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社交辞令とかいいから、身代わり契約とか如何です?  作者: 音羽 雪
私と彼の身代わり契約。
8/23

6 こっちがびっくりだよ!

遅い更新になってしまってすみません>_<

「行きたくないんだけど」

「諦めてください。そして、素を出さないようにしてください」

「••••••わかっておりますわ。ゲイルもわかっておりますわよね?」

「わかってますが、俺じゃない人のことまでは保証出来かねます」

「精進なさい」

「はい」

「お〜じょ〜さま〜!!!!!!」

「ゲイル、匿ってくださいな!」

「は⁈え⁈まさか」

「聞こえていますわよ!お嬢様!!」

「アリアさんから逃げ出してきたんじゃ•••」

「ええ」

「あと髪飾りだけですのに!取りに行った隙に!」

「逃げ出したんですね••••••」

「ええ。で、この使用人の住まう別館に」

「服は乱れておりませんか⁈」

「私がそんなヘマするわけがないでしょう」

「そういう問題ではありません!!」

「ファレル様が逃げ出さなければよかったんですよ••••••」

「そうです!!あ、ゲイルさん。椅子を用意して下さいませ。お嬢様!もう逃がしませんから!!!」





 という準備を経ての舞踏会。もう疲れてるんですけど。という思いを鉄壁の笑顔で覆う。


「フレムダレム公爵令嬢」

「何でしょう?」

「トアローフ・ヘルツと申します。私と一曲踊って願えますでしょうか」

「喜んで」


 実際には喜んでもいないけど。社交辞令だ社交辞令。相手も社交辞令or『公爵令嬢』目当てだろうな。トアローフといえば伯爵家だし。こっちも結婚相手見つけなきゃだし。ゲイルとアリアにあれだけ言われたし、令嬢を崩さないのは意地というか。まあ、それで保ててるなら別にいっか。

 こんな感じで考え事をしながら踊ったり出来るようになった。得意になった、と言えないことはないよね。

 人が多い。いや、彼を見つけられないということはない。すっごい目立ってる。••••••令嬢が群がって。問題はさ、私、あの中に飛び込むのか?っていう。怖すぎる。まず、踊る約束をした訳でもない、のか?よくわからない時点で私的に『アウトーー!!近づかない方がいい!!!』なんだけど。折角、言った通

 り得意になったのに。なんか残念。

 そして、かくいう私も今日は人に群がられている。彼ほどではないけど。『公爵令嬢』として忙しいっちゃ忙しい。事実、今踊り終わった途端、声をかけられる。

 そう考えると、踊るとかの確率はゼロに等しい。あっちが誘ってこなければね。はい、冗談でーす。ありえなさすぎるって。

 声をかけて来た人に挨拶するために、腰を深る下げようとした時、急に腕を掴まれた。その方向を見る。


「ゲイル••••••?」

「申し訳ございません。お嬢様をお借りさせていただきます。お嬢様、御手を」


 公式の場だからだろう『お嬢様』呼びのゲイル。なんか新鮮。

 困惑しながらも手をゲイルの手に乗せる。引っ張られるようにバルコニーに出た。


「涼しい•••」


 自分の知らない間に結構暑かったのかな。全然気付かんかった。


「自分の体に気を遣ってください」

「え?」

「疲れているでしょう?無理は禁物、ですから」

「疲れてた、のかしら?」

「少なくとも、私から見れば」


 自分では気が付きにくいことなのか?それにしても、


「よくわかったわね」

「何がでしょうか?」

「私が疲れているということよ」

「それは、」


 何故そこで言い淀む。でも、ゲイルは次の瞬間には意を決したようで、口を開いた。


「ずっと見ていますから」

「?ありがとう」


 一歩間違えればストーカーな発言だよ。ある意味ホラーだよ。わかってる?ゲイルさん。まあ、それが侍従の仕事なのか?••••••何故そこで顔がどんどん赤くなっていくんだ。ここは、涼しいはずなんだけど。

