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7 酸・塩基

部長 「反応の大まかな話しを行ったところでついに中和反応の話しをしよう。」

1年生「中和『反応』……。つまり中和も反応の一つですか?」

部長 「そうだな。反応の定義は広いからな、適当に分類分けされる。酸化還元、有機、無機……。中和も分類の中の一つだ。」

1年生「分類分けですか。古代、中世、近世、近代。それに日本史、世界史等、確かに何でも分類分けしますもんね。それよりも、中和程度では話が終わらないことが垣間見えた気がしますが。」

部長 「いや~、どれもいつかは話したいな。ただ、今は中和の話しだ。」

副部長「おや、脱線しないのかい。」

部長 「今まで、少し打線し過ぎたからな。」

1年生「少し……。」

部長 「疑問符が無しか。」

副部長「呆れられているね。いつまでもあると思うな親とツッコミ。」

部長 「手厳しいな。」

1年生「遠回りにこちらを責めてますよね。ツッコミを欠いただけでこの仕打ちですか。」

部長 「楽しいからつい、な。いや、これは脱線成分が足りないせいかもしれないな。」

1年生「打線がなくなると冗談と後輩いびりが増えると。大変ですね。」

部長 「また呆れられた。心が折れる前に中和の話しを始めてしまおう。といっても話の最初は中和ではなく酸とアルカリという液体の状態の話しからだ。アルカリはともかく酸のイメージをよろしく。」

1年生「酸っぱい。……あと、炭酸ですかね。」

部長 「炭酸が思い浮かぶのはうれしいな。ちなみにそのイメージ、酸っぱいは酸の特徴、炭酸は種類のことになる。」

副部長「後は今まで習った事で知っていることはあるかい?」

1年生「リトマス試験紙の色を変える。酸は青色リトマス試験紙を赤色に、アルカリは赤色リトマス試験紙を青色に変えるはずです。」

部長 「他に液体系は?」

1年生「BTB溶液とかあった気がします。」

副部長「そんなに万能ではないもので。」

1年生「……フェノールフタレイン溶液。……何とかオレンジ。」

部長 「メチルオレンジな。フェノールフタレインの色の変化も覚えているか。」

1年生「アルカリで赤色ですか?」

副部長「正解。メチルオレンジは酸性でオレンジに近い赤色、日本語的には朱色かな。」

部長 「記憶の蓋は開いたか?」

1年生「高校受験を思い出しました。」

部長 「まさしく範囲だな。簡単な化学だから中学でも習うのだろうな。原理もへったくれもない暗記範囲だがな。つまらん。」

1年生「それを今から面白く話して下さるのですか?」

部長 「すまんが今回はそれが出来ない。」

1年生「え?」

部長 「調べてないから知らないってこともあるが、そもそも難しい。色の変化は私の手に余る。」

1年生「色って複雑なんですか?」

部長 「言葉足らずだった。色も当然難しい、個人的には色の方が難しいが、今回の本質は色が変わってしまう原因だな。酸になったからとか、アルカリになったからとかな。そこに対してだからどうしたと話したかったが……それも難しい。濃度によって変わる平衡論とか律速とかあるんだろうが……、知らないものは話せないな。」

1年生「何でしょう、聞いてすみませんでした。」

部長 「いやこちらこそ力不足ですまない。何ならさっき挙げた平衡も律速も全くの的外れかもしれない。それくらいの知識だ。」

副部長「さて、分からない事はこれくらいにして、そろそろ話しを先に進めようか。」

部長 「そうさせてもらおう。とはいえ、なにから話したものか……。」

1年生「悩むほど内容が多いですか?」

部長 「量より順番だな。今のうちに予告しておくが定義を三つ話す。」

1年生「酸とアルカリだけで、ですか?」

副部長「うん。歴史的に定義が変遷しているんだよね。」

部長 「あれも酸だろう、これも酸だろうと追加していたら、何人かの学者が改めて定義し直したんだ。しかも、昔の定義のほうが分かりやすいこともあるから、上書き保存ではなく、名前を付けて保存な。」

