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1、終わりと始まり

説明不足のため修正しました

魔王が倒され、世界が平和を取り戻す

しかし、突如魔王の居ない世界に勇者があらわれる

当然、勇者を所有する国はその理不尽なまでの力を使い拮抗していた世界のバランスを崩壊させる



"超大国ガルディゼート"王城内部


「おい!そっちに行ったぞ!」


シルバーの鎧を身に纏った兵士達が走って廊下を曲がって行く


先程まで兵士がいた廊下の壁が歪み仮面をつけた男が正体を現す


「はぁ、危ないところだった」


しかし、彼から焦りは感じとれない


その後、仮面をつけた男は城内を迷うことなく走って行く


壁を曲がった先、緊急事態に備えて用意されていたであろう結界を魔力の纏ったナイフで切り裂く

そして最後に鉄の扉を蹴り破るが、あまりに頑丈だったため壁の一部が扉と共に飛んで行ってしまう

砂埃から現れた男はそこで初めて感情の揺さぶりをみせた


研究室の真ん中、そこには青にも緑にも輝く小さな結晶が列を成して何色にも見える球体の周りを廻っている、それはまるでこの大地が一つの生命体であることを誇示しているようだった。


「これが、アースコア」


息を飲む


男は近づきアースコアの前に立つ


ガルディゼートの国王はその傲慢さから地球すらも手中に収めようとした。研究者はそんな王の命令に頭を悩ませていた。そんな時、一つの知らせが届いた。エルフの森にはこの地球の核が祀られていると

それを聞いた研究者は軍を集めエルフの森へと赴いた。当然、エルフ達はその提案を拒んだ。怒った王はエルフの森を燃やし、虐殺を行った。


しかし、王の傲慢さを表すそれはあまりにも綺麗で見るものを魅了する


男の手がアースコアに伸びる

瞬間、先ほどまで小魚の群れのように廻っていた結晶が纏まりアースコアと手の間に壁を作る


「なんという力…」


男は歪んだ空間に手を入れ魔法陣が描かれた大小二つの紙を取り出した。一つの巨大な紙は床に広げその上には小さな紙を広げた


ドタドタドタ


「こっちだ!こっちにいるぞ!!」


「チッ、気づかれたか」


小さな紙に手をかざすと魔法陣が光り、骨が浮き出て死んでいるブロンド髪の女性が出てくる

そして、男は手のひらを切り大きな紙に手をかざす、書かれた文字が赤く光り眩しく辺りを包む

バチッ

光が消える


辺りに静寂が満ちる


「なぜだ!?」


「魔法式は合っているはずだ!」


その時男の脳裏に嫌な予感が走る


もしや、、


「この世界の4分の1じゃ足りないというのか!?古代書にはそう書いてあったはずだ!」


男は急ぎ歪みから大きな紙を取り出し魔法陣を描く


「いたぞ!あいつだ!」


先陣を切った兵士が男に向かって剣を構えて迫ってくる


「死ねーー!!」


上から振り下ろす形で男の頭目掛けて振り下ろされる。


ガシッ


「ッ!?」


男は魔法陣を描いていない方の手で向かいくる刃の中間を握る

バキッ

刃が折れた兵士は後ろに跳び、折れた剣を呆然と見つめる


男の手と刃の隙間からポタポタと血が落ちる


恐怖に怯える兵士とは対照的に男は不敵に笑う


「ありがとよ、これで完成だ」


男は血のついた掌を紙に描いた魔法陣の真ん中目掛けて叩きつける


再度魔法陣が赤く光る。そして魔法陣から黒い手のようなものが出ていき、失敗した魔法陣の上に乗せてあった女性を飲み込む


その禍々しい魔力を放つ黒い手に、男は思わず足がすくんでしまう


息を吸い込み、吐く

男は声を大にして言う


「欲しいだけだ!欲しいだけくれてやる!!」


「神でも悪魔でもいい!妻を救え!!!」


続いて黒い手はアースコアへと伸びる

その手から守ろうとアースコアの結晶が壁となる。手が結晶に触れた瞬間結晶は黒く蝕まれ床に力無く落ちていく、邪魔な結晶が無くなった黒い手はアースコアに触れようとする。


ゴゴゴゴゴゴッ


アースコアが抵抗するかのように王国全体を揺らす


天井から破片が落ちる、それでも男は魔法陣に手を置き続ける


手はアースコアに触れ、蝕んでいく


その間、兵士達が続々と集まってくる、


「何をしている?その男を止めろ!」

「ハッ!」


あまりの光景に我を忘れていた兵士が剣を捨て、懐から短剣を取り出し切り掛かる


その刹那、男から黒い光が周囲へ飛散する


「グハッ」

「ウグッ」

「どうなってる!?」


団長と思われる男以外が耐えられず倒れる


「気絶してるだと!?」


団長はかろうじて耐えたもののその場に倒れ込む


「すまんがお前の兵には少し眠ってもらう」


アースコアが半分ほど黒く蝕まれ侵食はピタリと止まった

黒い手は満足でもしたかのように手を離す


男の仮面からは諦めと全てに対する落胆の感情が滲み出ている


男は黒く包まれた女性に向かって言う


「もう、この世界にいたくないんだ、ごめん」 


彼女はきっと怒るだろうな、まあ当然か

勝手に生き返らせて当の本人はもう居なくなってるんだから


「一緒に暮らせればどれほどよかっただろうか」


でも、世界が許してくれるはずもないし運命を捻じ曲げるなんて主人公染みた真似をする気もない


ただ、まあせめて最後に彼女を抱きしめたかった。

温もりを感じたかった、笑い合いたかった。

だが、俺にそんな権利は無い。


「俺のことは忘れてくれ」


最後に最愛の女性を悲哀に満ちた目で見つめる


なんでこうなったんだろうな

もしこれが運命だとしたら最初から結末は決まっていてこれがその結末なんだろうか

あまりに理不尽だ、神とやらがいると信じてやまない愚か者に向かって突きつけてやりたい程に


まあ、そんな苦悩もこれで終わり



「愛してる」



魔法陣に手をかかていた男は魂でも抜かれたかのように力無く前に倒れ込む

その際、仮面が外れ白い髪と既に生気を失った赤眼が露出する


倒れた男は黒い手に取り込まれる

その手はさらに奥の気絶している兵士へと手を伸ばす


「俺の兵に触れるな!!」


剣を抜き黒い手を切る、いや、切ったはずだった

次の瞬間切ったはずの手が団長の首を掴む

「、クソッ!!」

痛みに顔をしかめる

だが、抵抗も虚しく体から力が抜ける


そして、黒く包まれていった


ーーーー


謎の男によるアースコアを使った魔法の展開。

国内では、城の警備の甘さに対する批判や男の正体を突き止めることに躍起になることだろう

いや、なるはずだった





世界最強と謳われた超大国ガルディゼートは


突如として、終焉を迎える





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


厄災から15年


ここ、テラスタル魔法学園には春が訪れる


桜が風の流れをなぞり、来るものを祝福するかの様に道を彩る。


そこを1人の少年、マステート・ガルティネスは新品の制服に身を包み、祝福の桜に飾られながら優雅な足取りで並木道を歩く


赤い目で散りゆく桜を見つめながら


1人の少年は胸を躍らせるのだった

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