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2時限 物質の構成

部長 「さて次は物質の構成を話そうと思うけど…。面倒だからサクサクやる。」

1年生「面倒ですか。」

部長 「正直に言って覚えるだけだからな。ものによっては現象を先駆者たちが定義してきたことだから理論らしい事を説明するより、『そうなるから』、『そうなっていた』、としか言えない。」

副部長「原子の構成とかは話せば歴史があって長いけど、理解するには難しいからね。」

部長 「ブドウパンとかな。レーズン入りプリンやゼリーでも聞いたことあるな。電子雲でノーベル化学賞とった日本人は誰だっけ?」

副部長「たぶん長岡半太郎氏とアーネスト・ラザフォード氏の事かな。長岡氏がとったのはノーベル物理学賞で、ノーベル化学賞を日本人で初めてとったのは福井謙一氏でフロンティア電子理論だね。」

部長 「物理学賞か。偏見が過ぎるが、あの分野はどっちでもそう変わらないな。」

副部長「得意じゃないよね。」

部長 「数学も物理も好きだが、正直下手の横好きで得意ではないからな。微積分くらいから転げてる。立ち上がれない。」

1年生「えっと…。」

部長 「すまない話が飛んだな。取り敢えず今から説明する事は覚えるだけだ。」

1年生「了解です。頑張ります。」

部長 「いざとなったらその都度説明し直す。そしたら何時か覚える。」

副部長「まあそうだね。さっきの16と12にみたいにね。」

1年生「ん?」

部長 「この次に話すことだ。今は前置きが長くなりすぎた物質の構成を話そう。」

1年生「はい。」

部長 「ではほんとにサクサクと。一つ目“空気や海水などのように,2種類以上の物質が混じり合ったものを混合物という。これに対して,窒素や酸素,水,塩化ナトリウムなどのように,ただ1種類の物質からできているものを純物質という.”混合物と純物質とはが分かればよい。次、固体、液体、気体、水で言えば氷、水、蒸気。固体から液体になる温度を融点、液体から気体になる温度が沸点。小学生でも習ったはず。加えて説明しとけばいいのはそれがどんな状態かだな。適当に話すと物質を構成している小さい粒子どうしの距離が関係していて、ほとんど動けないほど近いのが液体、離れて動きやすくなったのが液体、液体よりも大きく離れてさらに動きやすくなったのが気体。適当すぎるがこんなものだろ。」

副部長「融解も凝固とかもいいのかい?」

部長 「面倒くさくなった。同じくろ過も再結晶とかも飛ばす。」

1年生「いざとなった自分で読め。ってことですか?」

部長 「よくわかっているじゃないか。これからも面倒なところは飛ばす。次は大事、“水素や酸素のように,それ以上別の成分に分けることのできない純物質を単体という。”もう一個“2種類以上の成分が,決まった割合で結びついてできている物質を化合物という。”さらに“単体や化合物を構成する基本成分を元素という。”で“元素と単体は同じ名称でよばれることが多いが,元素は物質の構成成分,単体は実際に存在する物質を意味する。”ここまではいいか?」

1年生「えっと、なんとなく。」

部長 「後で教科書を貸す。まだまだ行くぞ、今度は原子の構成。“物質はすべて原子,分子,イオンなどの非常に小さい粒子が集まってできている。”最近はこれを疑わずに理解できる中等教育前期教育が出来ていると思うが…。」

1年生「大丈夫です。とりあえずは疑いません。」

副部長「最近の教科書には走査型トンネル電子顕微鏡で写された写真も載っているからね。それに今は原子以上に進んでいるからね。素粒子とか。」

部長 「ヒモとかな。物理化学になるからやってられない。話を戻して細かく説明していく。“原子は,直径10^(-10)m程度,質量10^(-24)~10^(-22)gの粒子で電気的に中性である。”値は覚える必要なし。小さいと分かっていればよい。」

1年生「あの…。」

部長 「ん? どこが分からない?」

1年生「10のマイナス何乗って何ですか?」

部長 「数学でまだやってなかったのか。」

1年生「すいません。」

部長 「謝る事ではない。分からないことは分からない。俺もlnとか分からなかったことがある。まあそうだな、詳しくは数学で習ってもらうとして、取り敢えず10^(-1)は1/10のことで、10^(-2)で1/100というようにマイナス幾つの値が分母の数字を表している。さっきの10-24は1/100000000000000000000000000で0.000000000000000000000001。」

