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隠された最強の物語  作者: 沼口ちるの
本編

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10/15

第九話:物置のディスコと、能力が作る「愛の告白空間」

物置脱出作戦と、制御不能なBGM

物置の中は、八人分の熱気と、イルミネーションの光、そしてオルゴールの「愛の夢」で満たされていた。


「神代くん、本当に狭いね。私、神代くんの背中に触れてるよ」和泉が耳元で囁く。


「悠真兄、動かないでね。私、この密着、嫌いじゃないから」莉子がさらに抱きついてくる。


「神代。この状況を早く解除しろ。能力の出力が天井を突き破りそうだ」佐倉が冷静に警告する。


僕は腹を決めた。もう凡人としての脱出は無理だ。


目的: 全員を物置から、不自然ではない方法で、瞬時に外へ出す。


操作: 家の周辺で、「今すぐ誰かが、非常に魅力的なイベントを始め、全員の興味をそちらに向ける」確率を一〇〇パーセントにする。


僕はテレポートではなく、あくまで「興味を逸らす」という、マイルドな因果律操作を選択した。


しかし、僕の能力は、僕が望む「平凡な興味」ではなく、「ハーレムイベント」を創造する。


『ウッ、ウンツク、ウンツク、テケテケテケッ!』


突然、物置の外から、ノリノリのディスコミュージックが大音量で鳴り響いた。そして、物置の扉が、自動ドアのように、スムーズに横にスライドして開いた。


外のリビングは、僕の能力によって瞬時にディスコフロアへと変貌していた。ミラーボールが回り、レーザー光線が壁を走り、そして、家の母が、アフロヘアのカツラを被り、ノリノリでステップを踏んでいた。


「あら、みんな! 狭い物置から出てきて、ダンスパーティーよ!」母が叫ぶ。


リビングには、まだ来ていなかった百人近いヒロインたちが、すでに集まって、ノリノリで踊り始めていた。


「すごい! 神代くんの家でディスコパーティーが始まった!」和泉が目を輝かせる。


「このBGM、最高です! 神代先輩!」佐藤が歓声を上げる。


僕の因果律操作は、「ヒロインを集めるためのディスコ」という、最悪のイベントを作り出してしまったのだ。


キャプテンの告白と、時を止める能力

僕たちはリビングに押し出された。ヒロインの波にのまれ、僕は中央のディスコフロアへ。


「神代! この機を逃すな! 今、この状況で凡人らしく振る舞えば、能力の出力をリセットできる!」佐倉がディスコの隅で叫んでいる。


だが、ディスコフロアの中心で、バレー部キャプテンが僕の前に仁王立ちした。


「神代! マスコット契約の前に、私から伝えることがある!」


キャプテンは僕の顔を両手で掴んだ。


「神代! 私はあなたを、部活のマスコットとしてだけでなく、私自身のマスコットとして、生涯大切にしたい!」


ディスコミュージックがピタリと止まった。僕の能力が、**「人生で最も重要な告白の瞬間」**のために、空間の音を消したのだ。


バレー部のキャプテンの真剣な告白。周りの百人以上のヒロインが、息を飲んで僕たちを見つめている。


(これ以上、能力を暴走させたら、この告白が「世界中の人々が視聴する生放送」になってしまう!)


僕は、能力を「時を止める」ことに使った。しかし、僕の能力は、「僕と、告白しているヒロイン、そして僕を最も近くで見ているヒロインの感情の熱量が高い部分だけ」を止めた。


周囲のヒロイン、そして母や佐倉は、スローモーションで動いている。だが、僕、バレー部キャプテン、そして、僕の背後で僕にしがみついている莉子、さらに僕の隣でキャプテンの告白に耳を澄ませていた和泉の意識は、完全に停止していなかった。


「えっ? 時が止まった……の?」和泉が囁く。


「時が止まっても、悠真兄は私のものだよ」莉子が僕の耳元で囁く。


バレー部キャプテンは、僕の顔を掴んだまま、口を開きかけた。


「神代、私は……」


運命が繋ぐキスと、時空の歪み

このままキャプテンの告白を聞けば、僕の能力が暴走し、彼女との運命が**「世界を巻き込む恋愛バトル」**になってしまう。


僕は、「時が止まっているという、ありえない状況」を「凡人にとってのロマンチックな状況」として利用した。


目的: この場にいる全員の注意を、キャプテンの告白から逸らす。


操作: 僕がキャプテンの告白を止め、別のヒロインとの、より親密な行動をとる確率を一〇〇パーセントにする。


僕は、キャプテンの顔を優しく押し返し、隣にいた和泉咲の顔を、ありえない速度で、自分の顔に引き寄せた。


そして、ディスコの光とスローモーションのヒロインたちが見つめる中、僕は和泉にキスをした。


『フワァアアア……』


僕の唇が和泉の唇に触れた瞬間、僕たちの周囲から、巨大なピンク色の光のオーラが噴出した。


時空が大きく歪み、僕たちの周りの空間だけが、元の静かなリビングに戻った。


スローモーションだったヒロインたち、ディスコミュージック、母のアフロカツラ、全てが元の位置に戻り、何事もなかったかのように動き始めた。


僕と和泉は、抱き合ったまま、静かなリビングの床に倒れていた。


「あ……ら? 今、私、何を……」和泉は顔を赤らめ、混乱している。


バレー部キャプテンは、キスをする直前の僕の動きを認識できず、僕が急に床に倒れたことに驚いていた。


「え? 神代? なんで急に倒れたの? 私はまだ告白を……」


僕の能力は、「究極のいちゃいちゃ」をトリガーにして「時空そのものをリセット」するという、さらにハチャメチャな領域へと進化してしまった。


ただし、僕と和泉の記憶だけは、キスをした事実を保持している。


「神代くん! 大丈夫?」和泉は、僕の額に手を当てた。その瞳は、秘密を共有した者同士の、熱い光を帯びていた。


そして、僕の背後から、莉子の冷たい声が響いた。


「悠真兄……今の、未来のお兄ちゃんとのキスの訓練?」


僕の義妹は、まだ僕の行動を「未来の自分に嫉妬している兄の愛情表現」だと信じ込んでいる。

神代悠真です。僕は今、人生で最もカオスな瞬間を迎えています。


物置がディスコになり、百人以上のヒロインが集まり、時が止まり、そして和泉とキスをして、時空をリセットした。


僕の能力は、もう完全に『ハチャメチャなハーレム展開創造マシーン』です。


和泉の記憶にはキスが残っている。莉子には「未来の兄とのキス練習」だと誤解されている。バレー部キャプテンは、まだ告白の途中で放置されている。


そして、佐倉は、キスをした瞬間、僕たちの周囲で起きた時空の歪みを、記録し損ねたと、悔しそうに唸っています。


次は、僕と和泉の「秘密のキス」が、僕たちの関係をどう変えていくのか。そして、僕の能力は、どんな究極のハチャメチャを巻き起こすのか。予測不能ですが、僕はもう、逃げません。


神代悠真

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