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第6班

 学級委員のハセガワ君とセガワさんが、みんなの引いたくじに名前を書き込みながら集めていく。ハセガワ君とセガワさんは、二人で仕事をする時には「ハセガワセガワ」と若手芸人のコンビ名のように呼ばれる。ハセガワ君はハンドボール部で、背があまり高くはないががっちりした体格をしていてハキハキした子だ。セガワさんはいつも髪をツインテールにしている頭の良い子。二人はいつも着々と仕事をこなす。


 背中をちょいちょいと指でつつかれた。ウエダだ。

 昨日の今日なのでなんとなく身構えてしまう。体は後ろへ向けずに首だけでちょっと後ろを向く。

「何番だった?」とウエダが少し前のめりになって聞いてきた。

「…6の1」

「…」

何?なんで黙り込む?

 その後もうウエダは何も言わない。え?何?もしかして一緒とか?



 水本が教室に入って来た。

「あ、は~い。みんな来てるね。みんなくじ引いた?昨日ウエダとジュンが二人で残って作ってくれたんだよ~。みんななりたい人となれたらいいねぇ。でも誰となっても協力し合ってできるだけ楽しく過ごせるようにね。じゃあハセガワセガワは表にまとめといてね。…あれ?ウエダ?何嬉しそうな顔してんの?」

「…」急にふられて無言のウエダ。

どんな顔してるんだろう。

「ウエダ~」水本が悪ふざけするように言う。「何嬉しそうな顔してるの?」

「してねぇって!」

「してるって。ねぇ?みんな」

「も!うるせぇって!」

なんか怖い。水本が怖い。昨日ウエダに私の事送れって言った事とかみんなの前で言ったりしないよね?

 あ、水本の目がウエダから私に移った。ふふっと水本が笑う。

 あ、止めて先生!

 でも水本は目配せしただけで止めた。

 嫌だなぁ。…でもすごく嫌いにはなれない感じのうちの担任。



 ハセガワセガワは仕事が速いので2時間目終わりの休みには綺麗に表が仕上がって、水本が確認して、それをもう教室の後ろの掲示板に張っていた。

 わらわらと見に行くクラスメートたち。

 私は視力がいいので自分の席から振り返ると表を見る事が出来た。

 あ、…



 私は6の1だったから第6班。

 6班の女子は私とイケダさんとカリヤさんだ。

 カリヤさん!

 男子はウエダとクラス委員のハセガワ君と、そしてタケノシタ君。

 タケノシタ君!…ていうかウエダ!ていうかカリヤさんとウエダ! 

 

 良かったじゃんカリヤさん、くじにしようってみんなの前で提案したかいがあったよね~。これで私が同じ班じゃなかったら、カリヤさんの頑張りっぷりを「お~~」とか「あちゃ~~」とか「ふぇ~~」とか、傍観者として楽しめるって言ったら言葉は悪いけど、見ていられるのに残念だ。今だってパッと小鹿のようにウエダのとこへやって来て「一緒だね!」って小首をかしげて満面の笑みだ。

 でもあろう事か、マジあろう事かウエダは、ちっ、と舌打ちした。

 もう1回くじやりなおさないかな…



「ジュンちゃん」

へ?と思う。私を今可愛い声で呼んだのがカリヤさんだったからだ。

「一緒の班だね?」

カリヤさんはそう言って、ウエダにくれたような笑顔を私にも見せた。

「あ、…うん。そうだね…」

答えがしりすぼみになってしまう。

 どうしよう…まだあんまり喋った事ないのに、しかもこの間ウエダとの事見ちゃった後だから、受け答えに困ってしまう。

 が、そこで隣の席のイケダさんが「すごいよね?すごくない私たち!」と言って話に入ってきてくれた。


 「名前順でも席順でも同じだなって思ってたのに、くじでも一緒とか超すごくない?」

「うん。ほんとだね!」

超すごいよ、ウエダもだけどね。

 イケダさんは良い子なのでもちろんウエダにも言う。「ウエダ君もだよね。なんかここの席」

イケダさんはそう言いながら指で私たち3人をぐるっと指した。「すっごい偶然って感じ」

 超偶然の3人に入っていないカリヤさんがニッコリ笑って言った。

「私も一緒なの!イケダさんも仲良くしてね?」

へ?という顔をするイケダさん。が、すぐにニコッと笑って「うん」と言った。


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