1年生「それで三つに増えたと。」

部長 「そういうことだ。ああでも、一つは面倒だから話さないな。」

1年生「話すと長くなる、ということですか。」

部長 「そういうこと。脱線している間に方針が決まった。取り敢えず復習、イオンで話した電離は覚えているか?」

1年生「水中に溶解する、加熱によって液体や気体になるなどのきっかけで、イオン結合している物質は分離してイオンになる話しですよね。」

部長 「覚えていてくれてありがとう。そして追加情報として電離は別にイオン結合の専売特許ではない。ということが、ここで新しく知ってもらいたいことだ。」

1年生「つまりイオン結合で構成されていない物質、分子でも起こるってことですか?」

部長 「その通り。で、それは水でも起こる。どうなると思う?」

1年生「ええっと…。 H2Oだから…。 H +とOH -,または2H +とO 2-ですか?」

部長 「……そうだ。」

1年生「えっと…。」

副部長「成長の著しさに驚いていたんだよ。」

部長 「安心していい。かなり褒めている。」

1年生「えっと、ありがとうございます。」

部長 「話しを続けよう。水の電離、基本はH +とOH -になる。で、このH +が酸でOH -がアルカリの主成分だ。今のうちにアルカリは塩基と言い換えておこう。」

1年生「水は何性になりますか? 酸になるんですか? アルカリ…、塩基になるんですか? 中性で習ったはずですが…。」

部長 「何で中学校から塩基で習わないのか不思議だ。で、水は何性か、って話だったな。中性であっているぞ。理論的に純粋な水はH +とOH -は同じ濃度で存在しているからな。まあ、ゆっくり話していこう。まず、酸性にも塩基性にも強弱があることは知っているか?」

1年生「炭酸が弱酸性で、塩酸とかいう物質が強酸性だったはずです。」

部長 「その認識であっている。ではその強弱、なにで決まる?」

1年生「……濃度?」

部長 「素晴らしい。一応補足しておくがモル濃度だ。結局のところ、酸と塩基の強弱は反応し易いかどうかだ。H +が多ければ強酸で、少なければ弱酸。OH -が多ければ強塩基で、少なければ弱塩基。ここら辺は簡単だな。問題で補足しよう。さっき例にあげた炭酸と塩酸。酸性の強弱が逆転する、つまりは相対的に炭酸のほうが塩酸より酸性が強いことはあり得るか? 否か?」

1年生「ありえると思います。中学校で塩酸を使ったことがありますが、あれは薄い塩酸だから中学生にも扱わせてもらえたと思います。」

部長 「いい考察だな。まさしくその通り。私も中学校で使わせてもらったが、かなり濃度を下げた、配慮あるものだったのだろうな。どれ程強い酸、塩酸だろうが、硝酸だろうが、はたまた王水でも、薄め続ければ1L中の存在量は減る。存在しなければ当然弱くなるわけだ。大海の一滴に力が無いのは道理だな。」

1年生「薄める効果は単純ですけど高いですね。それにしても王水。凄い名前ですね。」

副部長「金や白金をも溶かすことから“aqua regia”王の水と名付けられたそうだね。ものとしては、濃硝酸と濃塩酸を3:1で混合した液体だよ。」

部長 「そもそも、金と白金が酸の腐食に強いと知っているかが疑問だな。」

副部長「言われてみればそうだね。それこそ白金はそもそも名前を始めて聞いた可能性すらあるね。」

部長 「で、どうなんだ?」

1年生「あまりバカにしないで下さい。おっしゃる通り、知りませんでした。」

部長 「では嬉々として話すと、金の腐食の強さは歴史の遺物を例に挙げれば分かり易いか。古墳から発掘された剣と、ピラミッドから発掘されたお面を思い出してくれ。剣は鉄、面は金でできている。写真に載っているボロボロさ加減を考えてくれ。どう贔屓目に見ても剣は剣じゃなくて腐った棒切れだろ。それに比べて面はあの輝きだ。そんな違いがでるほどに、金は他の金属に比べて腐食に強いわけだ。」

