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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第4話 神殿の炎

赤く燃える夕日が、砂漠の果てに沈みかけていた。

風が運ぶ砂粒が肌を刺し、視界をじりじりと赤く染める。


その向こうに――巨大な神殿が姿を現した。


赤い石で築かれた、塔のようにそびえる建造物。

かつて精霊信仰の中心だったという 炎帝神殿だ。


「ここが……」


思わず息を飲む。

この場所の空気には、明らかに異質な熱が混じっている。


隣を歩くリアが、決意を宿した眼差しで振り返った。


「本当は、外部の方をお通ししてはいけないのです。しかし……もう、皆さまの力なしには、どうにもなりません」


その声には、迷いよりも覚悟があった。


「ありがとう、リア。案内を頼む」


リアは小さく頷き、先頭を歩き出した。


参道を進むたび、奇妙な音が耳をかすめる。

ごおおお……と地の底で炎が唸るような、低い震えだ。


割れた石碑、崩れた灯籠。

祈りを捧げるための場が、まるで怒りに荒らされた後のように荒廃している。


ミルが眉をひそめる。


「この神殿……なんか、すごく荒れてない?」


「精霊異常が始まってから、手が回らなくなったのです」

リアが悲しげに答える。


——異常。


その言葉が胸に突き刺さる。

ここにも精霊たちの苦しみがあったのだ。


やがて、巨大な扉の前にたどり着いた。

リアは震える手で祈りの仕草をし、扉へ触れる。


「失礼、いたします……」


重低音とともに扉が開いた瞬間、

俺たちの視界を埋め尽くしたのは――


――燃え盛る巨炎だった。


天井に届くほどの、巨大な火柱。

赤ではなく、黒みを帯びた禍々しい炎がうねり続けている。


ミルが息をのむ。


「な、なにあれ……」


カイの顔が険しくなる。


「魔力濃度が異常だ。自然に燃えてる炎じゃない……魔術で無理やり支えられてる」


背筋に冷たいものが走る。

そして、横から聞こえた低い声がその恐怖を濃くする。


ノワールが炎を睨みつけ、歯を噛み締めた。


「この炎……精霊の力だけじゃねぇ。人の怨念が混じってやがる。誰だ、こんな無茶を……」


怨念の炎。

その言葉を聞いただけで、炎の熱が皮膚を焦がす錯覚が走った。


リアが膝をつき、息を荒げる。


「……っ、炎帝イグニス様が……苦しまれている……封印が……解けかけているのです……!」


炎の奥から、たしかに声が聞こえる。

泣き叫ぶような、助けを求めるような――精霊の声だ。


胸が締め付けられる。


まただ。

また精霊は人間に利用され、傷つけられている。


「……許せない」


握りしめた拳が震える。


「レオン」

ゼルフィアが封印基部の魔術刻印を指し示した。


「この魔術式……王都の塔で一度見たことがある。おそらく、同じ術者が関わっている」


王都の塔――

あの地獄を生んだ男。


脳裏に浮かぶ炎の中の笑み。


ダリオ。


奴が、ここに?


胸の奥で、静かに怒りが燃え上がった。


リアがか細い声で俺の手を握った。


「……お願いです。このままでは炎帝イグニス様は、怨念に呑まれてしまう」


「……絶対に守る」


迷いはなかった。


「火脈を調べないと。封印を維持できなくなる」

カイが地図を広げる。


「夜の砂漠は危険だぞ?」

ミルが不安そうに言う。


「行かなきゃいけない」

自分でも驚くほど、声は強かった。


「苦しんでるなら、助ける。精霊を救うためなら、どこへでも」


リアが驚いたように目を見開き――

次の瞬間、震える瞳で俺を見つめた。


「……あなたなら、救えると、思いますから」


柔らかな温度が、手のひらから伝わってきた。


その温もりに、俺は応えると心に誓った。


砂漠に繰り返される夜風が、炎帝神殿をざわめかせる。

遠く、闇の奥で燃え上がるような光が弾けた。


不吉な予感が背を押す。


暗闇の中――

俺たちは次の戦いへ足を踏み出す。


精霊の叫びは、まだ終わらない。

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