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たどり着きたい星

作者: ばーでーん
掲載日:2026/07/24




今夜はデートだ

夜空を見上げて恋人が言う


「星がとても綺麗に輝いているわね」

アカデミアの天才なら、こんな甘い返事ができたのに


「そうだね。でも、どうして星が光っているのかを 今この世界で知っているのは、僕一人だけなんだよ」


そんな奇跡のような夜を、

羨ましいとさえ思った



今日は金曜の夜だ

ラボのモニターを消して家路を急ぐ


「シュレーディンガーの猫は、もうすぐ片付く」

企業の研究員だって、この基礎科学の深淵を愛している

「まさか。でも、どうして量子が確定的でありながら 観測者には不確定に映るのか、その理由の入り口にいるのは 今この世界で、僕一人だけなんだ」


もう一歩で、あの歴史的な夜の背中に

手が届く


あの日、彼が見上げた星に


今、僕の解く数式が、まっすぐにたどり着こうとしている


シュレーディンガーの猫はもはや僕には当たり前だ



お読みいただきありがとうございます。

*1: 夜空の星が光って見えるのは、星の中心で起きている「核融合」という反応でエネルギーが生まれ、そのエネルギーが光として宇宙空間に放たれているからです。

核物理学者フリッツ・ハウテルマンスとロバート・アトキンソンによりつきとめられました。詩の最初の甘いエピソードはハウテルマンスのものとされています。


*2: シュレーディンガーの猫は、ただいま解決中です。予定です。できたらいいな、、



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― 新着の感想 ―
冒頭の一節、エピソードからきているのですね。とても印象的なはじまりでした。 シュレーディンガーの猫を、解決中…凄いです。前半と後半の対比が華麗で、タイトルも素敵です。読ませていただき、ありがとうござ…
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