1年生「ああ、わかりやすいです。鏡は割と形はしっかりしていますけど、剣は……。残念ですよね。」

部長 「分かってくれるか。ちなみに鏡は銅鏡というくらいで、銅で出来ているらしいが、あれも金属の輝き、金属光沢は一切ないな。それに銅は錆びやすい。十円玉は大抵黒くくすんでいる。」

副部長「鉄や銅は錆びやすく、銀も意外と黒くなりやすい。それに比べて金は綺麗な光沢を保つから宝飾品としても価値があるんだろうね。」

部長 「ちなみに銀の黒は大抵の場合、酸化ではなく硫化な。空気中の酸素Oではなく硫黄Sだ。温泉に地帯では速効で黒くなるそうです。」

1年生「へ~、将来気をつけます。」

部長 「そうか頑張れ。白金も一応話すと、金の腐食強化版、プラチナ。以上で中和に話しを戻すか。」

1年生「雑!」

部長 「実はさっきの事しか私も知らん。それより中和だ。酸、塩基性だ。脱線したせいで忘れさてしまったかもしれないが、強酸でも薄めれば弱酸以下の強さになってしまうという話しをした。では、改めて質問。では強酸、弱酸ってなにで決まる?」

1年生「…え、濃度…は違う。……あれ?」

部長 「そう、強弱は濃度で変えられる。なのに、強酸も弱酸も存在する。分かってくれているみたいだからありがたいが、正直この質問ややこしいな。」

1年生「……」

部長 「…ヒント。私がややこしく質問したせいで分かり辛いだけで答えは簡単だ。」

1年生「……ん?」

副部長「降参でよさそうかな。」

1年生「はい。」

部長 「まあ、私の問題が悪かったってことで。で、まあ答えは単純で、強酸は少量で強い。弱酸は多量にないと強くない。同じモル濃度で強いか弱いか。それだけ。」

1年生「分からなかったことが悔しいくらい簡単ですね。」

部長 「次の質問で挽回してくれ。この問題に続けたい話は物質ごとになぜにそんな違いが出るのか。要は同じく1モルの水溶液でH +濃度に差が出るのかだ。てなことで、早くも挽回の機会だ。直感でどうぞ。」

1年生「え、え~と、H +を離しやすいかどうか?」

部長 「……大正解。」

1年生「え、本当ですか。」

副部長「本当だよ。素直に喜んでいいと思うよ。」

1年生「や、やった~。……。」

部長 「…これ以上怪我しないうちに、話しを続けるか。H +を離す、これは電離といって欲しかったが、これが多いか少ないかの度合が強酸と弱酸の決定的な強弱の違いだ。この度合いは電離度という。引用すると“酸や塩基のうような電解質が水に溶けたとき,溶けている電解質に対する電離した電解質の物質量の比を電離度という。”」

副部長「式は、

電離度α=電離した電解質の部室量⁄溶けている電解質全体の物質量

となるね。式にもあるように電離度はαで表すね。」

部長 「ここで聞きたいが、電解質って話したか?」

1年生「…記憶にないですね。」

部長 「では、簡単に。水に溶かすと、水が電気を通すようになる溶質を電解質。通さなければ非電解質。たぶんこれで十分。」

1年生「そういえば水は電気を通さないんですよね。」

部長 「おお、偏見に負けずよく知っているじゃないか。ひねくれて返すとゴムなんかよりはバリバリ通すけどな。結局、電気を通すか通さないかの二択じゃなくて電気伝導率の値であって……。これくらいにしとくか。手元に電気の本もないし。正直ゴムのほうが電気伝導率低いと困るし。ゴムの種類も特定してないし。」

副部長「脱線しないのはいいけど、言い訳はいつも通りだね。」

1年生「取り敢えず、単純な二極化な考えは良くない。って、ことでいいですね。」

部長 「そういうことで。副部長が電離度の式を示してくれたが、電離度αが1に近くなるほど強酸、強塩基ということになる。というより、強酸、強塩基の電離度は1と考えていい。代わりに弱酸、弱塩基は著しく値が低い。α=0.050とかな。……分かっていると思うが5.0%な。」

