間話 追憶の夢
今回は300文字程度です。短いです。すみません。
必要最低限のものだけが置かれた、簡素な部屋。そこだけが私の『真実』がある場所だった。
そこから出たら『嘘』だった。
タクの前にいるときは私は『私』だったけど、それさえも『嘘』で固められていた上での『私』だった。
家でさえ、名前を呼ばれることはなかった。誰にも、名前を呼ばれることはなかった。
義妹が『愛』と両親から呼ばれているのを聞く度、虚しさが心に積もった。
私は死んでもいいと、思っていたのかもしれなかった。
私の名前を呼ぶ人がいない世界に、いる意味を感じなかった。
____『中川 風音』はもうとっくに死んでいた。
誰も、呼ぶ人がいないから。
目が覚めた。私の目に映るのは、繊細な飾りが凝らされた部屋の天井。聞こえるのは、お嬢様、と呼ぶ私大切にしてくれて、私も大切に思っている人の声だった。
私を呼んでくれる人がいるこの世界で、私は前世を振り返る。
忘れたくないと、願う。
私が私である為に。
今回もありがとうございました(*^_^*)
いつかは入れたかった話なのですが、どうしたらいいのか微妙だった為、間話として。凄く短いです。でも、大事です(私的には)^ ^