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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第18話 最終決戦(後半)

 ――燃え尽きた街に、風が吹いていた。

 熱気だけが残り、灰が空に舞う。

 あの紅蓮の嵐がようやく収まって、ようやく俺は、息を吐いた。


 けれど――戦いは、まだ終わっていない。


 膝をついた炎帝ダリオが、ゆっくりと立ち上がる。

 その身体はひび割れた鎧に覆われ、燃えるような魔力をまだ放ち続けていた。

 俺たちの攻撃を受けてなお、立ち上がるその姿に、息を呑む。


「……すげぇな、ダリオ……」

 イグニスが低く唸る。

 隣でミルが肩で息をしていた。

「もう……無理だよ、あの人……それでも……」


 それでも立ち上がる。

 それが、俺たちの知っている“ダリオ”だった。


 俺は杖を構える。

「……まだ、終わらせない。お前が戻ってくるまで、俺は止まらない。」


 ダリオが呻いた。

「……俺は……何を……」


 炎の仮面がひび割れ、そこから覗いた瞳に――一瞬だけ、光が戻った。


「……ダリオ?」


 俺が名を呼ぶと、彼の身体が震えた。

 次の瞬間、全身から黒炎が噴き出す。

 暴走が再び始まった。


「離れろッ! 俺に近づくなァァァァッ!!!」


 自分の中の何かを抑えようと、彼は苦痛に歪む顔で叫ぶ。

 それでも、ほんの一瞬、俺を見たその瞳には――確かに人の心が宿っていた。


 「……お前、そんな顔、するんじゃねぇよ……」


 その声に、心が揺れた。

 ああ……やっぱり、あんたはまだ、そこにいるんだ。


「……なら、一緒に終わらせよう。」

 そう呟いた俺の言葉に、ミルが悲鳴のように叫ぶ。

「ダメだよ! そんなの――!」

 イグニスが静かに首を振る。

「……いいんだ、ミル。こいつ、覚悟してる。」

 ゼルフィアも雷刃を収め、目を閉じる。

「最後まで、見届けよう。」


 仲間たちの声が、背中を押してくれた。


 空が紅く裂けた。

 炎雲が渦を巻き、俺とダリオを包み込む。

 大地が焦げ、空気が爆ぜる。

 もはやここは戦場なんかじゃない。

 ――魂と魂の、最期の契約の場だった。


「これが……俺たちの、最後の契約だ!」

「来い、レオン……お前になら、燃やされてもいい!!!」


 咆哮がぶつかり、世界が軋む。


 俺は杖を掲げ、三精霊の力を同調させる。

 イグニスの炎、ゼルフィアの雷、ミルの風――全てを一点に集めた。


 光が世界を染める。

 視界の全てが紅蓮に溶けていく。


「イグニス!」

「行くぜ! 全出力――!」


 俺たちは同時に叫んだ。


「《紅蓮終焉クリムゾン・エンド》!!!」


 瞬間、時間が止まったように感じた。

 光も音も消え、ただ熱と痛みだけが残る。


 そして――爆発的な衝撃。


 紅蓮の炎が空を貫き、黒い影が崩れ落ちる。

 世界が白く染まり、やがて静寂が戻った。


 煙の中に、ダリオの姿があった。

 胸を貫かれたまま、彼は笑っていた。


「……あぁ、やっと……冷めたな……」

「バカ野郎……最後まで……お前らしいぜ……」


 その言葉に、胸が締めつけられる。

 喉が熱くて、声が出なかった。


「……ありがとう。帰ってこい、ダリオ。」


 だが、彼はもう答えなかった。

 炎の龍が空へ昇り、ゆっくりと霧散していく。


 静かだった。

 燃え尽きた街に、風だけが吹いていた。


 イグニスが腕を組んで呟く。

「……消えたな。だが、悪くねぇ終わりだ。」

 ミルが涙を拭い、ゼルフィアが小さく頷く。


 俺は拳を握りしめながら、かすかに笑った。

「……ああ。最後に、救えたんだ。」


 空を覆っていた炎雲が晴れ、

 夜明けの光が、静かに街を照らす。


 俺たちの戦いは――本当に、終わったのだ。

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