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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第22話 ダリオの遺書

 ――あれから、数日が経った。


 炎帝ダリオの葬火が消え、戦いのあった街には静寂だけが残った。

 瓦礫の山は灰に沈み、風が吹くたび、空へ細い砂の尾を描いていく。

 かつての喧騒は消え、今はただ、祈りと再建の音が響くだけだ。


 俺たちは残った人々を助けながら、瓦礫を片付けていた。

 ミルとゼルフィアが避難民の治療を行い、リアは祈りの炎を灯している。

 イグニスは街を見守るように、崩れた塔の上から空を見上げていた。


 少しずつ、けれど確かに、世界が息を吹き返している――そんな気がした。


 そのとき、リアが小さく声を上げた。


「……レオン、これを。」


 彼女が立っていたのは、かつて炎帝が倒れた場所。

 黒く焦げた灰の山の中、何かが光っていた。

 俺とイグニスは駆け寄り、リアが手を伸ばしてそれを掘り出す。


 それは、半ば焼けただれた金属の箱だった。

 装飾も取っ手もなく、ただ中央にひとつ、赤い印章が刻まれている。


「これは……ダリオの紋章?」

「間違いない。」

 イグニスが頷く。

「奴が最後に触れていた炎の符号だ。」


 リアがそっと手をかざし、祈りの炎を灯す。

 印章が淡く光り、封印が音もなくほどけていった。


 中には――焦げた古文書が一枚。

 半分以上が焼け落ちていたが、わずかに残った文字が光を帯びていた。


 『我が罪は、世界の中心精霊核を汚したことに始まる』


 リアが息を呑む。

 「……精霊核……?」


 ゼルフィアが眉をひそめた。

 「聞いたこともない言葉だな。」


 ミルが首をかしげる。

 「核って……精霊たちの源みたいなもの?」


 イグニスが重々しく口を開く。

 「精霊核とは、この世界の中心に存在する理そのものだ。炎も、風も、雷も、すべてはそこから流れ出ている。精霊はその断片。つまり――精霊とは、この世界そのもの。」


 静寂が落ちた。

 胸の奥で、何かが弾けたような気がした。


 「……この世界が、精霊でできている……?」


 呟いた俺の声は、風に消えた。


 リアが古文書をそっと裏返す。

 焼け焦げた裏面に、かすかに文字が残っていた。

 レオンは魔力を流し込む。

 すると、淡い光が文字をなぞるように浮かび上がった。


『もしこの手紙を読む者がいるなら――精霊との契約は、世界と繋がる儀式だと知れ。この炎は、ただの力ではない。我らの罪は、世界の理を壊し始めている。』


 言葉を失った。

 この世界を壊し始めている――それが、俺たち人間なのか。


 「……世界と、繋がる……?」

 俺が呟くと、リアは静かに頷いた。


 「世界の理が歪み始めている。それを正すには、もう一度――契約を結ぶ必要があるのかもしれません。」


 契約。

 俺の胸の奥で、炎紋がかすかに脈打った。


 その夜、俺は焚き火の前に座り、古文書をじっと見つめていた。

 炎の揺らめきが、焼け焦げた紙片の影を揺らす。


 イグニスの言葉が思い出される。

 ――炎は、破壊でもあり、再生でもある。


 もし精霊核が世界の炎なら、俺たちはそれを壊した。

 けれど、壊したものは――再び灯せるはずだ。


 「……精霊は、この世界そのもの……。じゃあ俺たちは、世界と共に生きてるんだな。」


 ミルが隣に腰を下ろし、微笑んだ。

 「なら、ダリオさんの炎も無駄じゃなかったってことだね。」

 「……ああ。きっと、あの人は最初から分かってたんだ。」


 焚き火がパチリと音を立てる。

 金色の火の粉が、夜空へ舞い上がった。


 リアがゆっくりと歩み寄り、文書を抱きしめるように持ち上げた。

 「レオン。この書には、まだ一つ言葉が刻まれていました。」


 俺が顔を上げると、リアは淡く光る魔法陣を浮かべて文字を再構成する。

 そこに現れた最後の一行は――


『精霊核は、北方の氷の心臓に眠る』


 「氷の心臓……?」

 ゼルフィアが息をのむ。

 「まさか、北方……氷の王国のことか!」


 イグニスが低くうなずく。

 「炎と氷は、古の契約で対となる存在。もし氷が眠り続けているなら、そこに“歪み”がある。」


 リアの瞳が真剣に光る。

 「おそらく、精霊核の一端がそこに封じられています。」


 俺は立ち上がった。

 胸の《永久契約の炎紋エターナル・シグル》が、微かに熱を放つ。

 新しい鼓動が胸を叩く。


 「……なら、行くしかない。」

 「え?」

 とミルが振り返る。


 俺は空を見上げた。

 夜の向こうに、北の星が静かに瞬いている。

 「この世界の歪みを正す。それが俺たちの次の旅だ。――氷の王国へ。」


 風が吹く。

 灰の大地が舞い、金色の光が空に散る。

 まるで、ダリオが笑っているようだった。

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