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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第13話 炎都崩壊

 ――熱い。息を吸うたび、肺が焼ける。


 赤黒い炎が視界を呑み込み、街は悲鳴と轟音に塗りつぶされていた。暴走したダリオの炎は、もう攻撃としての意思すらなく、ただ破壊の衝動だけを撒き散らしている。


 この街は……俺たちが救うはずの場所だろ……!


「リア! 水流で道路の火を押し返せ! 避難ルートを確保するんだ!」

「任せて! でも数が多すぎる……!」


 リアの魔力が生み出す水柱が、燃え上がる建物の間を押し広げる。

だが、炎はまるで生き物のように再び迫ってくる。ダリオの暴走は止まるどころか激しさを増していた。


 遠くで、子供が泣き叫ぶ声。


「カイ! あっちにまだ住民が!」


「わかってる! ノワール!」


「言われなくても行く!」


 ノワールは黒い闇の魔力を地面に叩きつけた。


「――闇よ、道を穿て!」


 闇が地を溶かし、瞬く間に瓦礫の下へと伸びていく。

声のする方へ通路を作り、子供たちを掬い上げるように闇が抱え出す。


 炎が追いすがる。その一瞬前に、救出成功。


「おい、泣くな。まだ助かるんだよ、この街は!」


 ノワールの乱暴な声に、子供が泣きながらも抱きついた。


 ――こいつ、本当は優しいのに。


「リア、こっちを冷ましてくれ!」

「うんっ!」


 リアの水が闇と交じり、蒸気を生み、視界がぼやける。

その瞬間、上空に赤黒い光――!


「伏せろ!!」


 爆炎が大地を叩いた。屋根が弾け飛び、石畳が溶ける。


「ハッハッハッハ!! 俺を止められると思ったのかよォッ!」


 巨大な炎翼を広げ、ダリオが空に浮かぶ。

その瞳にはもう、俺たちを仲間として見ていた頃の温度がない。


「ダリオ……っ!」


「カイ、どうする! このままじゃ……!」


「考えてる! 奴の燃焼核――魔力循環の中心さえ抑えれば……!」


 だが計算と現実の間に、膨大な炎の壁が立ち塞がる。

ダリオに近づくことすら不可能。


 上空から落ちてくる火の雨――

その中を、リアが走った。


「危ない! 戻れリア!!」


「嫌よ! 置いてけるわけないじゃない!!」


 焦げる髪。焼けつく肌。

それでも彼女は立ち止まらなかった。


「カイがいるから、私は負けない!!」


 その叫びが、心を殴る。


 俺は――何を迷っていた?


 ダリオの炎が街を呑むなら、俺は

俺たちは、それを上回る策で上回るしかない。


「ノワール! リアを援護しろ!」

「了解ッ!」


 闇が巨大な盾となる。

リアの水が炎をそぎ落とす。


「ダリオ!! お前を救う!」


「救い? んなもんが俺を強くしてくれんのかよォ!!」


 返ってきたのは、憎悪ではなく――

深く、泥のような絶望。


 炎が暴れ狂う。

街が崩れゆく。

悲鳴が響く。


 だが、ここで折れるわけにはいかない。


「……ダリオ、そんな顔してたんだな」


「何だと?」


「お前、本当は……誰より怖がってるんだろ」


「黙れッ!!」


 ダリオの炎撃が、直撃コースで俺を貫こうと迫る。


「あああああああぁぁぁ!!」


 リアとノワールの力を重ね――俺は叫んだ。


「俺は、お前を見捨てないッ!!」


 爆裂――!


 世界が白く弾け飛び、轟音と衝撃が幾度も重なる。


 視界が戻ると――

ダリオが、わずかに動きを止めていた。


「……そんな言葉……今更聞きたくなかったんだよ……!」


 炎が揺らぐ。


 その目は――涙を燃やしていた。


 俺は拳を握りしめる。

ここが、決着の入り口だ。


「ダリオ。話がある」


「話だぁ? 俺と?」


「――あの頃のお前のことだ」


 炎の海はまだ終わらない。

だが確かに、戦いは一瞬だけ止まった。


 崩壊の真っただ中、俺たちは向き合う。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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