1年生「かなり低いですね。20倍ですか。」

部長 「そうだな。ここで面白い話がある。この電離だが、一度離れたら離れっぱなしではなく、また結びついたりする。これを電離を正反応として逆反応という。わざわざ正を電離といっただけあって。結びつく反応を正としてもいい。要は常に逆の反応も起こっているわけだ。この状態を式に書くと

CH3COOH → (H +) + (CH3COO -)

(H +) + (CH3COO -) → CH3COOH

の二つに分けて書いたバージョンと

CH3COOH ⇄ (H +) + (CH3COO -)

と、矢印をまとめて一本にして書くバージョンがある。基本はまとめた方をよく使って、二つに分ける時はその反応を詳しくみたいときだな。楽しいからまだまだ話すぞ。今みたいなどちらの向きにも進むことのできる反応を可逆反応という。で、この可逆反応は各方向に進む反応がどちらも同じ速度で起こる点に行き着く。これを化学平衡という。“反応物と生成物の量的バランス(平衡)が保たれている”とこれには載っているな。ここまで大丈夫か。」

1年生「……。」

部長 「もう少しあるから続けるぞ。電離度だが、これは化学平衡になる値であり、電離度α=0.050は電離した物質H +とCH3COO - が5%存在しCH3COOHが95%存在している状態に保たれていることを意味している。大事な事だからもう一度、保たれている、だ。そして、電離の平衡に限っては電離平衡という。さて、どこまで、または何がわかった?」

1年生「保たれている。…だけは。」

部長 「ですよね~。ちまちま崩すか。世の中、労働基準法というものがある。」

副部長「また、おかしな例えを。」

部長 「まあまあ、聞いてみてくれよ。労働基準法は経営者にとっては悪の法律であり、こんなものがあるせいで社蓄に休暇なんてものを与えないといけない。つまり365日24時間年中無休で会社を動かすには社員を多めに雇って数%をバックで休ませる交代制をとる必要がある。ここまで分かるか?」

1年生「はい、どの会社もやっている当たり前の経営ですよね。」

部長 「そうだ。ここで悪の労働基準法、世論評価、社員の社蓄度を加味し、試行錯誤した結果、5%を休ませておくのが会社のためには良いとなった。つまり、店員20人の居酒屋で毎日誰か1人が休みを取っていて、後の19人が働いている。これが最高の利益率を上げるので経営者はこのシフトで固定した。これも大丈夫か?」

1年生「ええ、まあ。」

副部長「取り敢えず、超絶ブラック会社なのはわかるね。」

部長 「化学平衡に置き換えていこう。まず労働中の社蓄がCH3COOHで、休みがH+やCH3COO -だな。正反応は労働していた社蓄が休みを取ることだな。で、逆反応が休みの社蓄が労働にまわることだな。で、この交代は常に起こっている。そうでないと会社は国から怒られるし、休んでいる奴も働けと上からどやされる。この交代が、常に起こっている反応な。後は平衡か。え~、社蓄は少しでも休みたい、経営者は少しでも働かせていたい。でも、上から怒られたくない。クビにはなりたくないから。でも、国には怒られたくない。営業取り消しにはなりたくないから。この状態の妥協点が5%の休み。これでシフトが組まれる。この組まれたシフトが平衡といったところかな。どうよ分かってくれたか?」

1年生「……結構分かってしいました。」

部長 「それはよかった。ちなみにシフトは変化もするぞ。休みが10%になることもあるだろうし、1%まで落ち込むこともあるだろう。このシフト、会社は社会情勢や人材確報等で変化するが、反応の平衡は主には温度によって変化する。電離でいえば、温度が高くなると電離は起きやすく、低いと起きにくい。電離はこんなもんでいいだろ。これ以上は楽しいけど難しい。」

