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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第14話 再会の対話

 燃え落ちる建物が軋みを上げ、空を焦がす。赤黒い煙が視界を覆い尽くすこの地獄の中で、ダリオはゆっくりと炎を弱めた。


 ――今しかない。

 俺は歩み出た。


「ダリオ」


 呼びかけた瞬間、俺の喉はひどく乾いていた。炎の熱だけが原因じゃない。


 俺と目が合ったダリオは、苦悶と怒りの混ざった瞳で睨みつけてくる。


「……何しに来た、レオン」


「話がしたい」


「ハッ。戦いを止めに出てきたって? 無駄だ」


 彼の全身を包む炎は不安定に揺れ、心の乱れと同調している。

 カイが背後から声を張る。


「ダリオ! 俺たちは敵じゃない! 君を救いたい!」


 だが、ダリオの顔に浮かんだのは失望と嘲笑だった。


「救う? 今更何を救うってんだよ。俺たちは追放されたんだ。見捨てられたんだ。弱かった俺たちが、何を守れる?」


 胸を刺す言葉だった。

 あの日、俺も何もできなかった。守れなかった。


「なあ、ダリオ……」

 俺は一歩踏み出し、炎の熱風に耐えながら目を逸らさない。


「俺たちはまだ終わってない。あの頃のお前、どこへ行ったんだよ?」


 ダリオの炎が一瞬だけ止まった。


「…………あの頃?」


 ゆっくりと、彼の表情が揺らいだ。


 笑って剣を振り回していた。

 自分より弱い奴を放っておけなかった。

 いつも先に手を差し伸べてくれてた。


 そんなダリオが、確かにそこにいたはずなのに。


「俺が弱かったから……全部奪われたんだよ!」


 怒号が街を揺らす。

 炎が一気に膨れ上がり、絶望が周囲を焼いた。


「弱者は、燃やされるだけなんだよ! だから俺は、燃やす側に回った! そうしなきゃ、生き残れねぇ!」


 その叫びは――泣いているように聞こえた。


 胸が締め付けられる。

 俺は、拳を握りしめた。


「ダリオ……それでも――」


「黙れ!!」


 火柱が怒り狂い、倒壊した建物をさらに飲み込む。


「お前らは俺の痛みなんて知らない! 信じたら、裏切られるんだ! 心に隙を作れば、そこから全部壊される!」


 憎悪と恐怖。

 それが彼の力を歪めていた。


「だから俺は……全てを焼く! 弱さごと、この世界を!!」


「違う!」

 俺は叫ぶ。


「弱さを認められるのが強さだ! 昔のお前は、俺よりずっと強かった!!」


 だが、届かない。

 ダリオの目には、もう俺たちが映っていない。


「レオン!」

 カイが焦った声を上げる。


 振り返ると、周囲の魔導装置が激しく振動していた。

 炎に反応し、エネルギーが暴走寸前になっている。


 もし爆発すれば……街が一瞬で消える。


「……やっぱりな」


 カイが低く呟き、決意を宿した瞳で装置を見据えた。


「俺が、止める」


「カイ!? 何言って――」


「これしかないんだよ。俺の魔力回路、焼き切れば……暴走は抑えられる」


 ミルが驚愕の表情で飛んでくる。


「バカッ! そんなの死ぬ気!? やめろ!!」


 カイは笑った。

 傷だらけの顔で、どこか誇らしげに。


「大丈夫。死にはしないさ……多分な」


 その声が怖いほど静かで――

 覚悟が、重かった。


「カイ、やめろ! まだ他に――」


「ないんだよ、レオン」


 カイはまっすぐ俺を見た。


「俺は……仲間を守りたい。そのために生きてきたんだ」


 ミルが震える声で縋る。


「無茶すんなよ……お前、いつも冷静なフリして……心配させやがって……!」


「ありがとう、ミル」


 炎が再び吠える。

 ダリオが咆哮し、暴走の炎を解き放つ。


「全部、燃えろぉぉッ!!」


 炎帝の咆哮が闇を照らし、街全体が赤に染まった。


 カイが装置に手を伸ばす。


「これで……少しは冷めただろ……?」


 その背中は――

 まるで英雄だった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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