表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪は血を雪ぐ  作者: 結城朱琉
2/3

月光

雪水が初めて屋敷の門外に出た日の夜のお話。

初めての友達?いや、まだ知り合い程度か?


頭を巡らせてしまっているし、まだ胸がバクバクして、とても寝付けそうにない、初めて門外へと出た日の夜。


「・・・・月見でも・・・・」


寝床から出て、障子を開けると真司がいた。


「あ、こんばんは」


「・・・・何故いる?」


「やだなー。毎日いるぞー」


「不法侵入だ」


「毎日雪のところに通ってんじゃん」


何を言っても帰りそうにないので、羽織を羽織って真司の隣へ腰を下ろした。


今宵は満月だ。空は少し明るく、月の周りの星が見えづらい。その代わり、よく手入れされた綺麗な庭が見えた。


「何か、あったのか?」


「べつに」


話したがりだと思っていたので、素っ気ない返事に少し驚いた。


「そうか」


気にして欲しくないけれど、やはり心細い。そんな時はただ黙って傍にいて欲しい。その気持ちは分かる。今、真司がその気持ちだというのは保証はないがそんな気がした。私の場合はいつも、紅が傍にいてくれたから、大丈夫だった。


「・・・・そのままでは体を冷やしてしまうよ」


見れば真司は羽織を羽織っていない。


「オレはいいんだよ」


儚げに笑った真司を見て、これは結構参っているなと思った。


私と別れてから自邸宅で何があったか気になってしまう。


せめて、風邪を引かないようにと自分の羽織を広げて真司を取り込んだ。ぴったりとくっついた体が温かい。


「いいよ、雪。寒いだろ?」


「べつに」


お返しとばかりに素っ気なく返してやると真司が笑った。やはり、彼は笑顔が一番似合う男だ。


「ごめん。ごめん。・・・・ちょっと、家で驚いちゃってさー」


月を見ながら真司が話を続けた。


「こんなこと言ったら雪に悪いかもしれないけど、父様と母様に雪と遊んだこと話したら怒られた。雪と遊ぶんじゃないって」


まぁまぁ、予想はしていた事だ。世間体に見る私の立場は正直言ってよろしくない。私が存在する限り、帝の悪評に繋がってしまうのだから。


「何でだよ!!ってオレ怒ったんだ。そしたら、父様の口から雪の悪口ばっかり出てきて、聞いてられなくて、逃げた」


真司が怒ってくれたことに、無駄なことをと思う反面嬉しかった。


「真司。私は自分の立場をよく理解している。だから、真司が悲しむことはない。事実なのだから」


「雪までそんなこと言うなよ・・・」


「すまない・・・」


「雪が謝ることじゃない」


「・・・・・。きっと私は兄上達や弟達と違って表に出ることはないだろう。私とて、自ら出ることはしたくない」


「じゃあ・・・・」


口を開く真司を制した。


「だが、もし、表に出るような立場になったのならば、その時は胸を張って出よう。誰が何を言おうと、規則に背こうとも、私の守りたいものは全力で守る。それでいいだろう?真司。私は間違っているだろうか?」


ぶんぶん顔を左右に振る真司を見て、自然と自分の顔に笑みが浮かんだ。


「ありがとう。真司。私にとって君は掛け替えのない存在だな」


「オレだって!!!」


「ふふふ。そうだな」


暫く月見をしながら、腹を割って話し合った。話し合ったと言っても、ほとんど真司が話して私が聞くだけだったが、充実した時間だった。


翌朝、久しぶりに紅に起こされた。


「昨夜はよく眠れなかったのですか?」


「ん・・・まぁ、ね」


「そうですか。朝食を少し遅らせましょうか?」


「いや、食べる・・・」


もぞもぞと布団から出て、颯爽と着替えた。


朝日が部屋の障子を通して、この部屋明るく照らすように、自分のこの先も明るくなっていくだろうか。





雪水の決意、ですね。

真司に確認を取っているあたり、雪水らしいですね(*'▽')

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