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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第5章 灼熱の灼熱の砂漠と炎帝の影

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第2話 砂漠の冒険者ギルド

 灼熱の風が砂を巻き上げ、頬を刺した。

 砂漠の真ん中にそびえる冒険者ギルドは、まるで砦のようだった。赤い石で組まれた巨大な建物――冒険者たちの雄叫び、酒と汗の匂いが渦巻く喧騒の巣窟だ。


「……ギルドって、どこも同じ空気だな。荒っぽいやつほど声がでけぇ」


 肩をすくめながらも、俺は胸の奥で安堵していた。

 王都から逃げ出して、まだ落ち着ける場所なんてなかった。

 だがここは――戦いの匂いが似合う。


「でもさ、熱の種類が違うね」

 ミルが汗を拭いながら言う。

「ギラギラしてる」


 視線の先では、火炎属性の剣を肩に担いだ冒険者が笑っていた。

 噂通り、アグナの戦士たちは炎を崇める文化を持っているらしい。


「レオン、受付は向こうだよ」


 カイの案内でカウンターへ向かう。

 受付嬢は険しい目つきで俺たちを見た。


「……旅の冒険者? ここは観光場所じゃないわよ」


「情報を集めに来た。今、アグナでは何が起きてる?」


 何かを隠すように、受付嬢は視線をそらした。


「最近……炎精霊の暴走が目立つの。上の連中はただの気候変動だと言ってるけど」


「違う。魔力濃度が異常に高い」

 カイが即答した。


「……やっぱり、そうよね。あなたたちは勘がいいみたい」


 受付嬢は声を潜める。


「炎帝が、戻ってくると――街の者たちは怯えているの」


 炎帝。

 古代、炎の王国を治めたとされる伝説の精霊。

 イグニス――。


「バカバカしい噂だぜ」


 近くの冒険者が鼻で笑った。


「炎帝なんざ、おとぎ話だろ? 精霊を崇めて暮らしてる信者が大げさに騒いでるだけさ」


 だが、別の者は声を潜ませる。


「この前の夜、見たんだ……砂漠の奥で、炎が天を裂くのを。あれは……目覚めだ」


 空気が一瞬、重くなる。

 精霊たちの断末魔を、俺は何度も聞いた。

 今回も、それに近い予感が胸を冷やす。


「……レオン、見て」


 ミルが窓の外を指差す。

 上空を漂う炎精霊が、苦しげに火花を散らしながら飛び交っていた。


「自然現象じゃないわ。精霊が、泣いてる」


 カイが眉をひそめた。


「誰かが、炎帝の力に干渉している。間違いない」


 そのとき、分厚い扉が重く開いた。

 筋骨隆々の男――ギルド支部長が現れる。


「お前たち。いいタイミングで来てくれた」


 俺たちの前に歩み寄り、鋭い目で俺を――いや、腰の《炎の剣》を見た。


「依頼がある。砂漠奥地に潜む異常を調べてきてほしい」


「異常って?」


「炎精霊の暴走源だ。あそこはもう、人間が近づける環境じゃない」


 危険を告げる声の裏で――

 期待、いや“確信”のようなものを感じた。


 支部長は、探るように問いかける。


「若いの。お前……炎帝の血に関係していないか?」


 喉がひりついた。

 俺ではない。

 ダリオ――俺の兄が、炎帝の血脈。


 俺は静かに首を振った。


「俺は……ただ、精霊を救いたいだけだ」


 支部長はそれ以上触れず、ゆっくりと頷いた。


「ならば十分だ。報酬は弾む。頼む」


 依頼書を受け取ると、無言の圧に背中を押されるように宿へ向かった。


◆◇◆


 夜。

 外に出たノワールが、じっと砂漠の闇を睨んでいた。


「どうした?」


「……何かが、俺たちを見てる。悪意を持って」


 俺も夜空を見上げる。

 炎精霊たちが不安定な軌跡を描き、ひゅうっと悲鳴のような音を立てていた。


「俺たちを……?」


「いや、もっと深い。炎帝に近づくヤツを、監視する何者か……だ」


 嫌な汗が背を滑り落ちる。


 その瞬間――遠方で巨大な火柱が、夜空を焦がした。


 それは燃え上がる砂嵐。

 渦巻く炎の中心で、揺れる影が――ひとり。


『……たすけて……』


 声が聞こえた。確かに。


 俺は剣を握りしめ、走り出していた。


「レオンっ!? どこ行くの!?」


「行くしかないだろ! 誰かが――呼んでる!」


 砂嵐へ踏み込む。

 視界は奪われ、熱風が肺を焼き、足が砂に沈む。


 でも。


 見捨てるなんて――できるわけがない。


◆◇◆


 赤い嵐の向こう。

 小さな影が倒れていた。


 少女――。


 燃えてしまいそうなほど華奢な体。

 額には、炎帝の紋を思わせる赤い紋章が光っていた。


「おい、大丈夫か――!」


 少女が震える唇を開く。


「せい……れいが……苦しんで……いるのです……」


 その声は、炎よりも強く、切実だった。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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