1年生「楽しいんですか。」

副部長「うんざりかい。」

1年生「…少し。」

部長 「楽しいのは私だけ、と。ただ、結構大事な話だぞ。そもそも電離する奴、電離し易い、またはし難い奴はどんな物質で、どんな特徴があるのか。って、話だ。」

1年生「それは興味がありますが……。今はちょっと…。」

部長 「やめときますか。ただもう少し酸、塩基の話しは続けさせてくれ、話し忘れていた、たいしたことない話と、たいしたことある話が残っている。」

1年生「たいしたことある話も残っているんですか。」

部長 「いやはや、予告していた定義を一切話していなかった。」

1年生「ありましたね、そんな話し。」

部長 「まあ、先にたいしたことない話しをしよう。価数といって酸、塩基一分子が何個H+、OH-を含んでいて切り離すか、という話だ。一個含むものを1価の酸、塩基。例を挙げると、塩酸HClが1価の酸、水酸化ナトリウムがNaOH1価の塩基だ。2個含むものを2価。これも例をあげると、硫酸H2SO4が2価の酸、水酸化カルシウムCa(OH)2が2価の塩基。3価は…、もういいだろ。」

副部長「たいしたことないとは言ったけど、これはこの後の中和を計算するときに必要になる話だから覚えていてね。」

1年生「それって、結構重要では?」

部長 「理解するにはたいしたことない、ってことで。続けてもう一個、H+は水中で水分子H2Oと反応してH3O+とかのオキソニウムイオンとして存在する。正直、ああそうですかレベルだな。たぶん、今のところは。」

1年生「言い訳するくらいなら、言わなくていいですよ。」

副部長「ひと言多いのは、もはや癖だね。」

部長 「はいはい、そうでね。で、たいしたことある話し。引用しよう、“酸(acid)と塩基(base)の定義は時代とともに発展してきた.アレニウス(Arrhenius)による古い定義では水に溶解してH+を放出すれば酸,OH-を放出すれば塩基であった.”私もほとんどこの場合を話していた。“しかし,水溶液中の遊離H+の存在は否定され,アンモニアやアミン類は化学式だけから塩基であることがわかりにくいなどの難点がある. ブレステッド(Brønsted)とローリー(Lowry)は,「プロトン(H +)を供与する性質があれば酸,受容する性質があれば塩基」と定義した.”参考下は、“日本化学会 編,基本分析化学,朝倉書店(2004).”」

1年生「これが変遷した定義ですか。」

部長 「そうだ。そして変わった定義の特徴は“「水H2Oは酸であり,塩基でもある」ということ”だそうだ。アレニウスだけの定義では水の位置づけはどうなると思う?」

1年生「それでしたら、そもそも定義が“水中に溶解して”ですよね。酸でも塩基でもない。もっと違う役割を担っているものになる。ですかね?」

部長 「そんなところだろうな。無理やり、H +もOH- も放出するからどちらでもある。ともいえそうだが…。これだと、あまりにも強引な気がする。」

1年生「確かにそうですね。それで、ブレステッド・ローリーの定義ですか。」

部長 「そうだ。例えば塩酸HClを溶解したとしよう。反応式は

HCl + H2O → (Cl -) + (H3O +)

となり、H+を受容するから塩基になる。対してアンモニアNH3を溶解すると反応式は

NH3 + H2O → (NH4 +) + (OH -)

となり、H +を供与し、酸の性質を示す。」

1年生「これが酸であり、塩基でもある。ですね。」

部長 「そういうことだ。ついでにアンモニアの式だが、式をみれば明らかに塩基だが、分子内にOH -を持ってないから“化学式だけから塩基であるとわかりにくいなどの難点”の例にもなっている。」

副部長「それにアンモニアは水に溶解していない気体の状態でも酸と反応することがあるからね。その点でもアレニウスでは定義しにくい物質でもあるんだよ。」

1年生「定義するって、大変なんですね。」

部長 「まったくだな。昔の人に感謝して、次の話しに進もう。」


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