第17話 最終決戦(前半)
――街が、燃えていた。
炎の海。溶けた石畳。崩れ落ちる塔。
どこまでも赤く、空気が焦げている。
炎帝モードのダリオが、その中心に立っていた。
かつて仲間だった男の背後で、炎が龍の形を成している。
その紅蓮の龍が、世界を焼き尽くすように咆哮した。
「……まさか、ここまでの力を……」
思わず息を呑む。
理屈じゃない。あれはもう“人”の魔力じゃなかった。
「レオン!」
瓦礫の上からミルの声が飛んできた。
「避難は完了! もう全力で行って!」
「ああ!」
これ以上、誰も巻き込ませるわけにはいかない。
俺は杖を握り締め、地面に魔法陣を展開した。
金色の光が走り、風がうねり、空が鳴る。
「精霊契約――全開放!」
眩い光の中から、三つの気配が現れた。
炎の精霊・イグニス。
雷の精霊・ゼルフィア。
そして風の精霊・ミル。
俺の背中に並び立つ、最強の仲間たちだ。
「やっと出番だな!」
イグニスが紅蓮の翼を広げる。
「派手に行くぜ、相棒!」
「ダリオを止める……私たちで!」
ゼルフィアの声が鋭く響く。
「もう誰も、燃やさせない!」
ミルが結界を張り、風が舞った。
「行くぞ――《契約連鎖》!」
三属性の魔力が交わり、俺たちの体を包み込む。
大気が震え、地が唸る。
目の前で、ダリオが腕を振り下ろした。
「止まるかよぉぉぉッ!!!」
炎の龍が唸りを上げ、街を飲み込む。
爆音。爆炎。衝撃波。
熱で視界が揺らぐ。
「《スピリット・シェル》!」
ミルの結界が炎を押し返した。
「《レイ・ディバイド》!」
ゼルフィアの雷刃が、炎の鱗を断ち割る。
そしてイグニスが前に出る。
「炎帝だろうが関係ねぇ! オレの炎で――上書きしてやるッ!」
紅蓮の槍が、炎帝の胸を貫いた。
だが――炎は止まらない。むしろ、さらに荒れ狂う。
「まだだ……まだ終わらねえ!!!」
ダリオが叫ぶ。炎が全身から噴き上がり、龍が再び形を成した。
俺たちは吹き飛ばされ、地面を転がる。
熱風が肌を焼き、呼吸がまともにできない。
「きゃあっ!」
ミルの悲鳴。彼女が崩れた瓦礫に叩きつけられる。
「ミル!」俺は咄嗟に風の壁を張って包み込む。
その向こうで、ダリオの瞳が真紅に燃えていた。
「ダリオッ! お前はそんな奴じゃない!」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」
炎が爆ぜ、耳が焼ける。
それでも――俺は叫ぶ。
「聞けよ、ダリオ! お前が守りたかったのは……この街だろ!」
その瞬間、ミルの声が重なった。
「お願い、帰ってきてよ! もう誰も、傷つけたくないんでしょ!?」
その声に、炎の流れが――一瞬、止まった。
……今だ!
「《極限共鳴》!!」
俺は全魔力を解放する。
天に三重の魔法陣が展開され、雷雲が裂ける。
炎、雷、風――三つの属性が一つに融合し、巨大な光柱を生み出す。
「これで――決めるッ!」
「《オーバーフォース・トライアド》!!!」
光の槍がダリオを貫き、轟音が街を包む。
衝撃波で瓦礫が吹き飛び、紅蓮の空が白に染まった。
――そして。
炎の中で、ダリオの動きが止まる。
膝をつき、肩で息をしながら、かすかに顔を上げた。
「……レ、オン……?」
その声は、確かにあのダリオのものだった。
俺は杖を下ろし、焦げた空気の中で、ただ立ち尽くす。
「まだ終わっちゃいない……お前を、取り戻すんだ……!」
灰が舞う。
炎の残滓が風に消えていく。
そして――
ダリオの仮面の奥で、涙が光った気がした。
火炎竜巻が崩壊し、紅蓮の空が静まり返る。
焦げた地面に膝をついた俺は、空を見上げた。
炎の中、ダリオが呟く。
「……お前、そんな顔、するんじゃねぇよ……」
その声は、確かに――仲間の声だった。
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