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07 第六話 約束は守った

次回に時風、河内信矢の設定を書きます

大和

「駆逐艦に菊の紋章・・・君はどういった目的で作られたんだ」?


時風が眠っていた部屋に戻って話す大和と時風


時風

「さっき言ったでしょう、実験艦として私は作られたんです」


大和

「16文菊を掲げられるのは主力艦とか大型の艦艇だけの筈だ、駆逐艦に16文菊を掲げるってのは余程大事な任務を持った艦艇って事だ」


時風

「そんな事を私に言われても分かりませんよ・・・」


時風が顔をムッとさして言った


大和

「それと聞きたい事がまだある」


時風

「なんですか」?


大和

「ここにある骸骨の山は何だ?この駆逐艦の中やこの下の海底に骸骨が沢山あったぞ」


大和が聞くと、時風は大和に背を向けて答えた、一瞬しか見えなかったが、時風は悲しそうな顔をしていた


時風

「・・・さっき話した通り、ここは極秘の研究施設として使われてました、色々な兵器の開発や生物兵器の実験などが行なわれました・・・ですが、我が大日本帝国が米国や英国などのポツダム宣言を受け入れて無条件降伏をすると決まった時に起きました」


大和

「・・・何が起ったんだい」?


時風

「・・・陸軍大佐りくぐんだいさの細川法隆と言う人が、ここで実験を行なっていた研究員や海軍の技術士官などを虐殺したんです」!


時風は自分の手を強く握り締めて言った


時風

「ここの重要性は分かってました・・・けどその法隆と言う男は戦後の処理でここが米軍にばれて自分が裁判で不利になるのを恐れてここの存在を消す事にしたんです・・・私の目の前で何人もの人が軽機関銃で蜂巣にされて・・・私にも流れ弾が当たって傷が残っているんです」


そう言って時風は腕の裾をたくし上げた、腕は包帯でぐるぐる巻きになっていた


艦魂は本体である艦に被害が無ければ死ぬ事は無い、艦魂自身が怪我をしても早く治るが痛みなどは感じ、深い傷だと長い間気絶する事がある、本体が損傷すると艦魂も怪我をし、沈没などは艦魂の死を表しているのである


大和

「・・・・・・・・・」


大和は言葉が出なかった、こんな少女が長い間一人で傷が癒えないまま、一人ぼっちでいたと思うと胸が張り裂けそうな気持ちになっていた、大和も親や兄妹が居ないので時風の辛い気持ちは十分理解していた


時風

「・・・大東亜戦争から何年経ったのか分かりませんが、私はずっとこの地下ドックの中で一人、誰かが見つけてくれるのを待っていたんです・・・そして、貴方が来てくれました」


そう言って時風が大和の方に向いた、その目は少し涙が溜まっていた


時風

「一人ぼっちはもう・・・嫌なんです・・・」


大和

「っ」!?


そう言って時風が大和の手を掴んだ、すると大和は頭の中あの夢の事を思い出した


菊雄

「必ず君を見つけるよ・・・『時風』」


夢の中で菊雄大尉と呼ばれる青年と、青年の近くにいたは時風、その事を思っていると突然・・・


大和

「・・・と・・・きかぜ・・・」


時風

「はい」?


大和

「・・・と・・・時風・・・ようやく、君を向かえに来たよ・・・」


時風

「っ」!?


大和は自分で何を言っているか分からなかった、勝手に口が喋っているのだ、意識を誰かに操られている様な気分だった


時風

「き、菊雄大尉?・・・菊雄大尉ですか」?


大和(菊雄)

「そうだ、君の知っている矢野菊雄だよ、俺の来世はちゃんとあったようだな・・・だけどそう長い事居られない・・・昔の記憶はもう無いも同然なんだ、僕の来世ではこの青年、矢野大和として生きて行くんだ」


大和は頭の中で何が起っているか分からなかった、勝手に自分の口が時風に向かって喋っている、


時風

「そんな・・・せっかく会えたのに・・・長い間ずっと待ってたのに・・・」


大和(菊雄)

「時風・・・今の僕は矢野大和だ・・・もう矢野菊雄では無いんだよ、僕はこの通り矢野大和として生きている・・・時風、君に預けた物を返してくれないか?・・・大和となってもちゃんと使うよ・・・大和君、君の体を借りてすまないね・・・そろそろ退散するよ、時風を頼んだぞ」


時風

「待ってください!菊雄大尉」!!!


そう言って大和の意識は自分に戻った


大和

「っ!?・・・お、俺は・・・」


時風

「菊雄大尉・・・」


時風は涙を流していた、床に膝をついて顔を手で覆って泣いていた


大和

「時風、菊雄大尉に貴女を頼んだと任されました・・・これからは一人ぼっちではありませんよ、僕が付いています」


時風

「きく・・・大和さん・・・」


大和

「僕もこの17年間、親に会った事が無いんだ・・・67年間会えなかった君の比じゃないけど・・・会えなかった寂しさはよく分かるよ・・・これからは僕が君と一緒にいるよ・・・菊雄大尉じゃないけど・・・君を悲しませる事はしないよ、時風」


大和の言葉が時風を包み込んだ


時風

「大和さん・・・大和さぁん・・・うわあああああああああああああああああああん」!!!!!!


そう言って時風は大和に抱き着いて思いっきり泣いた、大きな声で思いっきり泣いた


大和

「・・・(菊雄大尉・・・貴方の意思は僕が受け継ぎますので、安心して眠っててください)」


大和は心の中でそう思い、時風を抱きしめた、時風はしばらくの間ずっと泣いていた、大きな声で泣いていた・・・


大和

「大丈夫・・・大丈夫だからね?時風・・・これからはずっと一緒だよ・・・僕じゃ菊雄大尉には役不足だけど・・・これからはよろしくな」


時風

「ヒッグッ・・・はい・・・これからはよろしくです・・・大和さん・・・一人ぼっちにしたら・・・許しませんよ」


まだ泣きながら、時風がそう言った


大和

「大丈夫、もう君を一人ぼっちにしないよ、時風・・・」


今日、この地下ドックで青年と艦魂の友情が結ばれた・・・それは、この青年と艦魂の少女の運命の歯車が回り始めたのだった・・・


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