第13話 炎都崩壊
――熱い。息を吸うたび、肺が焼ける。
赤黒い炎が視界を呑み込み、街は悲鳴と轟音に塗りつぶされていた。暴走したダリオの炎は、もう攻撃としての意思すらなく、ただ破壊の衝動だけを撒き散らしている。
この街は……俺たちが救うはずの場所だろ……!
「リア! 水流で道路の火を押し返せ! 避難ルートを確保するんだ!」
「任せて! でも数が多すぎる……!」
リアの魔力が生み出す水柱が、燃え上がる建物の間を押し広げる。
だが、炎はまるで生き物のように再び迫ってくる。ダリオの暴走は止まるどころか激しさを増していた。
遠くで、子供が泣き叫ぶ声。
「カイ! あっちにまだ住民が!」
「わかってる! ノワール!」
「言われなくても行く!」
ノワールは黒い闇の魔力を地面に叩きつけた。
「――闇よ、道を穿て!」
闇が地を溶かし、瞬く間に瓦礫の下へと伸びていく。
声のする方へ通路を作り、子供たちを掬い上げるように闇が抱え出す。
炎が追いすがる。その一瞬前に、救出成功。
「おい、泣くな。まだ助かるんだよ、この街は!」
ノワールの乱暴な声に、子供が泣きながらも抱きついた。
――こいつ、本当は優しいのに。
「リア、こっちを冷ましてくれ!」
「うんっ!」
リアの水が闇と交じり、蒸気を生み、視界がぼやける。
その瞬間、上空に赤黒い光――!
「伏せろ!!」
爆炎が大地を叩いた。屋根が弾け飛び、石畳が溶ける。
「ハッハッハッハ!! 俺を止められると思ったのかよォッ!」
巨大な炎翼を広げ、ダリオが空に浮かぶ。
その瞳にはもう、俺たちを仲間として見ていた頃の温度がない。
「ダリオ……っ!」
「カイ、どうする! このままじゃ……!」
「考えてる! 奴の燃焼核――魔力循環の中心さえ抑えれば……!」
だが計算と現実の間に、膨大な炎の壁が立ち塞がる。
ダリオに近づくことすら不可能。
上空から落ちてくる火の雨――
その中を、リアが走った。
「危ない! 戻れリア!!」
「嫌よ! 置いてけるわけないじゃない!!」
焦げる髪。焼けつく肌。
それでも彼女は立ち止まらなかった。
「カイがいるから、私は負けない!!」
その叫びが、心を殴る。
俺は――何を迷っていた?
ダリオの炎が街を呑むなら、俺は
俺たちは、それを上回る策で上回るしかない。
「ノワール! リアを援護しろ!」
「了解ッ!」
闇が巨大な盾となる。
リアの水が炎をそぎ落とす。
「ダリオ!! お前を救う!」
「救い? んなもんが俺を強くしてくれんのかよォ!!」
返ってきたのは、憎悪ではなく――
深く、泥のような絶望。
炎が暴れ狂う。
街が崩れゆく。
悲鳴が響く。
だが、ここで折れるわけにはいかない。
「……ダリオ、そんな顔してたんだな」
「何だと?」
「お前、本当は……誰より怖がってるんだろ」
「黙れッ!!」
ダリオの炎撃が、直撃コースで俺を貫こうと迫る。
「あああああああぁぁぁ!!」
リアとノワールの力を重ね――俺は叫んだ。
「俺は、お前を見捨てないッ!!」
爆裂――!
世界が白く弾け飛び、轟音と衝撃が幾度も重なる。
視界が戻ると――
ダリオが、わずかに動きを止めていた。
「……そんな言葉……今更聞きたくなかったんだよ……!」
炎が揺らぐ。
その目は――涙を燃やしていた。
俺は拳を握りしめる。
ここが、決着の入り口だ。
「ダリオ。話がある」
「話だぁ? 俺と?」
「――あの頃のお前のことだ」
炎の海はまだ終わらない。
だが確かに、戦いは一瞬だけ止まった。
崩壊の真っただ中、俺たちは向き合う。
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