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社交辞令とかいいから、身代わり契約とか如何です?  作者: 音羽 雪
私とあなたと運命の悪戯
19/23

2 マナーレッスンはお手柔らかに

はい、短いです。すみません。


半分、ライア様の話です。


1と2をくっつければよかった••••••と後悔もしています。

「急な訪問を受け入れてくれて、ありがとうございます、ライア様」

「もう、記憶は消したのでしょう?」

「そうです。それで言われたんです。公爵令嬢に擬態する方法を学んできなさいって」

「アリアあたりかしら?すでに素で身に付けさせることは諦めたのね」

「私にできるとおも」

「わないわ」

「ですよね。泊まり込みで、とも言われたんですけど、いいですか?」

「いいわよ」

「あ、私、ソファでも、最悪床でも錬れるんで。今は夏ですし、大丈夫ですよ」

「普通にベッドよ!!積もる話もあるし、一緒に寝るわよ」

「一緒に••••••いいんですかね?」

「私がいいって言ってるのよ。いいに決まってるでしょう」

「そういえば、腐女子って本当ですか?」

「ええ」


 サラッと聞いてみたら悩むことなく即答された。しかも、一冊の本を渡してくる。残念(?)ながらブックカバーで覆われているので表紙は見えなかった。


「これ、読んでみたら?」

「••••••嫌な予感しかしない」


 そう言いつつ、無意識に私は自分の右隣を見上げ、苦笑した。


「••••••誰か、いるの?」


 声をかけられて、私の左に座っているライア様を振り返った。


「え?」

「あなたの右隣」


 いるわけがない。この部屋にはライア様と私しかいないのだから。そう気づくと、急に喪失感が押し寄せてきた。

 私、なんで、右隣を見上げた••••••?


「••••••誰も、いませんよね」


 誰かがいたら逆にホラーだ。あと、不法進入。

 でも、


「ライア様」

「?どうかなさった?」

「••••••私の隣っていうか、私って、恋人とか、いましたか?」


 私がそう言うと、ライア様は何かに気付いたように苦笑した。

 でも、返ってきた答えは。


「いなかったわ。それに、あなたがいないことを望んだのよ」


 私が、望んだ••••••。でも、じゃあ、何で私は、今こんなに胸に穴がぽっかり空いた気持ちになるんだろう。記憶がないから?

 タクなら、わかっただろうか。


「ファレル」

「はい?」

「その腕飾り、誰に貰ったの?」

「あぁ、前に街に出たときに、ゲイルが買ってくれたんですよね」

「••••••」


 自分がした質問でそんな答えが返ってくるとは思っていなかったライアは、不覚にもゲイルの気持ちを知ってしまったのと、何にも気づいてない様子で小首を傾げるファレルの鈍さに頭を抱えた。

 ファレルはそんなことをそこまで気にとめるでもなく、


「私の瞳と髪の色に合わせてくれてるんですよ。センスいいというか、お洒落ですよね」


 と言い出すものだから、少し、殴りたいなどと考えたことはライアだけの秘密だ。

 そういうアクセサリーってもう誰かのものであることを示すやつだった気がするのだけど。ゲイルはわかっていて渡したのか、ただ似合うと思ったから渡しただけなのか。


 一人で悩みまくっていた。


 ☆


『私の隣っていうか、私って、恋人とか、いましたか?』


 私はいなかった、と答えたけど、それは嘘でもあるし、真実でもある。


 恋人ではなかった。


 それは本当にファレルが言ったことで、どれだけ周りがそう見たとしても本当の恋人ではなかった。


 隣には、いた。


 我がお兄様が。たった二カ月という短い間。それだけでも、二人は隣り合わせに立っていた。

 ファレルはさっきのように右にいるお兄様を見上げて、お兄様は左にいるファレルを見下ろして。顔を合わせて、視線を絡ませて笑っていた。


 そんな二人は恋人だった。


 お互いの表情はわかっていても、自分の表情も、その時の想いも二人はわかってない。お兄様は忘れてしまったし、ファレルも知ることを拒絶した。


 私は側から見ていたからこそ、わかってる。


 あの時、私の部屋でお兄様はファレルだけを見ていた。そこにどれだけの愛しさが込められていたのか、私は見た。

 ファレルは、身代わりなんて関係無しに、お兄様______『フィリウス様』を見ていた。それにどれだけの意味があるのか、ファレルは気付いただろうか?



 お兄様とファレルは、恋し合っていた。



 二人ともが鈍くて気付けないことを私は知ってた。それに、今なら『契約』が二人の想いを隠して、歯止めをかけていたとわかる。


『契約』から始まった恋は、他でもない『契約』に邪魔されていた。


『契約』がなかったら、二人の距離は縮まらなかった。だけど、『契約』がなかったら、二人は自分達の想いに気づいたのではないか。そう、思う。




 それに、

 私はまたも気付いてしまったのだ。ファレルが気付いてないことに。


 ゲイルは、ファレルを慕っている。そこに主従以上の思いがこもっているのはあの腕飾りが物語っている。


 何故、自分はこんなに厄介なことばかり気付いてしまうのだろう。そう、心の中で溜息をつきながら言った。



「では、マナーレッスンをしましょうか」



 色々鬱憤を晴らすために、少し、いやかなり厳しくなってしまっても、文句は言わせないから、覚悟なさい!


 若く聡明で美しい王女の満面の笑みにファレルは寒気を感じた。

時間がなくて…ちまちま更新してます。


今回もありがとうございました(^∇^)

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