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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第12話:新たなる力・紅蓮共鳴

 ――熱い。

 いや、それだけじゃない。全身の血流が炎に変わったかのように、焼けるような力が駆け巡っていた。


 イグニスとの契約が完了した瞬間、俺の視界は真紅に染まった。剣を握る腕が自動的に前へと伸びる。ミルが俺の肩に乗り、羽のように軽い体をくいっと反らした。


「よーし! 力みすぎんなよ、バカ契約者! 燃えすぎて灰になっても知らねーぞ!」


「そっちこそ、張り切りすぎて蒸発すんなよ!」


「はあ? お前の炎がショボかったら煽り散らすからな!」


 軽口を叩きながら――だが俺たちの間には確かに共鳴が生まれていた。


 ダリオは遠くで、なおも咆哮を上げている。

 人の形をした炎の怪物。友だったはずの面影は、ほとんど残っていない。


 でも――俺は知っている。

 あの奥で、まだ、助けを求めて叫んでいるダリオがいることを。


「ミル、行くぞ!」


『了解! バカ契約者ァア!!』


 ミルが輝き、炎と風が一体となる。

 俺は床を蹴った――その瞬間、視界が置き去りにされた。


 炎を撒き散らす残像がいくつも生まれ、俺の身体は雷より速くダリオの懐へ。

 その勢いのまま剣を、振り抜く。


「《紅蓮斬旋》ッ!!」


 灼熱の風が螺旋を描き、ダリオの炎装を引き裂く。赤黒い火花が散り、彼の叫びが大広間に響いた。


「ガアアアアアアアアア!!」


 苦しんでいる――!

 炎に飲まれ、己を失っている!


「ダリオ! お前はそんな……化け物じゃない! 帰ってこい! 俺たちのところへ!!」


 届かない。

 分かってる。

 それでも叫ばずにはいられなかった。


 ダリオの全身から巨大な炎柱が噴き上がる。

 床が割れ、灼熱の溶岩が地の底から吹き出した。


『レオン! 来るぞ!』


「分かってるッ!」


 ダリオの炎弾が連続で放たれた。

 一発一発が小さな隕石のようだ。

 俺はミルの風を身にまとい、空中を跳ね回りながらすべてを弾き返していく。


 ――これが《紅蓮共鳴》の速度。

 想像以上だ。

 だが、まだ足りない。


「ミル、もっといけるだろ!」


『当たり前だ!! お前の炎は――まだ燃え上がれるッ!!』


 風が羽となり、俺の背中に広がる。

 炎が筋肉を膨張させ、限界を越える力を生む。


「《焔風迅雷》ッ!!」


 高熱の閃光――俺は稲妻の軌跡と化し、ダリオへ突貫する。


 ダリオの目が、僅かに揺れた。

 その奥に――怯え。迷い。孤独。


 やっぱり――助けられる。

 そう確信した瞬間だった。


「ぐぅ……あ……あああああ!!」


 ダリオの苦しんだ声が漏れたのを、俺は聞き逃さなかった。


「ダリオ!! 俺はお前を救うために――」


「――レオン!!」


 リアの叫びが響く。

 視線を向ければ――大広間の壁が崩れ、外へと流れ出した炎が、都市全体に燃え移っていた。


 街が――炎に包まれていく!


「ダリオの炎が、街に……! 精霊たちが……泣いている……!!」


 リアの声が震えていた。

 カイが急いで魔導通信器を操作し、絶望の報告を吐き出す。


「住民の避難を急がせる! ダリオの魔力が制御不能……! レオン、君が抑えないと――炎都が終わる!!」


『ノワール! 道を開け!』


「フン……任せろ。闇は炎に喰われん――!」


 それぞれが、それぞれの戦場へ向かって動き出す。


「……レオン、もう躊躇うな」


 ミルの声は珍しく、優しかった。


「お前が止めなきゃ、全てが焼ける。友達だろうが関係ねぇ。救うために――戦え!」


 拳が震えた。

 だが逃げない――もう二度と。


「あぁ……分かってる」


 ダリオを倒すためじゃない。

 助け出すために――俺は斬る。


「行くぞ、ミル!!」


『おうともよ、相棒!!』


 俺たちの炎と風が、一つの剣となって爆ぜ上がる。


「《灼翼断罪》――ッ!!」


 俺は再び、灼熱の暴風へと飛び込んだ。

 友を救い、街を救い――精霊を救うために。


 戦いは、まだ終わらない。

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