ですから。』
『は?なにが?』
『有村さんと大科学者になるって話です。』
『へぇー、だから何?なんでそんな事、わざわざ俺に言うの?』
『俺、本気ですから、有村さんのこと。矢中さんも有村さんのこと狙ってるんですよね?俺も有村さんのこと、狙ってます。けど、俺は矢中さんより、有村さんのことを理解できて、好きな気持ちだって負けない自信があるんです。科学や宇宙のことなんて全く興味ない矢中さんに、彼女のことを理解できるはずがないですし、俺のほうが、、!』
『で?お前が言いたいことは、それだけ?』
『はい。俺、矢中さんに絶対負けませんから。』
『あっ、そう。』
俺は、表面では平静を装ったが、内心、仲田の言葉は刺さる言葉ばかりだった。何も言い返す言葉が出てこなかったのが本心だ。言われてみれば、なんの取り柄もなく、夢や目標があるわけでもなく、そんな風に生きてきた俺は、科学や宇宙のことどころか、何かに本気になったことすらなかったのだ。
そんな考えがよぎりながらも、坦々と仕事をして時間が進んでいき、休憩時間となった。休憩をしていると、神菜から電話がかかってきた。
電話に出ると、神菜は話し始めた。
『良かったぁ、出てくれた!少し話したいことがあったから、電話したんだ!雄馬さんが休憩に入るのこのくらいの時間帯だって、仲田さんに聞いて、電話してみたんだ!今少し、話せるかな?』
『うん、大丈夫だよ。どうしたの?』
『ありがとう。あのね、仲田さんが話してた、一緒に大科学者になろうって話なんだけど、、、私、受けてみようかと思ってるんだ。一人で目指すより、一緒に目指す人がいた方が心強いし、近道になるんじゃないかって思ったの。雄馬さんはどう思う?』
『、、、らねーよ。』
『ん、なに?よく聞こえないや。もう一回言ってもらえるかな?』
『知らねーよ!自分のことくらい自分で考えろよ!』
衝動に駆られて、神菜に乱暴な言葉を吐き、そのまま俺は、電話を切ってしまった。少しして、気持ちが落ち着くと、ああ、またやってしまった、、と後悔しても、手遅れだった。それから、残りの勤務時間を終えた俺は、自宅に帰ると、食事をしてすぐに眠りについてしまったのだった。
また神菜に、酷いことを言ってしまった雄馬。もう絶対に、神菜に許してもらえることもなく、おそらく、もう、まともに口を聞いてもらえる日は来ないことを覚悟しながらも、内心、どうにかしたいと思う雄馬であったが、、、。




