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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第3話 炎帝神殿の巫女リア

砂漠の夜は冷えると聞いたが──今はその真逆だった。

空は燃えるように赤く、吹き荒れる砂嵐は炎を孕んだ熱風となって肌を刺す。


「くそっ……視界ゼロだ!」


ミルが必死に両手を広げ、風の結界で周囲を守ってくれている。

だが熱と砂の量は桁違いで、汗が止まらない。


「レオン、こっちに寄れ! 離れんなよ!」


ノワールの影が俺の腕を掴む。

無茶苦茶だが、頼もしさがあった。


そんな中だった──突然、俺の足元に、何かが崩れ落ちた。


白い影。

砂に半ば埋もれた、細い腕。少女だった。


「おいっ! 生きてるか!? おい!」


反応は微弱。

俺は咄嗟に少女を抱き上げ、ミルの作った小さな風壁の内側へ引きずり込む。


息が荒く、体温が異様に高い。

熱に侵されている──こんな環境じゃ当然か。


「……た……す、けて……」


弱い声。それでも、はっきりと聞こえた。


「今助ける。意識を保て!」


少女の瞼がゆっくりと開く。

揺らめく炎みたいな橙色の瞳。そこに映る苦痛と焦り。


「……精霊が……苦しんで……います……」


砂漠の熱のせいじゃない。

その声は、まるで誰かの悲鳴を代弁してるようだった。


「俺の声、聞こえるよな。話せるか?」


「わ、わたし……リア……炎帝神殿の巫女……です……」


リア。巫女。

額の炎の紋章が真紅に光る。


「砂漠の精霊たちが……暴れて……この地を覆う炎が……制御できなく……なって……」


言葉を継ぐほど、呼吸が乱れた。

俺は肩に手を添え、ゆっくりと深呼吸させる。


リアは震える指で、俺の胸へ触れ──目を見開いた。


「その光……精霊の……声……?」


胸の奥で、ルミナが残した光が脈動した。

問いかけるみたいに。


「あなた……精霊と共に歩む者……?」


「俺は……そうありたいと思ってる」


俺が答えると、リアの目から涙が零れた。


「よかった……わたし……ずっとひとりでした……精霊の声が聞こえるなんて、信じてもらえなくて……『狂った巫女』と呼ばれ……」


その言葉に、胸が疼いた。


俺だってそうだった。

誰にも理解されず、居場所がなかった。


「俺が信じる。君の力も、君の言葉も」


リアは小さく息を呑む。


「──ありがとう……」


その一言は、砂嵐の轟音をも圧して、心の奥に届いた。


カイが周囲を見張りながら、低い声で口を開く。


「理由はなんだ。精霊が荒れるほどの異常ってのは」


リアは瞳を伏せ、


「炎帝の封印が……壊れ始めています」


と告げた。


ミルが思わず声を上げる。


「炎帝って……あの伝説の?」


「はい。精霊の王……炎を統べる存在……封印が解ければ、この大地は……再び炎に飲まれます」


再び。

過去に何かあったということだ。


リアの肩が震える。


「その封印を……魔導協会が……」


聞いた瞬間、全てが繋がった。

精霊の力を奪い、兵器化しようとする協会の闇。


「止めなきゃな……」


俺が呟くと、リアは俺の手を掴んだ。


「お願いします……この地の精霊たちを……救ってください……!」


その手は小さく、熱を帯びていて、震えていた。

けれど、その握る力は確かな意志を宿していた。


ミルがニッと笑い、ノワールは闇の奥で目を細める。

カイは肩をすくめながらも頷いた。


「また厄介ごとだな、レオン」


「そうだな。でも──」


俺は炎の向こうに広がる砂漠を睨む。


「厄介ごとこそ、俺たちの道だ」


リアが砂の彼方を指し示す。


「炎帝神殿……封印の火が眠る場所です。私が案内します」


視界の奥で、燃え盛るような光柱が脈打っている。

まるで俺たちを呼んでいるように。


ルミナの光が、背中を押した。


行こう。救うために。奪われないために。


精霊も、人間も。

その未来を守るために。


そして俺は、灼熱の砂を踏みしめた。


──炎帝の影へと。

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