 熱?急に?額と額をくっつける。


「お、お嬢様」

「熱は••••••無いですわね」

「熱?あるわけ無いでしょう」

「ですわね。なら、ゲイルも休んだ方がいいわ。疲れてるんじゃないかしら」

「何で休む云々の話に•••」

「顔が赤いからよ」

「え⁈まさか⁈」

「声を控えなさい。ここはホールより少し暗いけど、かなり赤いわ。ホールは明るいし、目立ちますわよ。それにしても、原因は何か

 しら?」

「••••••原因はファレル様ですよ」

「じゃあ、侍従の仕事の頑張りすぎじゃない

 の。やっぱり休みなさいな」

「••••••やっぱり通じませんよね」

「何がよ。モゴモゴ言ってないで、自分の体調を気にしなさいよ」

「はい、お嬢様を休ませに来たはずなんですがね•••。お嬢様、ホールに戻っておいてください」

「わかってるわよ」


 いつかはね。今すぐとは言ってないし。円形のホールのバルコニーは円形なのよ!探検するに限る!!王城だけあって、庭も豪華だし!!!

 ?柱の影に誰かいる••••••って、あれ、王太子殿下じゃね?なんか、読んでる?一人だし••••••。雰囲気に流されて、そーっと歩く。


「えええ⁈」

「うああ⁉︎」


 殿下、早いな!ソッコーでブツを背中に隠した!!お、落ち着け。飛び退くのは全力で抑えろ、私!!!静かにしなきゃ。幸い、ホールの中の人は気づいてなさそう。


「!ファレル、か?」

「そ、そそそうでございます。王太子殿下」

「見た、か?」

「それはもうバッチリと」

「即答か」

「あ、と、申し訳ございません」

「••••••」

「••••••」

「••••••秘密に、してくれないか?」

「え?」

「出来る範囲ならなんでもする」


 それ、なんでもじゃないですよね。


「少し、確認してもよろしいでしょうか」

「ああ」

「その••••••れ、恋愛小説••••••を読むのが、」

「••••••趣味だ」


 本当にですね⁈マジですね⁈マジでびっくり

 したから!!何にって?



 柱の影に殿下がいて、なんか読んでるなと思ったらまさかの恋愛小説だったことにだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「なんでも(出来る範囲内)ですか••••••」

「ああ、なんでも(出来る範囲)だ」


 まだ、信頼できる程関わってないしな。拒否しても無理だろうな。タクに似た声ってだけで私との相性がすこぶる悪い。慣れたけど、まだしばらくは反論とかゆーのは無理。タクかー、殿下に会う度鮮明に上書きされる気がす、る?


「頼み事ができましたわ!!」

「なんだ?」

「私の恋人になってくださいませ!!!」

「は?恋、人?」

「はい!恋人ですわ!!」

「私とそなたは、まだ会って二回目だよな?」

「それがどうしたのですか?」

「早すぎないか?」

「••••••でも、|あれ(恋愛小説)も好きになるのは結構早いですよね」

「ああ、確かに、そうだな」


 あれ、で通じたのか。


「というか、何故、好きになる期間の話になったんでしょうか?」

「••••••恋人になりたい、というのは、す、好きだからだろう?」

「世間一般ではないそうですわね。いいませんでしたか?私が殿下に恋人になって欲しいのは、私が忘れたくない人と声が似てるから、ですわ」

「最初に言ってくれ!!」

「フフ、話し方が素になってきてますわよ」

「••••••恋人になれば忘れなくて済むのか?」

「殿下の声を聞く度に彼を鮮明に思い出せるんですの」

「その恋人には、会えないのか?••••••死んだ、のか?」


 あー、そこ聞いちゃう?答えるのが大変なんだけど。場合によっては嘘吐かなきゃいけないし。


「会えませんわ。生きてはおりますが」

「••••••身分差か」


 よし、勝手に勘違いしてもらうか。


「あれ(恋愛小説)にもあったのですか?」

「なんでわかった!」


 ホントにそんなこと考えてたんだね!こっちがびっくりだよ!!!!!!