副部長「一応説明するとマイナスが付かない10の幾ら乗は桁が増えていく。10^(24)は1000000000000000000000000になる。日本式で言えば1じょ。兆、京、垓ときての満を持しての登場だね。」

部長 「平気でこのくらい値が大きくなったり小さくなったりするからよく使う。後で数学の本で学習し直してくれ。教えてやりたいが得意じゃない。」

1年生「わかりました。」

部長 「ではまた話を戻そう。“原子の大きさや質量は,原子の種類によって異なる。”当たり前だな。“原子は,中心にある1個の原子核と,その周りを運動する電子で構成されている。”“原子核は,正の電荷をもついくつかの陽子と,電荷をもたないいくつかの中性子からできている。”“電子は,負の電荷をもつ粒子である。電子1個のもつ電荷の絶対値は陽子と等しいが,符号が異なる。”さて、ここでは電荷の説明が面倒だな。“物質や粒子が帯びている電気量を電荷という。”とはあるが……駄目だ。取り敢えず粒子すらも電気を帯びていると飲み込んでくれ。」

副部長「電荷は確かに難しいね。ここで気付いて欲しいのは、少し前で言った原子は電気的に中性ということだね。わかるかな?」

1年生「……ヒントは。」

部長 「自分で考えようとしてくれるだけでもありがたい。電子1個のもつ電荷の絶対値は陽子と等しいが,符号が異なる。」

1年生「原子の中に陽子と電子は同じ数だけ含まれる?」

副部長「大正解。それが分かれば今は十分かな。」

部長 「よっしゃ、次に行こう。“原子核中の陽子の数は,元素の種類によってすべて異なり,これをその原子の原子番号という。例えば,水素は陽子を1個もつので原子番号は1,酸素は陽子を8個もつので原子番号は8となる。一方,原子核中の陽子と中性子の数の和を,その原子の質量数という。原子の質量は,ほとんどが陽子と中性子によるものであり,しかも陽子と中性子の質量はほぼ等しいので,原子の質量は質量数にほぼ比例する。”次で一区切り、“原子には,原子番号(陽子の数)は同じでも,質量数の異なる原子が存在するものがあり,これを互いに同位体アイソトープという。”で、何で質量が違うのかというと、中性子の含有数が違う。はあ、一気に説明して疲れた。」

副部長「さて、ここまでで質問はあるかな?」

1年生「特にはありませんが……。やっぱり全部覚えないといけませんか。」

副部長「大事だけどすぐに覚える必要は無いかもね。」

1年生「?」

部長 「当たり前のように使うし使い分けるから勝手に覚える。例えが極端だけど母国語のように。」

副部長「化学の国の言葉だね。こうやって言うと言葉の重要性が分かってくるね。」

部長 「言葉を分かってないと会話が成立しない。とても重要だが、俺たちは通訳のプロを目指しているわけではない。トラベルハンドブック、教科書を片手に会話したって問題ないと俺は思うね。」

1年生「えっと、つまりは?」

副部長「この話は授業ではないから覚えなくても良い。彼の話は無駄が多くて結論が分かりにくいよね。」

1年生「苦笑」

部長 「私は教師ではないからな。自分の説明に自信がないから教科書引用が多いんだよ。」

副部長「おかげで授業みたいだったから不安になって、覚えないといけないか聞いてくるんじゃないかな?」

1年生「ええ、正直に言って覚える気はありませんでしたけど、堅苦しかったのは確かです。」

部長 「ふ~ん、それもそうか。私も教えていても面白くなかったからな。」

1年生「? そうなんですか?」

部長 「なんだ、化学ならなんでも好きな変態野郎と思っていたのか?」

副部長「違うのかい!?」

部長 「お前が驚くのかよ…。」

副部長「いやいや、悪かったよ。で、実際のところ一年生君はどう思ったのかい?」

1年生「そこまでは思っていませんが……。」

副部長「多少は思っていたと。」

1年生「……。」

部長 「はいはい、どうせ変態ですよ。ただ、言わせてもらえば変態にも好みくらいあるに決まっているだろ。例えばいくら猫好きでも引っ掻かれるのは嫌いだろ。…特殊な嗜好があるなら別だが。」

1年生「ああ、何となく分かる例えですね。」

部長 「そうか。では分かってもらえたところで、次にいくか。」


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