「だから、身代わり契約、というところでしょうか。殿下、どう致します?」

「?何を」

「恋人、要するに身代わりになることですけど、どうなさいますか?」

「やる」

「ありがとうございます。契約完了、ですわね」


 これで、きっとタクのことを忘れないで済むかも!!


「じゃあ、フィリウスと呼んでくれ」

「何故ですか?」

「恋人だから!」

「あ、はい。••••••フィリウス様」

「話し方も素でいこう!!」

「は、はい」


 ヤバい、想像したより面倒くさい一物だったかもしれない。つーか、私より乙女思考!!女子か!!!


「踊る、か」

「そうですわね」

「素で話して」

「わかったけど、後悔しないでよね」

「わかった!」


 なんで嬉々とした表情なんだよ。可愛いとか、思っちゃうじゃん。ってか、


「不敬罪とか」

「ないない」

「良かったー」

「そういう喋り方なんだ」

「いつもは令嬢モード入ってるんで」

「じゃあ、俺のは王太子モードか」

「踊るなら早くホールに向かいましょう!」


 フィリウス様の手を引いてホールに戻る。••••••アリアとゲイルの顔が怖い。けど、私と一緒にいるフィリウス様をみつけたのか、驚きの表情になった。


「一曲、踊って頂けますか?」


 急に改まられて驚いた。


「っ喜んで」


 踊れないと思ってた彼とダンスを踊ってる。踊るのには余計な情報も付随したけどね••••••。それに、彼をタクの身代わりにすることになるとは考えてなかったし。


「ダンス、得意になっているでしょう?」

「そうだな」

「王太子モードに入ると結構変わりますわね」

「それはファレルには言われたくないな」


 和やかに談笑する。端から見てもそうだろう。内容は聞かれると困るけど。


「フィリウス様と踊るのは、楽しいですわ」

「私もだ。ファレルと踊るのは楽しい。••••••他の女は色目を使ってくるからな••••••。ベタベタしてきて面倒くさい」

「それは言ってはいけないやつですわ。大変ですのね、王太子殿下」

「からかうのはやめろ••••••?どうした」

「••••••顔に出てますか?」

「いや、他から見ても大丈夫だろうが、なんとなく感じて」

「なんでわかっちゃうんですか••••••」

「何があった」

「いや、深刻な事実に気づいて」

「一体何だ」

「••••••••••••••••••••••私、令嬢方の嫉妬を一身に受けてしまうんですよね」

「そこか」

「いや、『地味に、目立たずに、そこいらの石のように』を教訓にしている私には重大なんですよ。目立ちたくない••••••」

「いやその教訓、全部同じ意味だよな。そしてその容姿で目立たないとかは無謀過ぎないか?てゆうか、そこか⁈問題点」

「嫉妬ごときはなんのそのですよ。というより、ドウデモイイ」

「逆に凄くないか••••••?」

「人の目気にしちゃ面倒くさい立場じゃないですか。お互い。」

「どうか俺にもその技を伝授して欲しい」

「『人の顔を見てカボチャと思え』が原則です」

「ブっ••••••⁉︎」

「ホホホ、申し訳ございません。足を踏んでしまいました」

「笑顔でそれは止めて••••••」


 これが、殿下と私が恋人(身代わり契約)した舞踏会だった。

はい。もう私の想像していたキャラを吹っ飛ばしてしまったフィリウスくん…。もはや跡形も無い……………。もっとクールなキャラだったフィリウスくんはどこ行った!!まあ、フィリウスのみならず、皆さん私の想像を吹っ飛ばして暴走気味です。

こんな感じで進みますが、これからもよろしくお願い致しますo(^▽^)o

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